(作成日:2021年10月8日)

本ブログ「空き家問題と相続」でもご紹介したとおり、空き家の数は増加傾向にあります。

2018年の空き家の数は全国で約846万戸(出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」)、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%となりました。

民間予測では、2033年の全国空き家数は1955万戸、空き家率は27.3%になると予想されており、今後も増加の一途を辿る見込です。

空き家数増加の背景には、少子高齢化などが関係しており、すぐに根本的な解決が難しい問題であります。

このことからも、今後も空き家数が増加することが予想できます。

また、空き家を放置しておくことによる様々な問題点も生じています。

近年は台風や大雨など、自然災害による被害が数多く報告されていますが、自然災害による建物の倒壊と、それに伴う近隣住民への被害の発生といった危険が生じる恐れがあります。

今回の記事では、ご自身やご家族が空き家をお持ちの方で、空き家の活用方法や処分について悩まれている方に向けて、空き家の「売却」について詳しく書いていきたいと思います。

空き家の活用方法のシリーズとして、今後「リノベーション編」「賃貸編」の記事も掲載予定ですので、合わせて読んで頂くことをオススメします。

空き家を売却した方が良い理由

空き家を売却する理由としては、主に以下に挙げるものがあります。

建物倒壊の危険

住宅は定期的に換気や清掃を行うなど適切に管理をしていかないと老朽化の原因になります。

また、旧耐震基準である昭和56年以前に建てられた建物に関しては耐震性が不足している可能性があります。

近年多発する自然災害により、老朽化した建物や耐震性が不足している建物は被害を受けやすく、倒壊の危険があります。

倒壊により近隣住民に被害が発生した場合には、所有者が安全管理を怠っていたとされると、損害賠償を請求される恐れがあります。

固定資産税の発生

固定資産税は、毎年1月1日時点での不動産所有者に対して課される税金であり、原則、全ての土地と家屋が対象になります。

そのため、空き家になり誰も使用していない状態であっても、固定資産税が発生します。

また、「空き家等対策特別措置法」という法律により、倒壊の危険がある空き家などは「特定空家等」と認定されます。この場合、修繕などの行政指導が入りますが、改善されない場合、税の優遇が受けられず、固定資産税額が6倍に上がってしまいます。

資産価値の低下

冒頭でお伝えしたとおり、空き家は増加傾向にあります。

少子化に伴う買い手候補の減少により、この傾向は一層加速する可能性があります。

そうなると、空き家の売り手が少数の買い手を探し合う供給過多の状態にあります。

できるだけ早く売却したい売り手としては、値下げをしてでも売りたいと思うはずです。

これにより、売却価格の減少を招くことになるでしょう。

また、長期間空き家の状態になることにより、建物自体が老朽化して価値が下がることになります。

そうなると、売却価格は期待できません。

犯罪の温床になる危険

人が住んでいないことにより、犯罪に利用されることが考えられます。

例を挙げると、空き家は放火に狙われやすい建物になります。人の出入りが無いため、敷地内に侵入しても周囲から気づかれにくいためです。

また、管理がなされていない建物の場合、敷地内にゴミや枯れ草などが放置されていることも原因とされています。

その他、建物が犯罪の拠点として利用されるなど、犯罪のリスクや治安の悪化を招くことになります。

空き家売却の最適なタイミング

空き家売却のタイミングとしては、以下の2つの特例が利用できる期間に売却することをオススメしています。

3,000万円まで控除可能な「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」

この特例は、親が亡くなり、空き家となった実家を相続した場合に利用できる税制優遇措置ことです。

この特例が適用されることにより、3,000万円の特別控除を受けることができるのです。

適用条件

以下の条件①を全て満たし、かつ、条件②のいずれかを満たす必要があります。

条件①

1.平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売却した空き家であること

2.相続のあったときから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること

3.昭和56年5月31日以前に建築された(旧耐震基準)戸建てであること(マンションなど区分所有建物ではない)

4.相続開始まで、亡くなった方が居住していた家であること

5.相続開始後に空き家以外になっていないこと(賃貸に出す、相続人が住むなどの履歴がない)

6.売却額が1億円を超えないこと

7.建物だけでなく、土地も相続していること

8.同じ被相続人(亡くなった方)の相続で既にこの特例が利用されていないこと

9.空き家の買主は第三者であること(配偶者や一定の親族、同族会社など特別の関係にある人や会社への売却は適用外)

条件②

1.耐震リフォームをして一定の耐震性を備えている

2.建物を取り壊して更地にする

3,000万円まで控除可能な「マイホームを売ったときの特例」

この特例は、親が存命中に、介護施設へ入居が決まったことなどを理由に空き家になった場合に利用できる税制優遇措置です。

この特例が適用されることにより、3,000万円の特別控除を受けることができます。

適用条件

以下の全ての条件を満たす必要があります。

1.親が住んでいた家であること

2.親が住まなくなってから3年目の12月31日までに売却されていること

3.売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係(生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人など)でないこと

4.家を売却した年の前年・前々年に、この特例又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと

5.家を売却した年、その前年・前々年に、マイホームの買換え・マイホームの交換の特例の適用を受けていないこと

6.他の特例の適用を受けていないこと

空き家売却の方法

空き家売却の方法としては、大きく以下の2通りがあります。

仲介

不動産の「仲介」とは、不動産仲介業者が売主から依頼を受けて、広告宣伝や販売活動を行い、買主と繋げる仕組みを言います。

仲介の場合、売却が成立した場合には、不動産仲介業者に仲介手数料を支払うことになります。仲介料は売却価格によって異なりますが、およそ売却価格の3~5%となります。

仲介手数料の支払が発生することにはなりますが、売主の意向を聞いて、なるべく高い価格で売却できるよう、協力してくれることが期待できます。

買い取り

不動産の「買い取り」とは、不動産業者に直接空き家を買い取って貰うことを言います。

買い取りの一番のメリットは、売却までのスピードが早い点にあります。

不動産会社自体が買主になるため、不動産会社が提示する買い取り価格に売主が納得できれば、それで売却可能です。

ただし、買い取りの場合、仲介で買主を探す場合に比べ、売却価格が安くなる傾向があります。

買主である不動産会社は、購入した物件をリフォームや解体して再販売することを目的としているため、それにかかる費用を見込んで、なるべく安価で仕入れるようにしているのです。

まとめ

・空き家は年々増加傾向。2018年の空き家の数は全国で約846万戸ある

・空き家放置の危険性として、建物倒壊・固定資産税発生・犯罪リスクの発生がある

・空き家売却のタイミングは、空き家になってから3年以内がオススメ

・空き家売却は「仲介」「買い取り」がある

空き家放置は隣人や親族間のトラブルの元になる危険があります。
活用する予定が無ければ、売却検討をしてみてはいかがでしょうか。
関心のある方は一度、名古屋市熱田区の合同会社SBNにご相談下さい。
初回相談無料ですので、まずはお気軽にご相談下さい。

参考

国税庁 https://www.nta.go.jp/

特定非営利活動法人 空家・空地管理センター https://www.akiya-akichi.or.jp/

総務省統計局 https://www.stat.go.jp/index.html