終活という活動が広く知られるようになり、取り入れてみたい、どんなことをするのか知りたいと言う方も増えてきています。終活とは、これまでの人生を振り返りながら、この先の人生をより充実したものにするための前向きな活動です。残される家族にできるだけ負担をかけないためには、何を準備しておくと良いのかなどを考えていくと、自身にとってより優先順位の高い活動の内容が見えてくるかもしれません。
その中でも、財産の整理や遺産相続について準備、計画を立てるは非常に重要と言えるのではないでしょうか。人生100年時代、年を重ねても工夫次第で明るく楽しく人生を歩むことは難しいことではなく、それに対しての資金などを準備しておくのは大切なことと言えます。

今回の記事では、そんな遺産相続を円滑に行うためにぜひ準備をしておいて欲しい遺言書についてお伝えしていきます。残されている遺言書の種類により、死後に検認という流れが必要となることがあります。検認とは一体どのようなものなのでしょうか?遺言書の性質とともに、考えていきたいと思います。

遺言書の種類にはどんなものがある?

そもそも遺言書というのは何のために作成をするのでしょうか?自分には大きな財産はないから、遺言書など残す必要はないと考える方もいらっしゃるかもしれません。遺言書というのは本来、不要な争いを引き起こす火種を取り除いておく、被相続人の思いを明確にしておくなどの狙いがあると言えます。
遺言書が準備されていた場合、原則として遺言書通りに遺産を分割することが可能です。そのほかにも遺言書があることで、相続人により預金の解約をすることができたり、不動産の名義変更などができるケースもあります。そして遺産相続というのは、残念ながら額には関係なく争いに発展することも多いものです。そのため、どんな人でも遺言所の準備をしておけると安心です。

終活の活動は、自身の人生を振り返り残りの人生を考えた時、自分が置かれている状況や身の回りにあるものの価値を改めて認識することができる。そういったことも、多くの人が終活を行う要因となっているのではないでしょうか。
そしてこれらの終活を進める上で避けて通れないのが、財産の管理になるでしょう。
ここからの人生、こんな日々を過ごしていきたい、家族に残しおきたいものがある、葬儀や埋葬方法に希望があるなど、これからのお金の流れもきっちりと把握できていると安心です。

遺言書を準備するためには、預貯金だけではなく、所有している不動産や生命保険、株や投資信託などの自身の財産の洗い出しを行い、資産価値を認識する必要があります。
これまでの長い人生の中で築いてきた財産を全て把握するには、思っている以上に時間と体力を要するものです。そしてそれを元に遺言書を作成することになるので、遺言書を作成する準備というのはできるだけ心身ともに元気なうちに行うのがおすすめです。
さらに、所有しているプラスとなる財産だけでなく、借入金、ローンなど負の遺産についても明確にしておくことが大切です。マイナスの財産というのも、そのまま家族に引き継がれてしまうからです。
できるだけ残される家族の負担を減らしたいというのは、誰しもが思うことでしょう。思い立った時に、少しつづでも準備を進めていきたいものですね。

遺言書には大きく分けて3種類あります。

・自筆証書遺言
自筆証書遺言はその名のとおり、自身で作成する遺言書のことです。書き方や用紙も自由に作成することができるので、思いついたらすぐに作成することも可能です。ただし、規定の条件を満たしておらず自宅などで保管していた場合、内容が無効となり法的な効力を持たない可能性のほか、死後も遺族に遺言書を見つけて貰えないということもあり得ます。
そのため自宅保管は手軽さと共にデメリットも大きいので、確実な相続のためにはリスクがあると言えます。

自筆証書遺言を選択する場合は、2020年7月10日より法務局で遺言書の保管してもらうことが可能になりました。この制度を利用すると、
①遺言書の形式的なチェックが受けられる
②データ保管してくれるため遺族は全国どこの法務局からも閲覧できる
③家庭裁判所の検認が不要になる
④相続人に遺言を保管されている旨が通知される
などの特徴があります。自宅保管よりも、手間と費用がかかりますが、相続人にとってもメリットがある制度になっています。しかし、法務局が自筆証書遺言の内容については審査をしてくれるわけではありません。

・公正証書遺言
公正証書遺言は公証役場で公証人立ち合いのもと作成されます。費用が発生しますが、自筆証書遺言とは異なり条件を満たさず無効となる可能性は低く、確実な相続を行うためにはとても有効な遺言書と言えます。また、遺言書の保管場所も公証役場となるので、紛失や改ざんの心配もありません。

・秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言を混ぜ合わせたような特徴を持ちます。遺言書の存在を公にしたくない、誰にも内容を知られたくないという場合には、有効な方法です。作成した本人が遺言書を公証役場にもっていくことで、『自身で作成した遺言書である』ということを証明することができます。
しかし公証役場に預けたとしても、その内容を公証人がチェックすることはありません。そのため自筆証書遺言と同じく、内容の不備で無効になる可能性もありリスクが高い方法でもあります。

自身で遺言書を作成することに不安がある場合や、確実に法的な効力を持つ遺言書を作成したい場合には、公証人立ち合いのもと、公正証書遺言で遺言書を作成しましょう。不備のない遺言書を公証役場で保管してもらうことで、安心して自身で思い描いた相続を行ってもらうことが期待できるでしょう。

検認が必要な遺言書とは?

家族が亡くなり残れさていた遺言書がみつかった場合、家庭裁判所による検認という手続きを経なければならないことがあります。検認というもは、どのような場合に必要な手続きなのでしょうか?

検認とは、遺言書を発見した人や保管していた人が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人など立会いのもとで遺言書を開封し内容を確認することを言います。
この対応をすることで、すべての相続人に対して遺言書の存在を明らかにすることと、遺言書が偽造されることを防ぐことを目的としています。
残されている遺言書が公正証書遺言の場合、公証人の元で作成されているため、偽造の可能性は低いので検認は必要ないとされています。

検認が必要な遺言書というのは
①自筆証書遺言の場合
遺言者自身で作成をしており、かつ法務局で保管されていない遺言書がこれにあたります。
②秘密証書遺言の場合
秘密証書遺言は、遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらっている遺言書です。自身で作成した遺言書を公証役場に持参するので、中身は確認されることなく保管は自分で行なっています。

万が一、検認を行わなかった場合はどうなるのでしょうか?
検認が必要な遺言書に対し検認を行なわないと、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。家族の死後、遺言書を自宅などから発見した場合などは、決して開封せずに速やかに家庭裁判所での検認を行うようにしましょう。
検認の申立てが遅れた場合、相続放棄や相続で得た財産からの借金などを精算して、残った財産を引き継ぐ限定承認の期限が過ぎてしまう可能性があります。
検認をしなかったとしても遺言書が無効となることはありません。ただし、遺言書を隠匿したとみなされた場合は相続資格を失う場合もあるので、検認が必要なケースでは速やかに検認を行うことが大切です。

まとめ

検認手続き自体に期限はないとされていますが、相続を行うためのさまざまな手続きにも影響が出てくることになりますので、できるだけすみやかに行えると良いでしょう。検認は相続人全員に対し遺言書があることを示し、内容を確認することを目的としています。ただし、検認を受けることで、遺言書の内容が法的に効力をもつと証明されるわけではありませんので注意が必要です。遺言書を作成する際には、確実に法的に有効なものとなっているか確認を行いながら進めるのが非常に大切と言えます。

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