終活という言葉をよく耳にするようになりましたが、終活を一言で言うと「自分の人生の締めくくりについて考える活動」のことと言えるのではないでしょうか?例えば相続や遺品整理を生前のうちに自身の意思によって準備をしておいたり、自分史をまとめたり人生観について確認をするなどといったことで、具体的な活動内容は人によって多岐に渡ります。
終活を行うかもちろん個人の自由ですが、率先して終活に取り組む人が増えてきています。それはなぜでしょうか?
人生の締めくくりについて考える、というと、どうしても自身の死と向き合うため、マイナスのイメージを持つ方も多いかもしれませんが、終活とはいつか来る死の準備を行うためだけの活動ではありません。むしろ、これまでの人生を振り返ることで残りの人生をどのように生きるかを前向きに考え、老後の生活を豊かにするための取り組みでもあります。
事務的な作業をしておくことも残された家族のためにも大切ですが、それだけではなく、やり残した夢に向かって新たなことにチャレンジしたり、友達と一緒に趣味を作りたい、というような計画を立てるのも立派な終活の取り組みのひとつなのです。

そんな前向きな活動として捉え、心身ともに豊かな老後生活を送るために必要なのは、やはりある程度のお金なのではないでしょうか?
そのために資産形成について考え、老後のお金の不安を解消しておけると、残りの人生もより楽しめるものになるかもしれませんね。

特に遺産相続においては、揉め事が起こってしまうと簡単に問題が解決されないことが多くあります。自身の死後とは言え、残された家族の仲が悪くなることは誰も望んではいないでしょう。そのため、準備をしておけると安心なのが遺言書です。
遺言書を残しておかないと、相続人にあたる人たちは遺産分割協議を行う必要があります。そこで相続人全員で、遺産の分割方法について話し合い、遺産分割協議書というものを作成しなければなりません。

今回の記事では、遺言書の必要性とともに、遺産分割協議についても考えていきたいと思います。

遺言書の必要性とは?

遺言書を作成し残しておくべき最大のメリットは、家族や親族間の相続トラブルの回避と言えるでしょう。遺産相続というのは、一度争いごとに発展してしまうと、なかなか簡単には解決せず、問題が長期化することも珍しくありません。
被相続人が生前の間は仲の良かった兄弟が、相続トラブルで縁を切ってしまうような関係性になってしまうこともあります。我が家に限ってそんな心配はない、という方も多いと思います。しかし、相続のトラブルというのはその時にならないと分からないことです。生前にトラブルの可能性を少しでも取り除いておきたいという気持ちがある方は、遺言書を作成しておくことが、家族や相続人への最大限の思いやりかもしれませんね。

特に、以下のような方は遺言書の作成を強くおすすめします。
・遺産の分配内容に希望がある
・法定相続人以外の人に相続させたい
・相続させたくない相続人や財産がある
・法定相続人が誰もいない

このような希望や状況がある場合、遺産相続争いに発展させることなく、被相続人の思い通りに遺産を配分するためには、遺言書は必須と言えるでしょう。
遺言書には大きく分けて下記の3種類があります。

自筆証書遺言
自筆証書遺言はその名のとおり、自身で作成する遺言書のことです。書き方や用紙も自由に作成することができるので、思いついたらすぐに作成することも可能です。ただし、規定の条件を満たしていない場合、内容が無効となり法的な効力を持たない可能性もあります。
手軽さと共にデメリットも大きいので、確実な相続のためにはリスクがあると言えます。
また2020年からは、法務局にて自筆証書遺言の保管制度が始まり、自宅保管をしており死後も遺言書が発見されない、という危険性を回避することができるようになりました。
・公正証書遺言
公正証書遺言は公証役場で公証人立ち合いのもと作成されます。費用が発生しますが、自筆証書遺言とは異なり、条件を満たさず無効となる可能性は低く、確実な相続を行うためにはとても有効な遺言書と言えます。また、遺言書の保管場所も公証役場となるので、紛失や改ざんの心配もありません。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言を混ぜ合わせたような特徴を持ちます。遺言書の存在を公にしたくない、誰にも内容を知られたくないという場合には、有効な方法です。作成した本人が遺言書を公証役場にもっていくことで、『自身で作成した遺言書である』ということを証明することができます。
しかしその内容を公証人がチェックすることはありません。そのため自筆証書遺言と同じく、内容の不備で無効になる可能性もありリスクが高い方法でもあります。

遺言書を作成しておく最大のメリットは、遺言内容に法的有効性を持たせることができる点です。自身が思った様に財産の配分を行いたい、相続させたくない財産や相続人がいるなどの場合、希望を最大限に実現するために有効なのが遺言書なのです。
そのため確実に法的に有効な遺言書を作成するには、不備が発生する可能性の最も低い公正証書遺言をおすすめします。しかし公正証書遺言は手数料が必要になったり、好きなタイミングで修正などを行うことは難しいでしょう。

遺言書がない場合にはどうする?

もし、被相続人が亡くなった時に遺言書が作成されていなかった、発見されない時には、遺産分割協議というものを行う必要があります。
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。相続人が誰かということを確定し、相続財産を把握します。そしてその財産を、相続人の間でどのような配分で分配するかを決めるため話し合うことを、「遺産分割協議」と呼んでいます。

 遺産分割協議が必要とされる理由は、遺産の分配について全ての相続人の合意を得ることで、手続きをスムーズに行うことなどが挙げられます。逆に言うと、遺産分割協議が終わらないうちはすべての遺産において相続の手続きを進めることはできません。

そして、法定相続人全員で遺産分割について話し合った結果を、書面にまとめたものが「遺産分割協議書」です。預貯金や自宅の不動産、貴金属類のほか、借金などのマイナスの遺産などがある場合はそのすべての相続財産について、誰がどれだけ相続するかの分配の詳細を記載します。この遺産分割協議書の作成をもって、相続の分配について相続人全員が合意したことを証明する仕組みになっています。

遺言書があらかじめ用意されている時は、被相続人の希望により遺産が分配されますので基本的に遺産分割協議は必要ありません。
しかし、遺言書の内容が相続人の遺留分(法定相続人が、法律により最低限相続が保証される割合)を侵害している内容であった場合などに、相続人がそれを不服とする際には、遺産分割協議を行い分配について協議する必要が出てきます。
そのため、遺言書を作成する際には、遺留分については侵害することのない内容を残しておけると安心でしょう。

まとめ

遺産分割協議書は、相続トラブルを防ぎ、相続手続きをスムーズに進めるための基本的な書類です。その内容は、相続人たちが自分で書くことも可能です。
しかし、書式などに誤りがあった場合などは無効になることもあり、実際に相続を進めようと手続き入った時に使えない恐れもあります。
遺産分割協議書は人生のうちで何度も書く機会のある書類でもありませんし、遺言書を発見したり、相続が発生する際には知識のしっかりとした専門家に相談するのもおすすめです。

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