近年終活という言葉が広がり、老語の準備のため終活を行う人が増えています。終活というご自身による活動そのものには大きな費用はかかりませんが、自分らしい葬儀、お墓の用意、財産整理などの準備には実際どのくらいお金がかかるのでしょうか?
費用が思ったよりも高額になる場合は急に用意するのは大変です。家族で話し合い、事前に備えておく必要もあるでしょう。
今回の記事では、終活のなかで準備に費用が必要なものについて詳しくご紹介します。

具体的な終活の内容とは?

終活の内容は、ライフスタイルや希望、要望などにより多岐にわたります。まずはご自身にとって必要な終活とは何なのか具体的な内容について把握しておきましょう。
終活の内容には次のようなものがあります。

・お葬式やお墓の準備
・医療や介護の要望を明確にしておく
・加入保険の整理や見直し
・銀行口座や金融商品の整理
・遺産相続などを踏まえた遺言書の作成
・終の住処をどこにするのか
・持ち物の整理
・スマホやパソコンなどのデジタル情報の整理
・ペットのお世話の引き継ぎ先

などがあります。

お墓の準備のほか、加入保険や金融口座、金融商品の整理など生前から自身の意思を明確にしておくべきものから、家具や大きな荷物、衣服やアクセサリー、アルバムや手紙等の思い出の品といった死後遺族が困らないために生前整理をしておくべきものがあります。

まずはお金をかけずに自分の手でできるものから着手していくこともおすすめです。

終活の項目ごとの費用の内訳

では、終活には一体いくらぐらい費用がかかるのでしょうか?
終活関連のポータルサイト運営や書籍出版等を株式会社鎌倉新書の調査によると、終活関連の平均費用は約80~169.4万円という結果が出ています。また、シニア女性向けの商品やサービスを展開している「株式会社ハルメク」でも終活に関する調査を行っており、終活にかかる費用平均が約253.6万円という結果になりました。

終活にかかる費用は、葬儀の内容や新しくお墓を準備するのか、財産整理や空き家整理を専門の会社に頼むかどうかによっても大きく変わってきます。個人差や地域差はありますが、終活には80万円程度から250万円以上のお金がかかる可能性があることを認識しておくと良いでしょう。

また、内閣府の調べによると、日本の人口に占める65歳以上の割合は、28.1%に達しており、単独世帯や夫婦だけの世帯が半数を超えています。おひとりさまの高齢者が増え続けており、自分の希望をかなえてもらうにも託す人がいなかったり、託された人も高齢者だったりという可能性も出てきます。

終活というのは、思っている以上に多くの時間と労力を必要とします。体力のあるうちにエンディングノートを活用したり、身の回りの整理などから始めることも大切ですが、周囲や専門家の力を上手に借りていくいくことをおすすめします。

では、項目ごとに終活に関する費用の内訳を見ていきましょう。

新しくお墓を用意する費用

お墓を購入する際の費用は、主に「永代使用料」「墓地管理費」「墓石費用」の3つの項目があります。

◆永代使用料 
お墓の土地部分のことを永代使用権といい、その取得費用のことを永代使用料といいます。お墓を立てる時には、各自治体から認可を受けた寺院や霊園などに永代使用料を支払うことになります。

◆管理費
管理費は、使用する区画により定期的に支払う必要があります。霊園・墓地内の施設の維持・運営管理などに必要な費用です。管理費は寺院や霊園の立地などによって異なりますが、相場としては1年あたり数千円~数万円です。

◆墓石費用
墓石の費用は、墓石の種類により数十万円から数百万円、場合によっては一千万円を超えることもあり、価格にはかなりの幅があります。広告などに記載された金額は、標準的なものや最安価格が前面に表記されることが多くなります。

上記の3つの項目を含め、新しくお墓を用意する際の費用は総額で100万円〜350万円ほどです。

葬儀にかかる費用

2020年に行われたお葬式に関する全国調査によると、葬儀にかかった合計費用は、全国平均で208万200円でした。

◆お葬式費用 平均119万円
 ・火葬場使用料
 ・葬儀場使用料
 ・人件費 など
◆飲食費用 平均31万円
 ・精進落とし
 ・飲み物代 など

◆返礼品費用 平均34万円
 ・返礼品
 ・香典返し など
◆寺院費用 平均24万円
 ・読経量
 ・戒名料 など

葬儀費用はおもに、葬儀、飲食、返礼品、お布施に分けられますが、葬儀規模が違えば会葬者数も違ってくるので、葬儀費用には大きく差が生じます。また、個人の生前の希望や要望などでも費用は変動します。

財産整理に必要な費用

財産整理は、ご自身で自筆の遺言書を書いておくだけなら費用は特にかかりませんが、作成上のルールを守っていないと無効とみなされることがあるため、公正証書という形で証明を残しておくことをおすすめです。

公正遺言証書を作成する際は、公証人に手数料を支払う必要があります。
手数料は、相続する財産の金額によって異なり、100万円以下なら5,000円、1億円を超える場合は43,000円からです。
弁護士や司法書士に文案や各種手続きを依頼するのであれば、さらに10~20万円程度の費用を目安に考えておきましょう。

持ち物の処分など物の整理に必要な費用

不用品の処分や持ち物の整理は、自分で行う場合と、専門の会社に依頼するケースとで費用が大きく異なってきます。

◆自分で整理を行う場合
まず、不要な物が出た場合は、ゴミとして処分するのではなく、リサイクルショップへ査定に出したり、知人に譲ったりするなどの方法も考えるのも良いでしょう。処分をする場合は、テレビやエアコンなどの家電製品はメーカーやサイズで異なりますが、1,000〜6,000円程度の処分費用が必要です。
そのほか、自治体によっては粗大ゴミ1点あたり200~2,000円程度の引き取り費用が必要になります。
処分する荷物の量が多い場合は、数万円程度の費用がかかる可能性があるでしょう。

◆専門業者に依頼した場合
家財整理会社に整理を依頼した場合は、数万円~数十万円程度の費用がかかります。部屋の広さや荷物の量、エレベーターの有無などによって費用は変わるので、見積もりを取って料金を比較検討することをおすすめします。

認知症などを発症すると、ご自身での片付けが困難になったり、物があふれて日常生活に支障が出るなどの可能性も出てきます。近くにご家族や頼れる知人がいらっしゃらない方などは、ご自身が元気なうちに普段の掃除や整理を兼ねて、断捨離などをすすめておくのが良いでしょう。

空き家など住宅の処分に必要な費用

空き家整理は、家の中に残された家財道具の片付けのほか、売却や名義変更手続きなどが発生します。売却する場合は家財の片付け費用のほか、不動産会社への仲介手数料が必要です。不動産会社への仲介手数料は、売買される不動産の価格によって費用が変わります。

整理専門会社への空き家の家財の片付け依頼費用
 家財の片付け
 庭の草木の手入れ
 ハウスクリーニング など
◆不動産会社への売却代行手数料
 仲介手数料
 測量費
 解体費 など
◆税金 
 印紙税
 登録免許税 など

空き家整理にかかった費用は12~250万円程度、全国平均が約110万円ほどです。業者への空き家整理片付けの依頼は、間取りや家財の量、立地などによって大きく料金が変わってきます。
空き家整理は、家の中の持ち物の売却や贈与が発生する際はさまざまな手続きが必要となるため、専門家や専門サービス会社の力を借りることで負担を軽減できそうです。

デジタル情報の整理に必要な費用

気軽に写真などの画像を保存できるようになり、それらのデータは定期的に整理を行わないと膨大な量になります。自身でデジタル整理行えば費用もかかりません。
デジタル整理サービスを提供する会社に依頼すると、5,000円~10万円程度の費用がかかります。

まとめ

・終活のなかには、お墓やお葬式、空き家整理など、準備にあたって費用が必要な項目がある
・残された家族に金銭的負担を掛けないように資金を準備しておくことが大切
・持ち物の処分等は自身で行うと費用を最小限に抑えられるが、体力や気持ちの負担を考え、専門業者などに依頼
 することも検討するのがおすすめ

荷物が多く手が付けられなくなった家財の整理や、手続きが複雑な空き家整理をご自身で行うのは難しいかもしれません。終活の準備が終わらないまま健康状態が悪化してしまうと、家族に迷惑をかける可能性もあるでしょう。
「自分でやりたいけれど時間がかかる」「手続きが難しくてなかなか進まない」と思ったときは、プロの整理専門会社に依頼して、代行してもらうという方法も考えてみてはいかがでしょうか。

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