生前整理とは

生前整理とは、自分が生きているうちに財産や持ち物を整理し、亡くなった後に遺族が処分に困らないように対策しておくことを言います。生前整理は、自分が亡くなった後のためと思われがちですが、介護施設への入所や、高齢になり子供たちと同居する際に、現在の家にあるものを全て持って行くわけにはならないため、事前に整理しておくことで、すぐに実行できることになります。

生前整理の必要性

財産把握

現金・預貯金・不動産・車両・債権など、ご自身が所有している財産を調査してまとめた書類を財産目録といいます。生前整理をすることで、現状所有している財産の全体を把握することができます。これは、相続手続きをスムーズに進める上でも大切であり、また、遺言書を作成する場合にも有効な手段になります。

相続トラブル防止

相続トラブルの原因として、相続財産を把握できていないことによるものがあります。被相続人(亡くなった方)も把握していない相続財産については、その分配割合が不明確なため、相続人が互いに主張し合い、円滑に相続が進まない可能性があります。生前整理をすることで、ご自身の財産量の全体が把握できるため、相続トラブルを回避することに繋がります。

遺品整理の負担軽減

人がお亡くなりになると、それに伴う多数の事務手続きが発生致します。具体的には、健康保険証返還、病院・施設等の退院・退所手続き、携帯電話・インターネットの解約、運転免許証の返納、公共サービスの解約・清算といった手続きがあります。これらは遺された家族に大きな負担を強いることになりますが、生前整理をしておくことで、その負担を軽減することが出来ます。必要書類がまとまっており、契約情報等の重要事項が集約されていることにより、一から探し回る必要が無いため、負担を大きく軽減することが出来ます。

生前整理の具体的方法

必要な物と不要な物とに分ける

まず最初に行うことは、家の中にあるものを、必要な物と、不要な物とに分けることです。実際に手をつけてみると、不要ではあるが捨てられない物が出てくると思います。この場合には、「過去1年以上使っていないか」、などの判断基準を決めて選別するのがコツです。

財産目録の作成

財産目録とは、ご自身が所有している財産を一覧にした表のことを言います。この表には、現金や不動産などの「資産」だけでなく、借金などの「負債」も記載されます。そのため、相続人が財産目録を確認することで、どのような決断をするか(相続するか、相続放棄をするか、など)決める際の判断材料になります。

被相続人の死後に財産目録を作成することは非常に手間の掛かる作業のため、予め作成しておくことで、相続人の負担を大きく軽減することが出来ます。

デジタル整理

整理する対象は、家の中にあるものだけでなく、SNSの情報や画像・動画といった電子データも含まれます。パソコンやスマートフォンなどの電子機器内に残された情報も、整理していく必要があります。電子データには、SNSのID・パスワードやネット銀行・ネット証券の情報など、資産に関するものを含まれています。残された家族にこれらの情報が伝わらないと、出金が出来ないなど、スムーズな相続手続きが阻害される可能性があります。これらの情報は、エンディングノートに記載しておくことで、遺族に伝えることが出来ます。

業者に頼む場合

費用目安

費用は、部屋の間取りや作業人数によって異なってきます。目安としては以下の通りです。

1R・1K 1~2名  3~8万円

1LDK  2~4名  7~20万円

2LDK  3~6名  12~30万円

3LDK  4~8名  17~50万円 

4LDK  4~10名   22~60万円程度

一般的にはこの料金には、作業費の他、人件費、車両費、回収運搬費、廃棄物処分費が含まれています。詳しい明細に関しては、専門業者に問合せをして確認するようにしましょう。

サービス内容

サービス内容は業者によって異なりますが、主なものとして、貴重品と不要品の仕分け、不要品の回収・処分、建物内の清掃があります。

こちらも業者によって内容が異なりますので、ご自身が希望するサービスが提供されているか、事前に確認しましょう。

生前整理を始めるタイミング

生前整理はご自身が元気なうちに行うことをおすすめしています。病気になったり介護が必要になってからでは非常に困難になります。生前整理を考えるタイミングとしては、定年退職をした場合や子供が独立して夫婦や一人での生活になった場合などに考える方が多いようです。そのようなタイミングでご自身が考えることもあれば、子供側から生前整理を勧めることもあるようです。ご自身だけでなく、お子さんも一緒に考えてくれることで、よりスムーズに生前整理が進むでしょう。親子が離れて暮らしている場合には、お正月やお盆休みなど、親子が顔を合わせるタイミングで一度話し合ってみることも良いでしょう。

生前整理が済んだ後に行いたいこと

生前整理の中で、ご自身の財産をまとめた財産目録を作成したら、次に行いたいことは下記の二点です。残された遺族が困らないように、ご自身が元気なうちに早めに進めていきましょう。

遺言書の作成

遺言書とは、自分が亡くなった後、自分の財産を誰にどのように遺すかを指定するための書面のことです。遺言書の作成を検討した方が良い方としては、下記のような方が想定されます。

・財産の配分を変えたい方

・法定相続人以外の人に財産を残したい方

・法定相続人がいない方

・相続をさせたくない方がいる方

遺言書作成の目的としては、自身の財産の配分を予め決めておくことで、相続人間でのトラブルを防止することが出来ます。遺言書が無い場合には、相続人全員で、誰がどれだけの割合で財産を相続するかを協議する「遺産分割協議」を行います。しかし、協議の場で各相続人が自分の主張の固執することで、相続人同士の争いに発展する可能性があります。それを防ぐ意味で、遺言書の作成は有効です。

具体的な遺言書の種類や内容については、本ブログの別記事「遺言書の必要性と種類教えます」をご覧下さい。

相続税対策

財産を持った方が亡くなり、相続が発生した場合には、受け取った財産に対して相続税が発生してきます。相続税には「基礎控除」があり、相続財産がこの金額以内であれば相続税は発生しません。基礎控除の具体的な金額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」となります。これを超える相続財産がある場合には、相続税対策を検討することをお勧めいたします。

相続税対策は、各特例・制度の非課税枠を利用するか、相続財産を減らす、といった方法があります。具体的には、以下のような方法があります。

・生前贈与

・生命保険金の非課税枠の利用

・小規模宅地等の特例の利用

・不要な不動産の処分

・養子縁組で法定相続人を増やす

相続税対策を行う際には、まずは相続税の計算が必要です。計算に間違いがあると、相続税対策に影響してしまうため、専門家である税理士に依頼することを検討しましょう。

まとめ

・生前整理は、自身が亡くなった後のためだけでなく、介護施設への入所や子供との同居などで自宅を整理する場合にも役に立つ

・生前整理を行うことで、相続財産の整理や、将来の相続人同士での争いを防ぐことが出来る。

・生前整理が済んだら、遺言書の作成・相続税対策も検討しましょう。

生前整理はご自身が元気なうちに、早めに対策を行うことが大切です。生前整理に関してお悩みや関心がある方は、名古屋市熱田区の合同会社SBNに一度ご相談下さい。親切丁寧に対応させて頂きます。

参考:一般社団法人 生前整理普及協会 https://www.seizenseiri.net/

税理士法人チェスター https://chester-souzoku.com/

一般社団法人 日本生前整理・遺品整理協会 https://jaop.or.jp/