(作成日:2021年10月5日)

2009年(平成21年)に初めて「終活」という言葉が使われて10年以上経過し、様々な企業・団体が終活に関する取組みを始めています。

終活に関する資格も多く登場し、終活に関する関心の高さがうかがえます。

その中で、終活に関する取組みを始めた自治体も登場してきております。

本日は、各自治体の取組み内容についてご紹介していきます。

自治体が終活に取り組み始めた背景

自治体として初めて終活事業に取組み始めたのは、2015年にスタートした神奈川県横須賀市が初めてです。

詳しい取組み内容は後述致しますが、横須賀市が終活事業に取組み始めた背景としては、高齢化率・独居高齢者の増加、引き取り手のない遺骨の数、という問題があります。

高齢化や独居高齢者の増加に関しては、横須賀市だけで無く、全国的な問題となっております。

厚生労働省の発表で、2020年の日本人の平均寿命が女性が87.74歳、男性が81.64歳となり、過去最高を更新したことが伝えられました。過去最高を更新するのは女性が8年連続、男性が9年連続となります。

また、総務省統計局が公表している全国の65歳以上の高齢者数に関しては、2018年は3557万人(総人口に占める割合:28.1%)となり、1950年以降増え続けております。

さらに、内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者数は2015年時点で、男性約192万人、女性約400万人となっており、1980年以降一貫して増加傾向にあります。

高齢化・独居高齢者の問題以外にも、横須賀市では、「引き取り手のない遺骨の数」も課題として挙げています。

「引き取り手のない遺骨」とは、故人の身元が判明しているのも関わらず、親族の方に連絡をしても繋がらない、あるいは遺骨の引き取りを拒否されたものをいいます。

横須賀市の調べでは、横須賀市の引き取り手のない遺骨数の推移を見ると、1985年に7柱だったものが、2017年には49柱となっており、その数は増加傾向にあります。

これらの問題に対して危機意識を感じた横須賀市が、問題解決のために終活事業をスタートさせました。

横須賀市の終活事業「エンディングプラン・サポート事業」の中で、事業を開始した経緯を以下のように説明しております。

ひとり暮らしで身寄りがなく生活にゆとりがないご高齢等の市民の方の葬儀・納骨・リビングウィルという課題について、あらかじめ解決を図り、生き生きとした人生を送っていただくことを目指した事業を実施しています。

引用元:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3014/syuukatusien/endingplan-support.html

終活事業は、高齢化社会を支える重要な取組みとして位置づけられていることが分かるのではないでしょうか。

実際の取組み内容

神奈川県横須賀市「エンディングプラン・サポート事業」

お一人暮らしで身寄りが無い方を対象に、葬儀・納骨などの心配事を解決する事業となっています。

対象者

・ひとり暮らしで頼れる身寄りがない高齢者の市民

・月収18万円以下

・預貯金等が225万円以下

・固定資産評価額500万円以下の不動産しか有しない

サービス内容

1.終活に関する相談

葬儀・納骨について、低額で生前契約を受ける協力葬儀社の情報を提供しています。

また、死亡届出人の確保について提案も行っています。

さらに、横須賀市の取組みとして「わたしの終活登録」を行っており、この事業についてご案内します。

*わたしの終活登録

エンディングノートやお墓の所在地などの”終活関連情報”を、生前にご登録いただき、万一の時には、病院・消防・警察・福祉事務所や、本人が指定した方に開示して、本人の意思の実現を支援する事業です。

ご本人が倒れた場合や亡くなった場合に、終活関連情報が分からず、せっかくの情報が共有されず、故人の意思が実現できないことを防ぐことが出来ます。

希望者は電話または郵送で申込みでき、情報登録が可能です。

登録できる情報としては、以下のような項目があります。

・本人の氏名、本籍、住所、生年月日

・緊急連絡先

・支援事業所や終活サークルなどの地域コミュニティー

・かかりつけ医師やアレルギー等

・リビングウィルの保管場所・預け先

・エンディングノートの保管場所・預け先

・臓器提供意思

・葬儀や遺品整理の生前契約先

・遺言書の保管場所と、その場所を開示する対象者の指定

・お墓の所在地

・本人の自由登録事項

2.支援プランの策定の保管

葬儀、納骨について協力葬儀社とともに支援プランを立てます。

これを保管し、リビングウィル(延命治療に関する希望)も、任意様式の書面を保管します。

また、登録者本人は、登録カード(連絡先等が記載されたもの)を携帯し、登録証をご自宅に掲示します。

3.終活課題の解決に向けた連携・支援

支援プランに基づいて、安否確認の訪問を行います。

ご本人の入院・入所・死亡などのケースごとに、あらかじめ指定された関係機関・協力事業者・知人の方々などに速やかに連絡し、連携して終活課題の円滑な解決に向けた支援をします。

大和市「おひとり様などの終活支援事業」

一人暮らしなどの理由により、葬儀・納骨に関して不安を抱える市民の方を対象に、不安解消のための終活支援事業を行っています。

対象者

・大和市内在住

・自身の死後に不安を抱えるひとり暮らしの人、夫婦や兄弟姉妹のみで暮らす世帯

横須賀市と異なり、不動産、預貯金、収入については問われません。

サービス内容

1.葬儀・納骨・遺品整理などに関する相談

対象者の方からの葬儀・納骨・遺品整理に関する現在の不安や悩みをお聞き致します。

2.葬儀・納骨を執り行う事業者の紹介

大和市内の協力葬祭事業者のご紹介を行います。

お墓の無い方に対しては、合祀や散骨などにも対応した業者のご紹介も行っております。

3.遺品整理や各種契約解除などの事務委任契約

人が亡くなった後には、様々な事務手続きが発生します。

手続き内容としては、例えば以下のようなことがあります。

・健康保険証返還

・病院・施設等の退院・退所手続き

・携帯電話・インターネットの解約

・運転免許証の返納

・公共サービスの解約・清算

・遺品整理

おひとり様の場合、ご自身が亡くなった後、上記の事務手続きをする人がいないことになります。

事務委任契約を締結することで、事務手続きを他者に託すことができます。

大和市では、司法書士や行政書士などの専門家の紹介が可能となっています。

さらに広く終活に関して問題解決をしたい方へ

横須賀市・大和市の終活事業をご紹介しましたが、葬儀・納骨など、範囲が限定されている印象を受けます。

終活には他にも、保険・不動産・税金など、様々な問題が関わっており、幅広い支援が必要になるケースがあります。

さらに多くの事柄に関して支援を希望される場合には、終活に関する問題ワンストップで解決できる民間企業も存在します。

検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

・高齢化・独居高齢者の増加等を背景に、終活に関する事業をスタートさせる自治体が登場してきている。

・横須賀市・大和市では、市内の高齢者を対象に、終活の相談受付や、葬儀・納骨等の業者紹介を実施している。

・終活に関する幅広い問題解決のために、終活をワンストップで解決できる民間企業の検討も選択肢の一つです。

合同会社SBNでは、葬儀・納骨などの他、不動産・介護施設選び・生前整理など、幅広い問題に対応しております。

また、グループとなるSBN税理士法人とともに、税務面でも手厚いフォローが可能です。

終活に関して不安や悩みがある方は、名古屋市熱田区の合同会社SBNに一度ご相談下さい。親切丁寧に対応させて頂きます。

参考サイト

総務省統計局 https://www.stat.go.jp/

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html

横須賀市 https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/

大和市 http://www.city.yamato.lg.jp/index.html