終活を進めていくと誰しもが通る道が、老後の生活費や医療費のこと、財産の処分や相続などのお金の問題ではないでしょうか?
終活は自身のこれまでの人生を振り返り、これから先の人生をより良いものにするための前向きな活動です。残される家族の負担をできるだけ減らしたい、最期まで自分らしく人生を歩みたい、などを目標に、終活の活動は多岐に渡ります。葬儀や供養の方法を自身の思うように決めておく、介護や終末医療の希望を伝えておく、終の住処について決めておきたいなど準備をしておくことは、人によって様々です。
そのためには老後の資金を確保したり、財産の相続についても考えていく必要があるでしょう。そしてその財産については、遺言書を用意しておけると安心です。

今回の記事では、終活の活動の中の遺言書について考えていきたいと思います。人の死のタイミングというのは、誰にも分かりません。そのため遺言書というのは作成してから、実際役に立つまでに数年から長いと数十年かかることもあるでしょう。そのため財産の変動があったり、相続人が死亡するなどの事態が想定されます。その際には、遺言書の訂正が必要となってきます。遺言書の訂正や修正はどのように行えばいいのでしょうか?

遺言書はどのように作成すれば良い?

終活の活動を通して、自分が置かれている状況や身の回りにあるものの価値を改めて認識することができるのも、終活の魅力のひとつではないでしょうか。それにより、楽しく自分らしい老後を送るためのきっかけになることも少なくないようです。終活が広まった背景には、少子高齢化や経済的不安など日本を取り巻く社会情勢も大きく影響しているのではないかと言われています。
自分が思い描く老後を迎えるために避けて通れないのが、財産の管理になるでしょう。ここからの人生、こんな日々を過ごしていきたい、家族に残しおきたいものがある、葬儀や埋葬方法に希望があるなど、これからのお金の流れもきっちりと把握できていると安心です。

そのためには、預貯金だけではなく、所有している不動産や生命保険、株や投資信託などの自身の財産の洗い出しを行い、資産価値を認識する必要があります。
これまでの長い人生の中で築いてきた財産を全て把握するには、思っている以上に時間と体力を要するものです。そしてそれを元に遺言書を作成することになるので、遺言書を作成する準備というのはできるだけ心身ともに元気なうちに行うのがおすすめです。
さらに、所有しているプラスとなる財産だけでなく、借入金、ローンなど負の遺産についても明確にしておくことが大切です。マイナスの財産というのも、そのまま家族に引き継がれてしまうからです。
できるだけ残される家族の負担を減らしたいというのは、誰しもが思うことでしょう。思い立った時に、少しつづでも準備を進めていきたいものですね。

次に、遺言書の種類についてご紹介していきたいと思います。遺言書には大きく分けて下記の3種類があります。

自筆証書遺言
自筆証書遺言はその名のとおり、自身で作成する遺言書のことです。書き方や用紙も自由に作成することができるので、思いついたらすぐに作成することも可能です。ただし、規定の条件を満たしていない場合、内容が無効となり法的な効力を持たない可能性もあります。
手軽さと共にデメリットも大きいので、確実な相続のためにはリスクがあると言えます。
・公正証書遺言
公正証書遺言は公証役場で公証人立ち合いのもと作成されます。費用が発生しますが、自筆証書遺言とは異なり、条件を満たさず無効となる可能性は低く、確実な相続を行うためにはとても有効な遺言書と言えます。また、遺言書の保管場所も公証役場となるので、紛失や改ざんの心配もありません。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言を混ぜ合わせたような特徴を持ちます。遺言書の存在を公にしたくない、誰にも内容を知られたくないという場合には、有効な方法です。作成した本人が遺言書を公証役場にもっていくことで、『自身で作成した遺言書である』ということを証明することができます。
しかしその内容を公証人がチェックすることはありません。そのため自筆証書遺言と同じく、内容の不備で無効になる可能性もありリスクが高い方法でもあります。

遺言書を作成しておく最大のメリットは、遺言内容に法的有効性を持たせることができる点です。自身が思った様に財産の配分を行いたい、相続させたくない財産や相続人がいるなどの場合、希望を最大限に実現するために有効なのが遺言書なのです。
そのため確実に法的に有効な遺言書を作成するには、不備が発生する可能性の最も低い公正証書遺言をおすすめします。しかし公正証書遺言は手数料が必要になったり、好きなタイミングで修正などを行うことは難しいでしょう。

自筆証書遺言については、今までは自身で保管をする必要があったため、最悪死後遺言書が発見されないまま相続が進んでしまうという事態が起こる可能性がありました。2020年からは、法務局にて自筆証書遺言の保管制度が始まり、より選択の幅が広まったと言えるでしょう。

遺言書の訂正をしたい場合にはどうしたら良い?

公正証書遺言の場合、公証人の元で作成をする必要があるため、ここでは自筆証書遺言書の訂正や変更などを行う場合について考えていきたいと思います。自筆証書遺言の訂正を行う際にはルールが定められており、それに従って行わなければ訂正箇所について無効となってしまう可能性があります。

民法上、自筆証書遺言の訂正は、加除その他の変更と呼ばれます。その方法は以下のように記載されています。
「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」

つまり、訂正や変更を行った箇所について
① その場所を示す
② 変更したことについて書き足す
③ その部分に署名をする
④ 変更場所に押印する

と、なります。

では、訂正がルールに従っていない場合はその遺言書はどうなるのでしょうか?民法上では、その方法に従っていない場合その効力を生じないと規定されています。
つまり、せっかく訂正や変更を行なっていたとしてもそれは無効となり、結果自分の意思に反した遺言書が法的に有効なものとなってしまいます。遺言書の作成方法と共に、訂正する方法についても正しく理解した上で遺言書の準備をしておくことが重要と言えます。
作成しておいた遺言書が意味のないものになってしまわないよう、法的にきちんと有効性のある遺言書を残しておけると良いですね。

まとめ

終活の中の取り組みの一つ、遺言書についてご紹介してきました。遺言書の作成については、さまざまな変更や修正が加えられ、より使い勝手の良いように改善も進めらています。自筆証書遺言は2020年7月から、財産目録についてはパソコン作成をすることが可能になりました。
遺産相続というのは、例え少額だったとしてもトラブルを生みやすいものです。それまでは仲の良い家族だったのに、相続をきっかけに不仲になってしまうケースも珍しくありません。
そのため、自身の老後のことを考え財産の整理をすることも重要ですが、残される家族のことを思い、遺言書を作成しておくことを強くおすすめします。

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