終活という言葉が日常の中に浸透し、テレビや雑誌などで目にする機会も多くなってしました。活動の内容を理解すると、自分も取り入れてみようと思う方もいらっしゃるかもしれません。終活とは簡単に言うと、自身が亡くなったときに備えた準備と共に、これからの人生をより自分らしくいきいき楽しく過ごすための前向きな活動と言えます。
ひと昔前は口にすることが縁起が悪いとされていた自身の死について具体的に考えることが、自分や家族のこれからの人生にとってプラスに働くという認識に変わってきました。

終活と一言で言っても、活動について明確な決まりなどがあるわけではありません。何から始めれば良いのかとなかなか手がつけられない時は、亡くなった時の準備とこれから先の人生についての2つに分けて考えてみると、自身の中で優先順位を含めた整理ができるかもしれません。
死後の手続きやさまざま判断に困らないようにと、残された家族のことを思い終活に取り組む方も多いでしょう。葬儀や終末医療についての意思表示や財産相続などの準備をしておけると安心です。

また人生100年時代と言われる現代、これから先の残された人生を自分らしく送るためのお金の準備というのはとても大切なことです。そして遺産相続というのは、お金が絡むことから少額でもトラブルを生みやすいという性質があります。
相続させたくない相続人がいたり、財産の配分を自由に決めたいなどの希望がある場合には必ず遺言書を作成しておく必要があるでしょう。

今回の記事では遺言書を作成しておくメリットと共に、相続に関する税金について考えてきたいと思います。

終活と遺言書の必要性

終活は絶対に必要?

終活という活動は残りの人生をより充実したものにするため、是非取り入れてほしいものですが、強制されてするとどうしても億劫に感じてしまうかもしれません。しかし終活の活動を通じ避けては通れない自身の最期に向けて、身じたくを整え、葬儀やお墓、遺産についてなどの取り決めを自身で決めて準備を進めておけると安心でしょう。
しかしこれらの項目をすべて完璧に準備をしておく必要はありません。自分のペースで少しでも進めておくことで、家族の負担が軽減されるのです。
自分がやる気の起こること、興味が持てることから調べてみるのも良いでしょう。
そうすることで、必然的にこれまでの人生を振り返るきっかけにもなり、同時にそこから先の残りの人生をより楽しく充実したものにするための目標づくりにもつながります。

昔は葬儀の手配や故人の遺品整理などは家族や親族が協力して行うことがごく自然でしたが、終活を通じて事前に準備をしておくという流れが広まったのには、現代の日本が置かれている社会的背景というのも影響しているかもしれません。少子化や超高齢化社会、核家族化などのほか、社会保障への不安などと言ったといったことから、生前に準備をと考える方が増えているのです。

終活に取り組みたいと感じるタイミングは人それぞれです。
身近な人を亡くしたから、体調を崩したから、子供がいないから早めに準備をしておきたいなどと、ご自身なりのきっかけとなる出来事があれば、そのタイミングで終活を始めるのも良いかもしれませんね。

そしてライフスタイルや家族の在り方などが多様化していることから、終活を通して財産の相続などについてもさまざまな選択肢を検討する人が増えているようです。
お金というのはどうしてもトラブルを生みやすい性質があります。大切な家族が相続を通して不仲になるようなことは誰しもが避けたいと思うことでしょう。そのために準備をしておいてほしいのが遺言書です。
遺言書を作成する大きな意味は、その遺言に法的効力を持たせると言うことです。
きちんと有効性を持たせることで、遺言書を作成する意味も生まれ不要な争いを避けるための役割を果たすことになります。
たとえば、遺言書の必要性を感じない、自身の死後のことは家族に任せたいなどの理由で遺言書を作成する必要性がなく、メッセージ程度で良いという場合は、エンディングノートや手紙などの形で残しても問題ないでしょう。

遺言書の種類について

法的効力を持つ遺言書を作成する場合には、さまざまなルールにのっとって作成する必要があります。
遺言書には3種類あります。

自筆証書遺言
自筆証書遺言はその名のとおり、自身で作成する遺言書のことです。書き方や用紙も自由に作成することができるので、思いついたらすぐに作成することも可能です。ただし、規定の条件を満たしていない場合、内容が無効となり法的な効力を持たない可能性もあります。
手軽さと共にデメリットも大きいので、確実な相続のためにはリスクがあると言えます。また2020年からは、法務局にて自筆証書遺言の保管制度が始まり、自宅保管をしており死後も遺言書が発見されない、という危険性を回避することができるようになりました。
・公正証書遺言
公正証書遺言は公証役場で公証人立ち合いのもと作成されます。費用が発生しますが、自筆証書遺言とは異なり、条件を満たさず無効となる可能性は低く、確実な相続を行うためにはとても有効な遺言書と言えます。また、遺言書の保管場所も公証役場となるので、紛失や改ざんの心配もありません。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言を混ぜ合わせたような特徴を持ちます。遺言書の存在を公にしたくない、誰にも内容を知られたくないという場合には、有効な方法です。作成した本人が遺言書を公証役場にもっていくことで、『自身で作成した遺言書である』ということを証明することができます。
しかしその内容を公証人がチェックすることはありません。そのため自筆証書遺言と同じく、内容の不備で無効になる可能性もありリスクが高い方法でもあります。

法的な効力を持たせることを前提して考えた場合、自身で作成する自筆証書遺言よりも、公証人が関与する公正証書遺言で作成することがおすすめです。公正証書遺言は費用が発生しますが、意味のある遺言書を作成するためには一番の近道と言えるでしょう。

遺産相続にかかるのは相続税?贈与税?

自身が生涯をかけて築いてきた財産を、家族以外にも送りたいと考える方もいらっしゃるでしょう。遺言書を通して、法定相続人やそれ以外の人に相続をさせることを遺贈といいます。遺言書を作成しておくことで、財産の全部もしくは一部を、指名した特定の人に譲ることが可能になるのです。
遺贈は、財産を譲るのだから贈与税がかかるのでは?と思われるかもしれませんが、遺贈は亡くなられた時に発生するため、必要なのは相続税です。贈与税は、生前に財産を譲った場合に必要になります。

相続税には、基礎控除という税金のかからない範囲があります。遺贈された財産を含む相続財産の総額が基礎控除額を上回ったときに相続税がかかります。
また法定相続人以外の第三者へ遺贈を行う場合には、相続税が2割加算されるなどいくつかの注意点が発生します。相続税が通常よりも高くなってしまうことも踏まえて、どのように遺贈をすると良いかを考えておけると安心です。

また税金対策として生前贈与を行うことで、相続時の財産を減らす効果があります。事前に財産を贈与することで自分が亡くなったときの財産が少なくなり、相続時の財産にかかる相続税も軽減される可能性があるほか、年間110万円までの生前贈与は非課税となります。このような税金対策としての生前贈与は早めに始める方が効果的と言えます。

遺言書を作成することで相続人以外にも遺贈を行うことはできますが、相続人には法律で、必ず遺産の一定金額を相続できるという保証がされています。これを遺留分といいます。この遺留分を侵害して遺言書を作成してしまうと、相続人が異議を申し立て遺留分侵害額請求を起こす可能性が出て、争いに発展する可能性があります。遺言書にて相続人以外に財産を譲る場合には、遺留分のことも留意して作成をしておけると安心です。

まとめ

遺言書により遺贈を受ける人には相続税がかかってきます。相続税の計算方法は、相続人がどうか、などで変わってくるので注意が必要です。また不動産を遺贈した際には、不動産取得税がかかったり、登録免許税が高くなることもあります。
遺言書による遺贈は遺言者の最後の意思表示になります。できるだけ遺言者の意思を尊重したいと思う家族が多いと思いますが、可能であれば遺言書を作成する際に、家族に相続について事前に相談をした上で準備ができると安心なのではないでしょうか?
財産を譲る人も、譲られる人も、できるだけ相続に関わるすべての人が納得できることを目標に、遺言書を作成できると良いですね。

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