(本記事作成日:2021年11月13日)
「ペットは家族の一員」という認識の高まりのもと、様々な要因から飼育数が増えているペット。
日々の生活を豊かにしてくれ、人々の癒やしになってくれています。
しかし、ペットも長寿命化しており、自分が亡くなってしまった後に誰がペットの世話をするかを心配する方も増加してきています。
本日の記事は、自分に何かあってもペットが安心して生活できるようにするための方法についてお伝えしていきます。

★本日の記事がおすすめな方
・ペットを飼われている高齢者世帯・おひとりさま世帯
・自分が亡くなった後に、誰にペットの世話を頼むか決めていない方

ペットの長寿命化

人間と同じように、ペットも長寿命化が進んでいます。
アニコム ホールディングス株式会社によると、2008年から2017年までの間で、犬猫の平均寿命がどちらも大きく伸びていたことが判明しました。
調査結果は下記の通りです。

・犬 2008年 13.3歳  2017年 14歳
・猫 2008年 13.7歳  2017年 14.2歳
 *データ元:アニコム 家庭どうぶつ白書2019

犬は10年間で+0.7歳(人間の寿命で換算すると4~5歳分)、猫は10年間で+0.5歳(人間の寿命で換算すると3~3.5歳分)寿命が延びていることがわかります。
長寿命化の背景には、飼育の質の向上(ペットフードの高栄養化、ストレスをかけない飼い方など)や、動物医療の発達が挙げられます。

4つの対策

遺言書の作成

自分に万一があった場合に備える対策としては、遺言書の作成が挙げられます。
遺言書の中で、ペットの飼育を条件として財産を渡す「負担付遺贈」を行うことが良いでしょう。
負担付遺贈の場合、財産を受け取ると、与えられた負担(義務)を果たす必要があります。
ペット飼育が条件となっているため、財産を受け取った人が、ペットが亡くなるまで世話をする必要があります。
途中で飼育を放棄した場合、受け取った財産を返却する必要があります。

しかし、遺言書による負担付贈与は、遺言者が一方的に行うものであり、その負担(義務)を引き受けるか否かは、受遺者が自由に決めることができます。
そのため、飼育したくないとの考えから、遺産を受け取らないという選択をすることもできます。

遺言書によって受遺者を指定したとしても、キチンと飼育してくれるかはわかりません。
遺言者は亡くなっており、監督することはできません。
そのような場合、当初から信頼できる人を選任することはもちろんですが、遺言執行者などの監督できる人を選任しておくことが重要です。
遺言執行者は、遺言内容を適切に執行する責任を負うものであり、負担付遺贈の場合にはその後も適切に実行されているか監督する責任があります。

負担付死因贈与契約

前述したように、負担付遺贈の場合は、遺言者の一方的な意思で行われるものです。
そのため、遺言書の内容に基づき受遺者がペットの世話をするかどうかについては、受遺者本人が自由に決めることができます。
そのため、飼育の負担を引き受けない選択もできる事になります。
そこで、生前に、ペットの現在の飼い主と、現在の飼い主亡き後に代わってペットの世話をする人が、ペットの世話を条件として、現在の飼い主が死亡した際に遺産の全部又は一部を贈与するという契約をする方法を取ることができます。
この方法を「負担付死因贈与契約」と言います。

負担付死因贈与契約は、遺言書とは異なり、現在の飼い主と将来の飼い主の間での契約となります。
そのため、原則として、当事者が一方的に契約内容の変更や撤回を行うことはできません。
したがって、遺言者の一方的な意思表示である遺言書とは異なり、双方合意の上での契約が存在するため、実行される可能性は高くなります。
契約は口頭でも成立しますが、書面にその内容を残すことがベストです。
他の相続人との間でトラブルになることを防ぐためにも、公正証書での作成をオススメします。
負担付死因贈与契約を結ぶ場合も、遺言執行者に相当する死因贈与執行者を指定しておくことが良いでしょう。
贈与を受けた人がペットの飼育を行わない(契約を履行しない)場合には、死因贈与執行者がパットの世話をするように請求することができます。
また、家庭裁判所に死因贈与の撤回を申し立てることもできます。

信託契約(ペット信託)

ペットの飼育を託す方法の3つめとして、信託契約が挙げられます。
信託契約とは、自分の財産の全部又は一部を信頼できる人に託して、自分が決めた目的に沿って管理・運営してもらう制度をいいます。
この信託契約を活用して、飼い主の死亡後、ペットの面倒を見てくれる人にお金を託して、そのペットを飼育してもらう方法が考えられます。

ペット信託では、飼育費とペットが信託財産となります。
そのため、万一相続で問題が発生した場合でも確実にペットの飼育費を残すことが可能となります。
また、信託であるため、誰が飼い主になるかを予め決めることができます。
そのため信頼できる団体や個人を選ぶことができるのです。
また、信託財産の利用の仕方に、監督人をつけることが可能です。
ペット信託によってペットの世話を頼まれた人は、善良な管理者の注意を怠ってはならない義務、受益者のために忠実に事務に当たらなければならない義務、信託財産とその他を分別して管理しなければならない義務が課せられます。
信託内容通りに適正に飼育がなされていない場合、監督人はそれを指摘し改善させることができます。

信託契約を利用する際には、その内容を記載した信託契約書を交わす必要があります。
相続の際に他の相続人とのトラブルを避けるためにも、公正証書によって作成するようにしましょう。

老犬・老猫ホーム入所

ペットの飼育を託す方法の4つめの方法は、老犬・老猫ホームです。
聞き慣れない言葉だと思いますが、犬・猫用の老人ホームのことをいいます。
何らかの事情により老犬の世話が出来なくなってしまった飼い主から、短期や長期で老犬を預かり介護を行います。
自身の体力の衰え等により老犬の介護の継続が困難になった飼い主や、老犬の介護に疲労困憊してしまった飼い主からのニーズが高まり、誕生しました。
予め、老犬・老猫ホームへ入所しておくことも、安心につながります。

まとめ

・ペットである動物も、人間同様に長寿命化が進んでいる。2008年~2017年までの10年間で、犬は0.7歳、猫は0.5歳寿命が延びている。
・ペットの世話を託す方法は4つ。遺言書の作成、負担付死因贈与契約、信託契約(ペット信託)、 老犬・老猫ホーム入所が挙げられる。

老後に起こる問題は、高齢者自身だけでなく、大事な家族であるペットに関わることも起きてきます。
飼い主として最後まで責任を全うするため、あらかじめ元気なうちに対策を考えることは非常に重要です。
ペットのお世話を初め、終活に関してお悩みがある方は、名古屋市熱田区の合同会社SBNにご相談ください。
初回無料でご利用いただけます。
親切丁寧に対応させていただきます。

参考
一般社団法人家族信託普及協会 https://kazokushintaku.org/
アニコム ホールディングス株式会社 https://www.anicom-page.com/hakusho/
老犬ケア https://www.rouken-care.jp/