(本記事作成日:2021年12月13日)

近年、高齢者だけではなく若者の間でも増加していると言われるセルフネグレクト。何をきっかけにそうなってしまうのでしょうか。同居する家族が居なかったり、離れていると生活の変化に気づきにくいこともあります。

本日の記事では、自分らしい老後を過ごすために終活を通して準備をされたいと思う方に、セルフネグレクトになってしまう原因や心理についてお伝えしていきたいと思います。

★本日の記事がおすすめな方
・ご家族が離れて暮らしており、老後の生活が心配な方
・セルフネグレクトがおこるきっかけについて知りたい方
・セルフネグレクトに該当するチェックポイントを知りたい方

セルフネグレクトとは?

セルフネグレクトとはどのような状態をさすのでしょうか。
セルフネグレクトとは、生活を維持する能力や意欲をなくし栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い周囲に助けを求めない状態を指します。日本語では「自己放任」と訳されます。

具体的な症例には下記のようなものがあります。

・昼間でも雨戸が閉まっている
・電気、ガスなどのライフラインが止められていたり、テレビの受信料や家賃の支払いが滞っている
・ゴミが部屋の周囲に散乱している、部屋から異臭がする
・郵便物がたまったまま放置されている
・近所の人や行政が相談に乗ろうとしても拒否をする
・栄養状態が悪い

などです。
最近はゴミ屋敷や汚部屋と呼ばれる言葉も浸透していますが、セルフネグレクトの条件は「住環境」だけではなく、必要な治療を受けないなど自分の体を放置するものもあります。

特に独居老人などは孤立化しやすく、セルフネグレクトに陥っても本人や周囲が気づくのに遅れ、孤立死の原因とも言われています。

セルフネグレクトを引き起こすきっかけや心理とは?

セルフネグレクトに陥る背景を考えてみましょう。

・頼れる家族や友人、恋人がいない
家族や友人、地域などの交流がなく社会的に孤立している状態の高齢者に多いのも特徴のひとつです。周りを頼ろうせず、手を差し伸べても拒否をする傾向にあります。外部との交流を断つことでセルフネグレクトが悪化しやすくなります。
・身体機能が低下している
年齢を重ねるにつれて身体機能が低下します。視力の低下や足腰が弱くなり体がついていけず、生活がおろそかになりやすい危険があります。また病気の後遺症などがある方もセルフネグレクトになりやすい傾向があります。
・認知症を患っている
認知症になると認知機能が低下し適切な判断ができなくなります。判断力が低下すると、生活環境が悪化しても自覚できなくなるのです。内閣府の調査でもセルフネグレクトのうち半数以上の方が、介護を要する認知症であることが分かっています。
・配偶者や家族の死、仕事のトラブルなど精神的に大きなダメージを受けた
身近な人が亡くなったり、仕事で大きな失敗をしてしまったなどの精神的ダメージが引き金となることもあります。配偶者やパートナーが居れば張り合いの出る家事なども、孤独感が増し生活する気力を失ったり、人との交流を嫌がり引きこもりがちになるなどして、セルフケアに関心が持てなくなります。特に若い方のセルフネグレクトの場合は、うつ病や統合失調症、アルコール依存症など、精神疾患の可能性もあります。
・経済的に困窮している
経済的に困窮していることで、セルフネグレクトになる方も増えています。生活全般に対してお金をかけられず、結果「食事がおろそかになる」「風呂に入らない」「住居環境を整備しない」「病院へ行かない」などという生活スタイルが習慣になってしまうことが予想されます。

原因がわからないことも多い
セルフネグレクト状態になったきっかけを調査すると、分からない、きっかけはないという回答も多く、解決の糸口を探すのが難しい場合もあります。
内閣府が調査したアンケートによると、セルフネグレクトになった方の7割が独居であり、社会から孤立している方が多いといえます。また、セルフネグレクトを占めるのは高齢者が多くなりますが、さまざまなきっかけで年齢に関係なく陥ると考えられています。

セルフネグレクトの治療法とは?

セルフネグレクトから抜け出すためには、どうしたらいいのでしょうか。セルフネグレクトにはさまざまな要因がありますので、状況によって解決策も異なります。

本人の想いを聴く
まず前提として、本人とサポートする人との間に信頼関係があることが大切です。「なぜゴミを溜めてしまうのか」「介護サービスを拒否してしまうのか」など、本人の想いに耳を傾け、行動や発言を否定することはしないようにしましょう。セルフネグレクトの方に心を開いてもらうことが大切です。
◆認知症などの疾患がある場合は医師に相談する
認知症や精神疾患があると分かっている場合は、医師に相談してください。認知症は完治する病気ではありませんが、進行を遅らせたり、緩和させたりすることが可能です。また、身内よりも医師などの専門家の意見の方が素直に聞くパターンもあります。
◆地域包括支援センターに相談する
公的な相談先として活用できるのが「地域包括支援センター」です。地域包括支援センターは全国の自治体にあり、誰でも相談できる無料の相談窓口です。地域包括支援センターを通じて、本人と介護サービスとがつながるきっかけも作れます。
◆家事手伝い代行サービスを利用する
家事や片付けに困ったら、家事代行サービスを利用したり、料理が面倒で栄養状態が心配な方は宅配サービスを利用するのがおすすめです。
◆介護サービスを利用する
介護認定が下りている方は、訪問介護や訪問入浴介護、デイサービスなどのサービスが受けられます。特に身体機能の低下によって、セルフネグレクト状態になった方には効果があるでしょう。

離れている家族がいる場合は特に注意!

超高齢社会がさらに進む日本では、セルフネグレクトは深刻化すると予測できます。独居である高齢者がご家族にいらっしゃる場合は、孤立した生活を送っていないか定期的に連絡をしたり、自宅に訪問するなどして様子をみることが大切です。

セルフネグレクトは誰でも陥る可能性が十分にあるものです。このため、ご家族などがセルフネグレクト状態になってしまっても、それを否定的に考える必要はありません。すでにセルフネグレクトが悪化したご家族がいる場合は、1人で抱え込まず、地域包括支援センターや介護サービス、民間サービスなどを活用しましょう。

また近所の方がセルフネグレクトである場合も、孤独死や異臭騒ぎ、火事などの事態になる前に、地域や福祉サービスなどに相談をしてみましょう。

快適な老後生活を送るための終活の必要性

生き方が多様化する時代、老後にも自分らしさを求める人が増えていますが、個人を尊重する風潮から昔のようなご近所同士の付き合いなども希薄にもなりがちです。
セルフネグレクトなどの問題も、他人事ではなく自分にも起こりうる可能性がある事として受け止める必要があります。
しかし終活を通して、老後の生活をある程度風通しの良いものにする準備をしておくことでそのリスクは十分に抑えられます。
快適で楽しい老後生活を送るために大切な要素は、健康、生きがい、まとまった資金などがあげられます。
心身ともに健やかでいることで、社会との繋がりを持ったり、新しいことへチャレンジする意欲も湧いてきます。

・趣味を見つける
テレビやラジオもいいですが、老後も健康であり続けるためには、外出につながるような趣味を作ることが近道です。旅行やカラオケなどの趣味のほかにボランティア活動なども良いかもしれません。
・運動をする
無理にスポーツなどをしようと思わなくても、体を動かすことを目的として歩いたり立ったり、体を動かす動作があれば、健康維持に役立ちます
・からだにやさしい食事を心がける
栄養バランスを考えた食事を自分で用意することが難しければ、配達などのサービスも上手に使いましょう。また、孤食と呼ばれる、ひとりきりでの食事が続くかないような工夫があると良いでしょう。
・住環境を整えておく
老後の生活には、多くのものは必要ありません。断捨離などを少しずつすすめ、持ち物が減ることで、掃除や整理の手間も減り、スッキリとした生活を送ることに繋がります。
また、思い切って四季の移り変わりを感じられる田舎や、利便性の高いマンションに引っ越すなどの選択肢も快適な老後を過ごすためには良い選択かもしれません。
・老後に必要な資金を確保しておく
ある程度余裕のある暮らしをするには年金だけでは不足すると考えられますので、老後を楽しく暮らすには、早い段階から老後資金の準備をしておく必要があります。

まとめ

セルフネグレクトは独居の高齢者に多いため、定期的に生活状況を確認する家族や周囲のサポートがあると良い
・セルフネグレクトはきっかけ次第で誰にでも起こりうることなので、否定的に捉えず生活の改善を目指すことが大切
・終活を通じて快適な老後生活の準備を進めることで、将来自身がセルフネグレクトの状況に陥るリスクを減らすことに繋がる

人生100年時代と言われる現代。老後の生活を、より自分らしく生き甲斐のあるものにするために終活は大切です。終活は「死に支度」であるとともに「生き支度」でもあると言えます。

終活全般に関して疑問・お悩みのある方は、名古屋市熱田区にある合同会社SBNに一度ご相談下さい。
初回無料でご利用いただけます。
親切丁寧に対応させて頂きます。

参考
一般社団法人 日本生前整理・遺品整理協会 https://jaop.or.jp/
一般社団法人 終活カウンセラー協会 https://www.shukatsu-csl.jp/about_shukatsu