終活という言葉が広く浸透する昨今ですが、その活動の内容というのは個人によってさまざまです。終活の入り口として興味を持たれることの多いジャンルは、やはり自身の葬儀やお墓についてかもしれません。
終活の活動というのは、自身のこれまでの人生を振り返ると共に、ここから先の暮らしをより楽しくするために行うものです。人生100年時代と言われるこの時代ですから、これまでにやり残したことや新しい夢に向かって進むのも良いでしょう。思いついた時が始めどきと言えます!
充実した老後のために、どんな行動が必要なのかを考える方も多くいらっしゃるでしょう。最近は熟年離婚やおひとりさまなど核家族化を進み、ライフプランも多様化しています。社会保障への不安から、資産運用を考える方も多くいらっしゃるでしょう。老後の生活にもお金は必要不可欠です。
このように、終活を進めていくとお金の管理も非常に重要な項目だということが見えてきます。自身の生活のこと共に、相続についても考えていけると安心です。

今回の記事では、終活の一環として不動産を生前贈与することについて考えていきたいと思います。不動産を自身の死後に相続させるのと生前贈与では、どのような違いがあるのでしょうか?メリット、デメリットと共にご紹介していきます。

不動産の生前贈与のメリット、デメリットとは?

生前贈与できる資産を考えた時、まず浮かぶのがは現金かもしれません。年間110万円までの贈与であれば、贈与税がかかりません。そのため相続させたい現金がある場合は、早めに生前贈与を始めていくと、より恩恵を受けれるということになるのです。
また現金のほかに、不動産や有価証券など生前贈与の対象として含まれます。これらの財産としての評価は贈与を行う時点で考えるため、後に評価額が上がったとしても相続時には影響しないので、時期の見極めも大切と言えるかもしれません。今後価値が上昇すると思われるものについては、有効な手段となるでしょう。
最近はコロナ禍の影響から、資産の価値の見極めが難しい場合もありますが、不動産の資産価値は上昇の気配と言えるのではないでしょうか?

しかし現金の贈与は簡単にできることと比較すると、不動産を生前贈与したい場合はどうなのでしょうか?名義の変更など様々な手続きが発生するため、メリット・デメリット両方の側面から見ていきたいと思います。

生前贈与のメリット

・贈与をする相手やタイミングを自由に選ぶことができる
 通常一般的な遺産相続というのは、遺言書が用意されていない場合、相続人が遺産分割協議を行い決定することになります。一方、生前贈与は贈与者が
 希望する相手を、好きなタイミングで財産の取得者として選ぶことができます。死後の相続に関わることはできませんが、生前贈与であれば自身が希望
 する相手に財産を譲ることができます。
・相続税を軽減につながる
 相続税対策を検討するとき、生前贈与は必ず検討すべき選択肢の1つとなるでしょう。相続財産を減少させつつ次の世代へ資産を承継できるため、
 生前贈与は非常に有効的な相続税対策と言えるかもしれません。
・相続人間でのトラブルを回避することができる
 被相続人の死後にいざ遺産相続を始めようとすると、相続人間でトラブルに発展する可能性もあります。生前贈与を行うとその時点で所有権が移動する
 ので、トラブルを防ぐことも可能です。

生前贈与のデメリット

・通常、相続税よりも高い税率が適用される
・贈与税の他にも、不動産取得税、登録免許税が必要
・長期にわたる定額贈与には危険性がある

 生前贈与は1年ごとに110万円の基礎控除が認められているため、なるべく長い期間にわたって贈与を行った方が税負担は少なくなります。
 ただし途中で贈与者が亡くなった場合は、将来贈与するはずであった財産についてはもちろん相続税の課税対象となります。さらに、相続が発生する
 3年以内の贈与については相続財産に引き戻され相続税の課税対象となってしまうため注意が必要です。 
・贈与した財産に使った形跡が見られないと贈与が成立しないことも
 贈与は、贈る側と受け取る側の合意があって初めて成立します。たとえば、子どもや孫の口座に毎年内緒で基礎控除額以下の100万円を振り込んでいて、
 贈与と認められないなどと言ったケースもあります。子どもや孫がもらったという認識がなく、親や祖父母が管理することで通帳に使った形跡が見られ
 ないというような場合、贈与が成立しないこともあるのです。

不動産の生前贈与をする際の流れ

不動産を生前贈与するときの大まかな流れについてご紹介します。

①贈与契約書の作成
まずは贈与契約書を作成します。
法律上では、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とされていますが、大きな資産が動くことを考えると、のちにトラブルが起こることを防ぐために契約書を作成しておけると安心です。贈与契約書には、①いつ②誰が③誰に④どの不動産を贈与するのか、を最低限記載しておけると良いでしょう。

②必要書類を準備する
不動産の登記に必要な下記のような書類を準備する必要があります。
 ・贈与の対象となる不動産の登記識別情報通知(登記済権利書)
 ・贈与をする人の印鑑証明書
 ・贈与を受ける人の住民票
 ・固定資産評価証明書
 ・登記申請書 
などです。

③法務局での登記申請
必要となる書類が準備できたら、法務局で登記申請を行いましょう。申請を行う法務局は、贈与する不動産を管轄する法務局となるので注意しましょう。

④贈与税の申告と納税
贈与された不動産の評価額が基礎控除である110万円を超えていた場合には、贈与した翌年に贈与を受けた人の住所を管轄する税務署に贈与税の申告をする必要があります。

不動産の生前贈与というのは、通常人生の中で何度も行うものではありません。そのためこれらの手続きに関して不慣れなことが一般的でしょう。判断に迷うことがあったり、必要書類を揃えるのが難しいと感じる場合は、専門家に相談をするのが良いでしょう。
そもそも自身の財産について、生前贈与を行うことがメリットがあるのかどうか、事前によく検討をしてみるのが大切ですね。

まとめ

ここまで、不動産の生前贈与についてメリット、デメリットなどを考えてきました。生前贈与はその仕組みを理解して使いこなすことができれば、相続税を節税することにつながります。また、生前贈与は贈与をする人が、財産を受け取る人を確実に選べるというメリットもあります。被相続人の死後に、相続人同士間でのトラブルが予想される場合などには、非常に有効的な方法として効果が期待できます。
ただし、贈与税と相続税の仕組みについて理解が不十分であると、結果として高い税率で課税される可能性もあります。また相続というのはどうしてもトラブルを生みやすいものですので、できる限り相続人にあたる家族と相談の上進めるのが良いでしょう。
税金に関することは専門的な知識が必要となる状況も多く、信頼できる専門家に相談をできると非常に安心できるのではないでしょうか?

Good Endingでは、終活のご相談を初め、終活分野での専門家紹介を行っております。
税理士を初めとした専門家チームが、ご相談者様のお悩みを全力でサポートいたします。
終活でお困りの方は、お気軽にご連絡ください。