親の終活について考えたことはありますか?
長引くコロナ禍、特に親が遠方に離れて暮らすという方はなかなか思うように交流が持てずもどかしい思いをされているかもしれません。終活の準備は、いざという時に残された家族の負担の軽減にもつながります。なかなか言い出しにくいことかもしれませんが、自分の親には終活を進めておいてもらいたいと思う方も多いのではないでしょうか。親の終活準備のきっかけは、終活を行う本人ではなく、子供の側から作ってあげなければいけないこともあります。

今回の記事では、子の視点から見た親の終活についてお伝えしていきます。

親の終活準備のきっかけは子から?

本来終活は自身の意志で始め、また何より家族のために本人が行うものです。人生100年時代、セカンドライフをより自分らしく過ごすために、また亡くなったあとの家族の負担が少しでも減るように、元気なうちから準備をしていけることが理想です。
しかし、終活は自分自身の老後や死を意識して準備するものであり、まだまだ元気だと考えている間は、意識的に終活の準備をしようと考える人はそれほど多くはありません。同様に、終活をした方が良いとは思っていても、いざ行動を起こすきっかけがなく、なかなか終活の準備に入れない人も多くいます。親の終活準備のきっかけを子供から作ってあげることで、残される家族の不安や負担を大きく軽減することに繋がるかもしれません。
特に両親と離れて暮らす方は、エンディングノートを渡し終活について一緒に考える時間を持つのも良いかもしれません。

親に終活を勧めておけば良かったと思うタイミングとは?

①突然入院や手術が必要になった時
高齢になれば、病気やケガのリスクは高まります。急にそのような状況になったとき、持病やアレルギーの有無、手術歴や病歴、薬の服用の有無などの情報が必要となります。親は子のことを比較的把握していることが多いと思いますが、子が親のそういった情報を正確に把握しておくことは、離れて暮らしていると尚更難しくなります。
さらに、いざという時に延命治療を本人が希望しているのかどうかも確認しておく必要があります。いつそのような状況になっても冷静に対応できるよう、現在の体調も含め把握できていると安心できます。

②認知症の症状が出た時
認知症の方のケアは家族の負担も多く、できるだけ周囲の力を借りながら進めるべきです。その中で、本人の意思を確認できていると、家族の気持ちの負担も軽減されるでしょう。施設に入所してケアしてもらいたい、できるだけ自宅で過ごし足りないところを補う形で介護をしてほしい、などです。
認知症と言ってもある日突然全てが分からなくなるわけではありません。その人の好きな食べ物や音楽、趣味を知っていたり、過ごしてきた人生を理解していると、より本人に寄り添うことができます。
また、介護にはお金がかかるものです。年金や資産の大まかな情報も把握しておけると安心です。

判断能力が低下してしまった後に、どちらが良いのかを決めるのは親本人には難しくなります。だからと言って子供がすべて決めてしまっても、それが本人の望むものとは限りません。

③亡くなったあと 葬儀やお墓、相続など
・葬儀の内容
 葬儀の準備というのは、人が亡くなった瞬間から容赦無く訪れます。生前に葬儀場の検討もしていない状態だと、
 入院していた病院からの紹介などで、故人を偲ぶ時間もないまま限られた時間の中で選択せざるを得ない状況に
 なります。
 最近はほぼどこの葬儀場でも生前予約を受け付けています。人生のしめくくりを自分らしくと考える方も多く、
 また会葬者の希望もあらかじめ準備しておくことで残された家族の負担は非常に軽くなると言えます。
・埋葬の方法
 埋葬方法というのも終活の中で大きな項目の一つです。
 新しくお墓を用意するのか、永代供養を選ぶのか、最近は自然葬と呼ばれるものも人気が高くなっています。
 何を選択するのかにより、費用も大きく変わってきます。親が元気なうちに相談をし、見学などを済ませておくのも
 おすすめです。
・遺品整理、処分
 親が一人暮らしの場合には、衣服や書籍などの身の回りの持ち物のほか、家具や家電など、ほとんどのものが不用品
 になります。思い出の品々もあれば、頂き物の数々など、数十年の積み重ねは大量の荷物となっているかもしれ
 ません。不用品はあらかじめ処分しておくこと、価値があるもの、誰かに残したいものなどをノートなどに書いて
 おくと荷物の処分も大変楽になるでしょう。
・財産の継承
 親の生活の実態が掴めないと、子供が行う相続の手続き全般の負担が増します。どこにどのような財産があるのか。
 支払いが終わっていないクレジットカードやローンはないのか。継続している契約の有無、解約作業など事務的な
 作業を含めやることは沢山あり、何も準備がされていないと子供の負担は大きくなります。
 相続後のことを見越し、不要な契約、クレジットカードは解約しておく。遺産分割で分割しにくい物を現金化して
 おく。銀行口座を多数保有している場合は、少数にまとめておく。
 そしてどのような財産があり、手続きが必要な旨を書面等にまとめておくことが相続人である子供の負担を減らす
 ことに繋がります。
・ペットのお世話の引き継ぎ先 
 ペットも大事な家族の一員です。親が一人で暮らしていた時であれば尚更です。ペットは物ではありませんので、
 気軽に譲渡したり処分できる存在ではありません。家族が引き取ることはできるのか、難しい場合には信頼できる
 新しい家族を探さなければなりません。動物たちも繊細な生き物であり、家族を失ったショックを大きく受ける
 可能性もありますので、お世話の引き継ぎ先は慎重に行う必要があります。

④親戚や親しい方とのお付き合いなど
核家族化も進み、最近は親族とのつながりが希薄になりつつあると言われてはいますが、いざという時に頼りになるのは親族だったりもします。お祝い事や葬式・法要でのお金のやり取りやお返しなど、地方によっては親の付き合いを継承しなければならないこともあります。また生前にお世話になった方や友人がいる場合、離れて暮らしている時でも様子も確認したり、亡くなった時にも連絡がしやすくなるでしょう。

親子で進める終活とは?

終活のスタートとして、始めやすいのはエンディングノートを書いてもらうことです。その上で、具体的なアクションを起こし、対策を行うようにします。高齢になると書くことが面倒になることもあるので、直接会ったり話したりできるのであれば、昔話をしながらノートを作成してあげるのも良いかもしれません。

エンディングノートを作成する

親の万一に備えて、上記で紹介した項目について聞いておきましょう。
①入院・手術の備え
②認知症への備え
③お葬式・お墓
④死後の手続き、相続
④親戚・人間関係

特に高齢の親との関係でトラブルの多い介護や認知症、相続については、しっかり話し合っておくことをお勧めします。

具体的に対策を行う

①身の周りの整理
数十年かけて増えてしまった荷物等の片づけや処分を、高齢の親が行うのは大変です。親の意思を確認しつつ、出来る限り親が納得できるかたちで進めてあげられるのがベストです。
また、使っていない預金口座解の解約や毎月引き落とされるネット関係を含めた契約を整理すると良いでしょう。

②遠方からでもサポートできる体制をつくる
遠方に住む親に何かあっても、気づくのが遅れたりすぐに駆け付けることはできません。身近で様子を気にしてくれたり、支えてくれる友人・知人がいるか確認しましょう。いない時は、地元の地域包括支援センターや福祉施設の人などに相談してみましょう。

③認知症に備えた財産管理を行う
認知症になると、預貯金等の口座からの引き出しや不動産の管理・処分ができなくなって困ることがあります。介護のお金が足りない、家の修繕などができないということも起こりえます。お金や不動産の管理が難しくなった時に備えて、金融機関に代理人届けを出しておく、親子で任意後見契約を結んでおくなどの対策ができれば安心です。

④相続対策
金融資産や不動産の処分や相続などの遺言書を作成するなどの対策は、本人の意思が明確な元気なうちに行っておくことが望まれます。

まとめ

・終活を親任せにするのではなく、きっかけ作りを子供からすることで家族に負担が軽減することにつながる
・終活は親の意思や記憶が明確な元気なうちに始めるのが望ましい

遺言などの死を連想させる対策は嫌がる方も多く、終活を提案する上で無理に強要して感情の行き違いを起こさないように注意しましょう。終活はこれまでの人生の集大成で、残りの人生を自分らしく生きるための活動でもあります。親の想いをよく聞いてあげて共感し感謝を伝えながら、明るい雰囲気で進めることが大切です。

また、きょうだいとの関係にも気を付けましょう。きょうだいでも価値観や考え方は違い親との関係性も異なるかもしれません。できるだけ家族全員で話し合った上で進め、情報は共有しておくことがトラブル回避にもつながります。

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