終活の項目は身の回りの整理や葬儀の希望、財産の相続についてなど多岐にわたります。終活を進めていくと、家族や友人に伝えておきたいこと、頼みたいことなどさまざまな想いが浮かんでくるかもしれません。
そんな時には、エンディングノートを活用するのがおすすめです。エンディングノートとは文字どおり、今までの生活を振り返ると共に、今後の人生をどのようなものにしたいのか、自身の考えや想いを記しておくことです。
万が一に備えて、家族や友人に伝えておきたいことを準備できていると安心できます。エンディングノートは市販されている専用のノートを使うこともできますが、手元にあるノートやPCで作成したものでも構いません。

では、エンディングノートと遺言書とでは違いはどこにあるのでしょうか。
今回の記事ではエンディングノートの活用方法から、エンディングノートが果たす役割などを考えていきたいと思います。

エンディングノートってどんなもの

エンディングノートは自分の歴史を振り返る意味と、備忘録のような機能を併せ持っていると言えます。これまで歩んできた道とこれから先の人生をどのようなものにしたいかを考えながら、家族や友人への想いなどを整理し記録できます。
エンディングノートには、記入内容に制限や決まりなどはありません。そのため、エンディングノートに財産分与に関わることを記載しても問題ありませんが、エンディングノートには強制力はなく、法的効力は一切ないため遺言書の代わりにはなりません。
エンディングノートに記入された内容は、あくまでも要望に過ぎないと理解しておく必要があります。

法的効力を持たせたい内容は、遺言書を作成する必要があります。遺言書は民法に規定された法律文書であり、要件を満たすことで法的効力が発生します。
法的に有効な遺言書が残されている場合、相続人は原則として遺言内容に従う必要があります。

ただし、注意しなければならないのはエンディングノートも遺言書も、遺族に発見されなければ意味がありません。また残れされた家族も、2つの文書の違いをきちんと理解した上で対応をしないと、トラブルに発展することも考えられます。

エンディングノートや遺言書を作成する時は、できる限り事前に家族で話し合いをして、お互いの理解を深めておくことが望ましいでしょう。

エンディングノートに記載する内容とは?

エンディングノートに記入されたことに強制力はありませんが、逆に法律の規制も受けないことで内容は自由に書くことができるとも言えます。
エンディングノートに記入すべきこと、遺言書を作成し記載しておくこと、それぞれの役割と必要性を理解して使い分けることも大切です。
また、遺言書は一定要件を満たさないと無効になる可能性もあるため、遺言書を作成する場合には遺言書の種類や作成方法を専門家に相談しておけると安心でしょう。

エンディングノートには、必ず記載するべき項目というのはありませんが、家族のためにノートを作成するという前提を踏まえ、終末期医療や葬儀の希望、要望のほか友人の連絡先や財産の内訳などの情報を記しておけると良いでしょう。
しかし事務的な連絡のほかにも、家族や友人への思いや感謝を伝えられることも大切と言えます。
面と向かっては言いにくい言葉も、エンディングノートに記しておくことがおすすめです。

エンディングノートには、遺言書を補う役割も果たします。遺言書に記載した内容の説明や心情を記すことで、遺族間のしこりやトラブルを無くすこともできるかもしれません。
また単純に、死後発生するさまざまな手続き関連の作業を効率よく進め、遺族の手間を省く役割も多いにあります。

1.基本情報
 ・家族構成、家系図
 ・学歴、職歴、資格
 ・マイナンバー、保険証番号など
 ・交友関係

その他に、これまで自身が歩んできた略歴や好きな食べ物、趣味などについても記入しておくと家族も新しい発見があるかもしれません。

2.財産や資産などについて
 ・預貯金や現金
 ・不動産
 ・有価証券
 ・貴金属
 ・骨董品 など

具体的な財産分与などについては遺言書に記載するのが適切ですが、自身で財産の詳細について洗い出しを行うことで、漏れがないようにする備忘録の役割を果たしてくれるでしょう。
その他、資産をインターネット上で管理をしている場合はパソコンのほか、ネット証券やネットバンキングのIDやパスワードも忘れずに記載しておきましょう。

3.葬儀やお墓の要望
ライフスタイルの多様化により、葬儀や埋葬方法にもさまざまな選択肢のある時代になりました。葬儀についてセルフプロデュースをするのも珍しいことではありません。
自身で生前予約などをしている際は、必ずその葬儀社の連絡先などを記載しておくようにしましょう。
 
 ・宗派
 ・葬儀の希望や要望(家族葬や密葬など)
 ・納骨の方法
 ・お墓の有無 など

4.終末医療や介護について
急に寝たきりの状態になったり、認知症などに陥る可能性は誰にでもあります。いざと言う時、決断に迫られた家族ができるだけ本人の意思に添いたいと思った時、判断材料となる情報は非常に助けになるでしょう。

 ・延命治療や介護の希望
 ・費用について
 ・主治医について
 ・持病やアレルギー、内服薬の有無 など

5.ペットについて
ひとり暮らしをされている場合、残されるペットについてもその後の対応について記載をしておきましょう。ペットを引き取り、きちんと世話をしてくれる人を決めておく必要があります。
ペットの性格や食べ物の好き嫌い、持病やかかりつけ医なども記入しておきましょう。

6.家族や友人へのメッセージ
家族や友人への感謝の気持ちや伝えておきたいこと、心に残っている思い出など自由に記しておきましょう。
家族はこのエンディングノートを読むことで、これまでの気持ちや生き方を知ることができるきっかけとなるかもしれません。

また、保険の証書や健康保険証、通帳や印鑑、貴重品などの保管場所は家族であっても把握していないことが多くあります。いざと言う時のために、エンディングノートに記載しておくと家族が対応しやすくなるでしょう。

エンディングノートを作成した後は?

エンディングノートの内容は人それぞれですので、誰に見られても問題ないと言う人もいれば、死後まで誰にも見られたくないという人もいらっしゃるでしょう。
特に、財産の詳細やパスワードなども記載した場合、非常に重要な情報が一冊に集約されていることになります。
簡単に人の目に触れることの無いよう保管しておく必要があります。しかし、いざという時に家族が見つけるのに苦労をするようでも意味がありません。
信頼できる人に、エンディングノートの存在と保管場所は知らせておけると良いでしょう。

またエンディングノートは法的な効力が無いので遺言書と違い、気軽に修正や加筆を加えることができるのもメリットのひとつです。書いたら終わりにせず、定期的に見直すことも心がけましょう。
1年に1回など頻度を決めて見返すことで、気持ちの整理や今後の生活についても見直すきっかけになるかもしれません。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノート遺言書
法的効力なしあり
記載方法条件なし基本的に自筆
条件を満たす必要有り
費用自作の場合ほぼ無料公正証書遺言の場合、費用が発生
開封のタイミイングいつでも閲覧、加筆・修正可能すぐに開封はできない

自身の想いを家族に残すという意味では、エンディングノートと遺言書は同じですが、大きな違いは法的な効力が有無と言えます。基本的には、エンディングノートと遺言書は別物として捉え、それぞれメリットやデメリットを理解して準備ができると良いでしょう。

まとめ

・エンディングノートに法的効力はない
・自身の想いや伝えたい詳細についてはエンディングノートを作成し、遺言書との棲み分けができると良い
・エンディングノートを作成したら、定期的に見直しをすることも必要

終活とは人生の終焉に向けた活動ですが、店じまいの準備をするというよりは、残りの限られた時間をいかに自分らしく生きるか、というための活動です。
相続についても非常に重要な項目となるため、エンディングノートと遺言書の性質をきちんと理解して準備をしておっけると安心です。

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