空き家活用方法シリーズとして第1回に「空き家の活用方法~売却編~」を 公開いたしました。
空き家の放置は、建物倒壊による周辺住民への損害発生・特定空き家に認定されることによる固定資産税の増額・老朽化に伴う資産価値の低下など、様々なデメリットが生じてきます。
そのような事態になる前に、早急に対応することが望まれます。
本日は、空き家の資産価値を高める「空き家リノベーション」について、詳しくお伝えしていきます。
空き家のリノベーションとは
「リノベーション」とは、既存の建物に対して、新たに付加価値を加える改装工事を意味します。
意味合いとしては「性能を向上させる」というものです。
これに対し、老朽化した部分を修復する場合を「リフォーム」と言います。
こちらは「原状回復」という意味合いがあります。
リノベーションを行うことで、家そのものの価値を高め、新たな活用方法を見出すことができるのです。
空き家をリノベーションするメリット
空き家をリノベーションすることによって、以下のようなメリットが考えられます。
資産価値の向上
空き家をイノベーションすることで新築時のように生まれ変わることで、売却時に買い手が見つかりやすく、賃貸に出す際は借り手が見つかりやすくなることが期待できます。
リノベーションの場合、間取りや内装・設備などを大幅に変更することができるため、家全体の機能を高め、ひいては資産価値を向上させてくれます。
資産価値の向上は、家族以外の第三者に対して効果があるだけではありません。
例えば、両親が住む実家をリノベーションし、家全体の魅力を向上させることで、子供世帯が住んでくれる可能性もあります。
実家が自分の代で無くなることは寂しいという思いをお持ちの方であっても、空き家のリノベーションにより後世にも慣れ親しんだ実家を残すことができます。
空き家のリノベーションは、単に家の価値を高め、売却や賃貸に出して収益を得るというだけでなく、その家に住んでいた人の「思い」も実現してくれる手段といえます。
固定資産税対策
不動産に対しては毎年固定資産税がかかってきます。
この固定資産税ですが、建物が建っている土地の場合、固定資産税は1/6に減額されます。
しかし、建物を取り壊した場合、その優遇が適用されなくなるため、税金を抑えるために建物をそのままにしておく方がいます。
これが、空き家が増加する一因となっています。
なおこの点に関しては2015年5月26日に施行された空家等対策特別措置法にて対策がとられました。この法律によって「特定空き家」に指定されてしまうと、先ほどの固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
「特定空き家」の該当条件としては、以下のようなものがあります。
1.倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態(例 建物が傾いているなど)
2.著しく衛生上、有害となる恐れがある状態(例 ゴミが放置されて悪臭が漂っている)
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
(例 建物に汚物や落書きがなされている)
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(例 野犬や野良猫などが集まり鳴き声がうるさい、不審者が侵入している)
特定空き家に指定された場合、自治体から改善命令が出されることがあります。
この命令に応じない場合、最大50万円以下の過料が科されてしまいます。
そのため、特定空き家となる前に空き家のリノベーションを行い有効活用することで、金銭的な負担を軽減することができます。
現住居の賃貸期間短縮
これは買い手側のメリットになりますが、リノベーション済みの物件を気に入り購入した場合、買い手はすぐに入居出来るため、現在住んでいる住居から早く転居できることになります。
仮に現在住んでいる住居が賃貸物件の場合、転居できる期間が早ければ早い分、現在支払っている家賃を払わずに済むことになります。
リノベーションは内容にもよりますが、1~2ヶ月程度の工期が必要となります。
リノベーション前の建物を購入し、買い主がリノベーションを手配しなければならない場合、購入してからリノベーションが完了するまでは現在の賃貸住居に住み続けることになり、余計に家賃を支払う必要が出てきます。
リノベーション済みの建物の場合、建物自体が魅力的に映るだけで無く、余分な費用を払わずに済むという、経済的なメリットもあるのです。
空き家リノベーションの具体的内容
具体的なリノベーションとしては、以下のようなものがあります。
床の張り替え→畳張り替え、フローリングへの張り替え
水回り改修→システムキッチン交換、洋式トイレへの交換、ユニットバスへの交換
外壁塗装・張り替え→外壁全面張り替え
耐震補強→新耐震基準(1981年6月施行)への補強工事
費用はそれぞれリノベーションの内容によって異なってくるため、リノベーション会社に明細を良く確認するようにしましょう。
活用できる補助金
空き家のリフォームの際に活用できる補助金についてご紹介いたします。
ご紹介する補助金は、本ブログ作成時点でのものになります。
ご覧いただいている方が利用できるか否かについては、実施団体にご確認ください。
次世代省エネ建材支援事業
こちらの事業は、断熱リフォームに対して補助金が支給される事業です。
「断熱材を組み込んだパネル・潜熱蓄熱建材を使うリフォーム」が対象になります。
ただし、断熱材だけではなく、玄関扉やペアガラス(高性能窓)も一緒に取り換えると補助の対象になります。
補助対象経費が合計40万円以上になることが条件となっています。
補助率は補助対象経費の1/2ですが、補助額に上限があり、戸建200万円・集合住宅125万円となっています。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
住宅の性能向上や長寿命を目的にリフォームされた住宅に対して補助金を支給する事業です。
リフォームやリノベーションの前に、専門家による「住宅診断」を受け、リフォーム後に定められた基準を満たす必要があります。
断熱や耐震工事はもちろん、省エネルギー性、維持管理、三世代同居対応、子育て世帯向け改修の基準を一つ以上満たさなければなりません。
補助率は、補助対象経費1/3で、上限が100万円となっています。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームは、介護保険制度から補助金がおります。
要支援や要介護状態になった方が住む自宅をリフォームした場合、リフォーム費用の9割のが補助されます。
リフォーム内容は手すり設置、段差解消、和式トイレを洋式に変更などリフォーム内容に決まりがあるので、検討する際はよく内容を精査してください。
地方自治体による補助金制度
先にご紹介した3つの補助金は、国が行うものです。
この他、地方自治体が独自に行う補助金制度も存在します。
以下に一例をご紹介いたします。
1.愛知県美浜町 「空き家情報登録制度(空き家バンク)補助金 (耐震、断熱、バリアフリー化補助制度)」
空き家バンク制度を活用し、物件を取得又は賃貸の契約が成約したものについて、耐震改修費及び断熱化工事、バリアフリー工事に対して限度額を10万円として補助する制度です。
2.愛知県日進市 「日進市空家バンク定住促進リフォーム補助金」
市外に住む人が、日進市に定住する目的で日進市空家バンクを利用して空家を購入し、その住宅をリフォームする場合、リフォームに要する費用(消費税などを除く)の1/2以内(1,000円未満切捨て、上限30万円)の費用を予算の範囲内で補助します。
まとめ
・空き家のリノベーションとは、建物に新たな付加価値を加える改装工事を言う。
・空き家のリノベーションを行う事で、資産価値向上・固定資産税対策などのメリットが享受できる。
・空き家のリノベーションに対して利用できる補助金があり、国・地方自治体が行っている。
空き家のリノベーションを含め、不動産に関して不安やお悩みをお持ちの方は、名古屋市熱田区の合同会社SBNにご相談ください。
親切丁寧に対応させていただきます。
参考
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000995.html
日進市 https://www.city.nisshin.lg.jp/department/tosiseibi/toshi/7/3/2/2/5331.html
美浜町 https://www.town.aichi-mihama.lg.jp/docs/2018031200014/