終活という言葉が浸透をして、その必要性を感じていらっしゃる方も少なくないかもしれません。友達や子供に勧められて、パートナーと死別をして先々のことに不安を持つようになった、テレビなどで紹介されているのを見て、など終活に対して興味を持つきっかけやタイミングは人それぞれあるでしょう。
また、ライフスタイルが多様化する中で、家族の在り方や最期を迎える時のパートナーとの関係も、さまざまな選択肢がある時代です。
終活を進めていくとさまざまな希望や死後の要望なども出てくるのが自然です。そんな時に役立つのが、エンディングノートの存在です。自身の想いを伝えるだけではなく、手続き関連の情報などを遺族に分かりやすく伝え、負担を軽減することにも一役買ってくれることでしょう。

今回の記事では、そんなエンディングノートを準備する際、夫婦で取り組むことで得られるメリットや書き方の工夫などをご紹介していきます。

エンディングノートの作成は必要?

就活という言葉の浸透と共に、エンディングノートの存在も多くの方に知られるようになってきました。そもそも、終活を進める中でエンディングノートは必要なものなのでしょうか?

終活は、これまでの人生を振り返り、この先の残りの人生をより豊かにするための取り組みです。終活の内容は人それぞれ異なりますが、決めておきたいこと、家族に伝えたいこと、事務的な申し送りなど、洗い出してみると明確にしておくべき項目が思った以上に出てくるケースが多いものです。
そんな時、それらの情報が一冊のノートなどにまとまっていることで、自身も見返し整理をすることもできますし、万が一の場合でも家族にとってきっと役に立つ存在になることでしょう。

今回のテーマである、夫婦の間にエンディングノートを作成する必要はあるか?についても同様と言えます。
時間の長さに関わらず、一緒に歩んできたパートナーへ宛てたエンディングノートや、パートナーと一緒に作成するエンディングノートには、非常に意味があると言えるでしょう。
例えば、夫婦の何気ない会話の中で「終活」の言葉が登場してきたら、エンディングノートを書き始めるチャンスかもしれません。
終活にしても、エンディングノートを作成するにしても、1人ではなかなか手を出せない方もいらっしゃるでしょう。そんな時、ご夫婦一緒ならきっかけも作りやすく始めやすいかもしれません。

エンディングノートは市販されている専用のノートなどもありますが、自宅にあるノートやパソコン、スマホなどで作成しても構いません。
自身が負担がなく、気軽に続けられそうな方法を選択するのが一番です。データで管理する場合、夫婦で共有することも可能です。共有をする場合は、お互いが気がついた時や、時間がある時にすぐに書き込める状態であることが大切です。

夫婦でエンディングノートを作成するメリット

ライフスタイルが多様化する中で、最近は事実婚や同性婚という言葉も耳にする機会も増え浸透をしてきたように感じます。
エンディングノートには、法的効力はないため、内容については書式も含め好きなように作成することができます。そのため法律上の夫婦だけではなく、事実婚や同性婚のパートナーの方々でも気軽に作成することができるのもエンディングノートの特徴のひとつです。
それに対し、遺言書は夫婦連名で作成することはできません。遺言書を法的効力を持った正式なものとするには、書式や決まりなど形式にのっとって作成する必要があります。

・夫婦間での想いや考えを積極的に話し合うことで、夫婦の会話が増える
長く連れ添った夫婦が、新婚当時とおなじように会話があるかと言うと、必ずしもそうではないでしょう。
子供も巣立ち、これから先の人生をどう過ごすかを二人で考え会話を持つことで、共通の話題を作ることができます。
二人で新しい趣味をみつける、二人で旅行に出かける、ペットを飼ってみる、などの充実した老後を過ごすためには?という共通認識を持つことで、さらに絆が深まるきっかけとなるかもしれません。

・家族や友人に伝えたい想いや情報を共有できる
終活としてひとつ大きな項目として挙げられることの多いのが葬儀についてでしょう。
どこでどんな内容で誰を呼んで欲しいのか。また埋葬方法や墓地の購入や墓じまいの意向など、死後の対応について記載しておくことは、残された家族にとって非常に重要な情報源となります。
葬儀の意向や親族の連絡先、お墓についてなどは夫婦で意見や情報が共通している部分も多いでしょう。そのような時は、共通のノートの記載しておけば手間が省けるでしょう。

・資産状況や生命保険、保有している銀行口座などの情報を確認し合える
結婚してから、財産の管理はパートナーに任せっきりで、現在の預貯金や加入している保険についても把握していないという方は意外と多いものです。
人生100年時代、終活の中でこれからのお金の流れについて考えることはとても大切なことです。現在持っている預貯金や有価証券、不動産、貴金属など財産の洗い出しをして、どのくらいの価値があるのか把握しておけると安心です。また、大切なのはマイナスの財産についても二人できちんと認識をしておくことです。どちらかが亡くなってから、実は借金があったなどという事実が発覚した時は大変なことになるでしょう。
夫婦二人で快適な老後を過ごすためには、どのくらいのお金が必要で相続はどうするのか、二人のこれからの生活に向けてのマネープランを検討することができる良い機会になるでしょう。

夫婦で情報を共有することでデメリットはあるの?

・夫婦共通の意志か、個人の意志かを明確にしておく必要がある
エンディングノートに記載された内容が全て共通の意志や情報であれば問題ありませんが、
例えば葬儀の詳しい要望や知らせて欲しい知人、友人の情報などは夫婦でも同じとは限らないでしょう。
そのような時は、ノートを見た人が確実にどちらの希望や意志なのかがはっきりと分かる状態で記載しておけると良いでしょう。

・夫婦間で秘密を作ることは難しい
夫婦で共にエンディングノートを作成する場合、当然ノートに記載した内容はお互いが自由に確認しあえる状態にあるべきです。財産や相続について秘密にしておきたいことがあったとしても、それを隠して作ったエンディングノートではあまり意味を成さないでしょう。
もし、お互いにエンディングノートを最期まで見られたくないものとするならば、別々で作成をし保管しておくことがおすすめです。

・最期まで添い遂げられない可能性はどの夫婦にもある
熟年離婚という言葉が浸透したことから分かるように、夫の定年後に離婚を選択する夫婦も増加しています。日本でも、ほとんどが最期まで添い遂げる夫婦とは言い切れない時代と言えるでしょう。
エンディングノートを書きはじめた頃は仲が良かった夫婦も、のちのち離婚を選択する可能性もあることは十分理解した上で、エンディングノートを作成する必要があるでしょう。
しかし例え別々の道を選んだとしても、一緒に作成したエンディングノートが全て無駄になることはないのではないでしょうか。資産の洗い出しや、相続については離婚をする際にも非常に重要な内容と言えるでしょう。

夫婦で負担にならない作成方法を!

メリットやデメリットを参考にしながら、エンディングノートを夫婦で共有するのか、個別に作成するのかどちらが自身には向いているのか、是非ご夫婦で相談をして決めてみてください。

遺言書を作成するので、エンディングノートは緊急の連絡先やかかりつけ医などの必要最低限の情報だけで良いというのであれば、共通のエンディングノートで充分かもしれません。
認知症を発症したり、介護が必要になった時のことを想定し、詳細の希望が個別にある場合は各自で作成しておくのも良いかもしれません。
ただ、共有した場合はやはりお互いに内容をフォローしたり、気持ちを確認し合える作業にもなりますので、夫婦で作成するのもおすすめです。

まとめ


・終活の中でエンディングノートを作成しておくのはおすすめだが、夫婦合作が個別で作成するかは各自負担の無いように選択できると良い
・夫婦合作のエンディングノートは、重複する情報をまとめたり、お互いの意思の確認ができるのがメリット
・夫婦間であっても、エンディングノートは死後まで見られたくない場合は個別で作成を。

エンディングノートを合作する場合は、どちらか一人の意見ばかり反映したものでは意味がありません。お互いの意思や想いを尊重しあうことを大切に進めていけると良いでしょう。意見が割れた時には、必ずどちらかに決める必要もないかもしれません。エンディングノートは遺言書と違い、法的効力はありません。老後の人生を有意義にするためのツールのひとつとして考え、作成してみましょう。
また、エンディングノートは作成したからと言ってそのまま放置しておくのはよくありません。
できれば定期的に内容を確認し、気持ちや情報が変わった部分は修正や変更などをしていきましょう。

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