ご自身が亡くなった後の葬儀・お墓や相続・遺品整理など、元気なうちに対策しておくべきことは数多くあります。
これらは「終活」と呼ばれ、様々なメディアで取り上げられ、最近では映画が公開されるなど、世間の関心度は年々上昇しています。
その中でも、ご自身が最期まで居られる住まいである「終の棲家」をどこにするかは、多くの方が関心を持たれています。
多くの人は慣れ親しんだ自宅を終の棲家として望みますが、築年数の経った戸建やマンションは老後の生活に不便が生じることも多いです。
そうしたなか、自宅を老後の生活のために整える「終活リフォーム」が注目されています。
今回は、終活リフォームがどのようなものかについて、具体的にお伝えしていきます。
終活リフォームとは
終活リフォームとは、高齢になっても自宅で住み続けられるように、自宅をリフォームして過ごしやすくすることです。
老後の住まいの選択肢として、家族に介護の負担をかけないために介護施設を選ばれる方も多いですが、実際には自宅で最期まで生活したいと考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、高齢になると身体機能や判断能力が低下し、家庭内での転倒などのリスクが増加してきます。
リフォームによって、そのようなリスクを減らすことができれば、本人も家族も安心して過ごせるのではないでしょうか。
終活リフォームのメリット
慣れ親しんだ自宅に長く住み続けられる
高齢者は住まいの「使いやすさ」を考慮する必要があります。
若いうちは元気で生活に何も問題を感じないかもしれませんが、ご自身が70代・80代を迎えた時の
生活を想像してください。
料理、洗濯、入浴、トイレなどは今と同じ様には出来ないことと思います。
例えば、料理であれば食器や調理器具の出し入れ、洗濯であれば洗濯機から物干し場までの導線などを考えて、より使いやすくなるようなリフォームが必要と言えます。
また、介護状態になった場合には、ご本人が生活しやすいだけでなく、介護を行うご家族にとっても使いやすいことが重要です。
介護は身体的・精神的負担が大きいため、少しでもその負担を減らせるように工夫することが非常に大切です。
事故のリスクを減らせる
消費者庁データによると、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報は、令和2年までの5年間で275件となっています(消費者庁 News Release 令和2年10月8日発表)。
また、後期高齢者(75歳以上の高齢者)では、前期高齢者(65歳~74歳)と比べて2.2倍も多く事故にあい、そのうち8割以上が通院や入院をするほどの大きなケガを負っています。
住み慣れた自宅であっても、高齢による運動機能の低下によって、転倒のリスクは高まります。
玄関・トイレ・階段など、事故のリスクがある箇所はリフォームをして、住みやすい環境作りを整えることが肝心です。
介護施設入所より費用を抑えられる
「生命保険文化センター」の2018年の調査によると、在宅介護費用は月額平均4.6万円であったのに対し、施設介護費用は月額平均11.8万円でした。
在宅で介護をする場合には、施設の居住費(家賃に相当するもの)がかからないことや、家族が介護を行うために費用が掛からないことなどが安く済む要因となっています。
老後は生活資金が限られているため、費用を抑えるためにも、リフォームを検討する価値はあるのではないでしょうか。
終活リフォームの内容
リフォームを行う上では、事故が起きやすい場所をピックアップして、重要な部分から行うことが良いでしょう。
使いやすくなることで、本人も、介護する人にとっても負担やリスクの少ない造りにできるでしょう。
室内のリフォーム
段差を無くす
部屋と廊下の仕切りに小さな段差がある場合、わずかであっても転倒事故につながる恐れがあります。
高齢者になったときに、段差で転倒してケガをする恐れがある場合、段差を削ったりスロープをつけて対応しましょう。
床を滑りにくい材質に変える
洋室であれば、フローリング素材をタイルカーペットなどに変えると転倒を防止する効果が期待できます。
床材そのものを変える場合には大がかりな工事になりますが、自分で簡単に貼れるシート状の床材もあります。
シート状の床材はホームセンターなどで購入できるため、リフォーム費用を抑えることが可能です。
トイレのリフォーム
洋式への変更
和式トイレは足腰への負担が大きく、身体状況によっては排泄が非常に困難になります。
また、かがむ状態を維持できずにバランスを崩してしまい、転倒してケガをする恐れもあります。
トイレは毎日何度も利用する場所であり、リフォームの優先度は非常に高い場所の一つです。
お風呂のリフォーム
段差を無くす
脱衣所と浴室に段差がある場合、解消する必要があります。
衣服を身に着けていない状態で転倒すると、大怪我につながる恐れがあります。
入浴後の体が濡れている状態では、わずかな段差でも転倒しやすくなります。
なるべく段差のないフラットな状態を作りましょう。
滑りにくい床材に変える
水はけがよく、滑りにくい床材は、高齢者にとって安全で、転倒するリスクを防止することができます。
このような床材はカビが発生しにくく、掃除が楽というメリットもあります。
手すりをつける
手すりがあれば、浴槽への出入りも安全に行えます。
また、湯船に浸かっているときに自分でしっかり体を支えることもできます。
階段のリフォーム
手すりをつける
階段での転倒や落下は、状況によっては大事故にもつながってしまいます。
手すりを持っていれば、足を踏み外しても転倒事故を防止しやすいので、しっかりとリフォームで対策しておきましょう。
足元照明
照明があることで、夜間トイレに行くときも、扉や壁にぶつかったり、階段を踏み外す心配が無くなります。
ホームセンターでは、コンセントに差すだけのタイプなど、後から自分で取り付けができる足元照明用の器具なども販売されています。
終活リフォームに必要な費用
リフォーム費用は物件や内容によって様々ありますが、以下に目安をお伝えします。
リフォーム箇所 | 費用 |
室内 段差を無くす | 20,000~200,000円 |
室内 床を滑りにくい材質に変える | 100,000~300,000円 |
トイレ 和式から洋式に変える | 150,000~300,000円 |
お風呂 段差を無くす | 50,000~70,000円 |
お風呂 床を滑りにくい材質に変える | 100,000~200,000円 |
お風呂 手すりをつける | 30,000~50,000円 |
階段 手すりをつける | 50,000~150,000円 |
階段 足元照明をつける | 10,000~50,000円 |
まとめ
終活全般に言えることですが、元気なうちに準備しておくことが何より大切です。
特に「住まい」をどこにするかは自分一人で決めることは出来ず、家族との話し合いが大切です。
終の棲家を自宅にし、実際にリフォームを行うことになっても、業者との打合せや実際の作業など、多くの時間が必要になります。
思い立ったときに、少しずつでも終活を進めていきましょう。
Good Endingでは、終活に関する問題解決の専門家チームが、ご相談者様のお悩み解決に全力で取り組みます。
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