(本記事作成日:2021年11月16日)
お墓に対する考え方が多様化し、墓地・納骨堂・樹木葬などさまざまな選択肢がある中で、散骨も一般的になってきました。海洋散骨とはご家族の手で、もしくはご家族に代わって遺骨を海に還す自然葬の一つです。

少子化や核家族化に伴いお墓の維持や取得に問題や不安を抱えている人も多く、海洋散骨であれば経済的にも負担は軽くなります。

本日の記事は、遺骨の弔い方法の一つとして注目されている海洋散骨についてお伝えしてきます。

★本日の記事がおすすめな方
・お墓にお金をかけたくない方
・お墓の維持が難しい方
・自然や海がお好きな方
・宗教と無縁の方

葬儀や埋葬の多様化

これまで日本のお墓は、一つのお墓に家族が埋葬され子や孫に代々引き継がれていくというお墓が一般的でした。お寺などの檀家制度を利用し、管理料や供養料などを負担することで供養を受け続けられるシステムです。

しかし、現代の日本では、核家族化や結婚の高齢化、離婚率の上昇、お子さまのいらっしゃらない方など家族構成もさまざまで、それと共に生き方も多様化しています。

「夫婦であっても同じお墓には入りたくない」、「埋葬される時には自由になりたい。」と考えられる方も少なくありません。

また墓守の負担を減らすため、霊園や寺院のほか、納骨堂などで、様々な理由でお墓参りに行けない遺族の方に代わって、ご遺骨を管理・供養してくれる永代供養を選ぶ方も増えています。

永代供養とは、ご遺骨を最初と同じ埋葬方法で永遠に管理してもらえると誤解されてしまうことがありますが、ご遺骨の安置期限が決められている場合もあります。また、安置期間に明確な決まりはなく、寺院などがある限り個別に管理や供養をしてもらえる場合もあります。

永代供養墓を検討する際は、安置期限についても確認し、ご自身やご家族の希望を明確にしておくことをおすすめします。

その他の選択肢として、お墓を引き継いで管理できる方がいない、お墓にお金をかけたくない、子供や孫の負担を減らしたいなどの様々な声がある中で注目されているものの一つが、海洋散骨や樹木葬、宇宙葬などの自然葬と呼ばれるものです。

「海洋散骨」とは?

海洋散骨とは、遺骨を海洋に散布することで故人を葬る自然葬の一つです。海が好きだった、自然の一部にかえりたい、思い出の場所に散骨してほしいという思いから生前から海洋散骨を希望する方が増えています。またお墓に納骨しないため墓守の必要が無く、費用面でも負担が抑えられることから遺族からの人気も高まっています。

どこの海に散骨するのか、どのように散骨するのか事前に希望を家族に伝えておくのも大切です。

家族が参加し散骨する方法や業者に散骨依頼をする方法など、気を付けておきたい事も含め海洋散骨について紹介していきます。

海洋散骨は違法ではない?

海洋散骨をするには、現在の法律では明確な規定は定められてらず「節度を持って散骨を行えば、処罰の対象にしない」というのが日本での見解です。つまり、散骨は自由であり、役所への申請や提出書類も必要ありません。

しかし現実には、さまざまな問題が指摘されています。

細かな規制がないものの、海産物への影響を考え養殖を行なっている場所や、観光業など海水浴場の近くの海岸などでの散骨は避けるなど、周囲に対して十分な配慮が必要です。

ルールやマナーに反するような散骨をおこない、まわりの人とのトラブルに発展したり、お客様の安全を守れない事業者によって、海洋散骨の最中に事故がおこる可能性もあり十分に注意が必要です。

ただし地域により、市民の宗教的観点や公衆衛生と公共の福祉の保全などの観点から、海洋散骨自体を禁止していたり条例などを設け規制をしている自治体もありますので、必ず事前に確認をした上で進める事が非常に重要です。

海洋散骨の手順

海洋散骨を行うにはいくつかの方法があります。

・業者に依頼する
・故人で船をチャーターする
・飛行機に乗って空から海へ散骨する

砂浜や岩場など周囲に人がいない場所を選び、そっと散骨する人もいるようですが、トラブルに発展する場合もありますのでおすすめはできません。

海洋散骨はルールとマナーを守れば自由に海へ撒くことができますが、散骨するためにまず遺骨と分からない程度(1mm~2mm程度)までパウダー状に粉骨する必要があります。自分で粉骨するには、大変な労力と遺骨を砕く作業には精神的なダメージも伴うので、海洋散骨を専門に行っている業者に相談をする事をお勧めします。

結論として、海洋散骨は「遺骨とわからないように」「岸からかなり離れた漁業権などが存在しない海域で」行うことが望ましい手順となります。

海洋散骨を請け負う業者は多数あり、遺骨を粉骨する事のみを依頼する事も可能です。

新しいご供養の形の海洋散骨ですので、専門知識や設備を備えた業者かをきちんと確認した上、セレモニーの内容と予算などを相談し、希望に合った業者に依頼するのがスムーズなのではないでしょうか。

費用について

海洋散骨を行う場合、多くは船による散骨です。同船する遺族の人数や、業者により様々なセレモニーも提案されており費用も異なります。

・参加型の散骨の場合の費用相場 20万円〜
・代行型の散骨の場合の費用相場 5万円〜
・遺骨を粉末化する粉骨費用の相場 1万円〜

業者が代行して散骨する場合、複数の遺骨を預かり都合の良いタイミングで散骨する事が多く、日程が決まっていない、遺族が同船しないなどの理由で割安になる事が一般的です。

しかし、費用が安く抑えられたとしても、故人にゆかりの無い海であっては意味が無いと思う遺族の方も多く、希望する海での散骨が叶うかどうかも業者を選定する上で大切にしたいポイントです。

海外での海洋散骨について

海洋散骨を希望される方の中には、海外の海への散骨をお考えの方もいっらしゃるのではないでしょうか。海外で散骨をする場合は、それぞれの国や地域により法律や規則を事前によく調べる必要があります。

日本人の旅行先としても非常に人気の高いハワイの海には、散骨を希望する人も多くいます。ハワイでは陸地から3マイル以上離れた海域で、禁止区域以外であれば散骨ができます。また、散骨にはライセンスが必要で、使用する船や飛行機も州政府に届け出が必要です。ハワイでも散骨を請け負う業者は多くありますので、ハワイでの海洋散骨は身近なものと言えそうです。

また世界遺産であるオーストラリアのグレートバリアリーフでは、人が少ない離島周辺で散骨をすることができます。アメリカやイギリスなどでも散骨を行うことは十分可能な選択肢ではありますが、国や文化などのルールやマナーをしっかりと理解した上で行うことがとても重要です。

また、海外で散骨を行う場合遺骨を機内に持ち込むことは認められています。粉骨を機内に持ち込む場合、粉骨証明書などを用意しておくとよりスムーズかもしれません。

まとめ

・お墓に対する考え方が多様化する中で注目される海洋散骨

・海洋散骨は個人で行うことも、業者に依頼して行うことも可能だが、地域や自治体などのルールやマナーを守ってすすめる事が大切

お墓の後継者がいない、お墓を購入したくない、墓守できないなどの問題から、墓じまいを選択する人も増えています。墓じまいをしたとしても、ご先祖様を粗末にするわけではなく、供養はきちんと続けられます。

ご家族にご自分の希望を伝えておくことも含め、事前にお墓についての相談を進めておく事は非常に大切です。

墓じまいなどお墓の問題をはじめ、終活全般に関して疑問・お悩みのある方は、名古屋市熱田区にある合同会社SBNに一度ご相談下さい。親切丁寧に対応させて頂きます。

参考:一般社団法人 日本海洋散骨協会 https://kaiyousou.or.jp

株式会社エータイ(永代供養墓普及会) https://eitaikuyou.net/