人生の最期を迎えるにあたり、あらかじめ身じたくを整えておくための終活。終活という言葉が浸透し、その活動を取り入れたいと思う方もずいぶん増えてきたようです。終活の活動は取り組む方それぞれの思いにより、多岐にわたります。その中でも多くの人が、残される家族に向けて準備をしておく必要があると考えるのが財産の整理や相続についてではないでしょうか。
お金の問題というのは、ささいなことからでもトラブルを生みやすい性質のあるものです。そこで相続人の間で無駄な争いが起こることを避けるために有効なのが、遺言書と言えるでしょう。
遺言書とひとことで言っても、簡単に自分の要望をまとめておけば良い、というものでもありません。その遺言書に書かれている内容が、法的にきちんと効力を持たせるためには色々と気をつけなければならないことがあります。また、一度作成したからと言って安心をして、どこかにしまいこんだままにしておくのも注意が必要です。

今回の記事では、遺言書の必要性や作成のルールとともに、遺言書の保管場所についても考えていきたいと思います。

遺言書は必ず作成しないとダメ?

終活が浸透し始めた当初、その活動は主に、残される家族の葬儀やお墓などの手配をする際の負担を減らしたい、という配慮から行われることが多かったかもしれませんが、最近では残される家族のためだけではなく、残りの人生をより良く生きたいという思いから多くの人が取り入れる活動となっています。
以前はタブー視されることも多かった、死というものを受け入れ認識し、そのための準備をすることで、今自分が置かれている状況や身の回りにあるものの価値を改めて認識することができる。そういったことも、多くの人が終活を行う要因となっているのではないでしょうか。

終活を取り入れることに迷われる方は、自分にとってはどんなメリットがあるのかを考えてみると良いかもしれません。

・残される家族の負担を減らすことができる
人が亡くなった後というのは、思いっている以上に様々な手配や手続きが必要となるものです。
葬儀の準備から始まり、身の周りの整理や遺産相続など、家族の日常の生活とは別にさまざまな動きが発生することでしょう。その全てをいちから家族に託してしまうと、家族にとっては非常に大きな負担となるのではないでしょうか。ただでさえ、大切な人を亡くした悲しみの中で、それらのことをこなしていかなくてはならないのです。
そんな時、生前のうちに亡くなった人の希望や意思などが明確に示されていたのであれば、できるだけその気持ちの寄り添いたいと思うのも心情ですし、単純に家族の負担を軽減する手助けにもなることでしょう。
たとえば相続については、生前の元気なうちにご自身の財産の洗い出しをしっかりと行い、どのくらいの資産価値があるのか、誰にどれだけの財産を相続させるのかを明確にしておくことは、家族へのとても大切な配慮と言えるでしょう。
終活にも体力が必要です。元気なうちから終活を行うことで、残された家族が遺品整理や相続で困らないように心がけましょう。

・自身の想いを家族や友人に伝える
例えば今まで思ってはいても口では言えなかったことを、終活を通して気持ちをまとめ文字にすることで、家族や友人に想いを伝えることができます。死を意識して考えた時、面と向かって言いづらいことも、エンディングノートなどを使うと素直な気持ちを残すことができるかもしれません。
終活は、家族のために行うのはもちろんのこと、自身が悔いのない人生を終えるための手助けにもなります。

・これからやりたいこと、やり残したことに気づくことができる
終活という活動は、必要なこと、やっておくべきことなどを考えていくと、必然的に自身の人生を振り返る時間を持つことに繋がります。その一連の流れを進めていくと、これまでの人生でやり残してきたことはないか?と見つめ直すきっかけにもなるでしょう。残りの人生でやっておきたいこと、新たな夢や目標を見つけることで、その先の生活を自身でプロデュースしていくことも不可能ではないでしょう。
人生100年時代と言われるこの時代であるからこそ、きっかけ次第でより人生を謳歌することができるのではないでしょうか?

そしてこれらの終活を進める上で避けて通れないのが、財産の管理と言えるかもしれません。
ここからの人生、こんな日々を過ごしていきたい、家族に残しおきたいものがある、葬儀や埋葬方法に希望があるなど、これからのお金の流れもきっちりと把握できていると安心です。
そのためには財産の洗い出しを行い、しっかり資産価値も把握しておく必要があります。
さらに大切なのはプラスとなる財産だけでなく、借入金、ローンなど負の遺産についても明確にしておくことです。

所有する財産が把握できたら、それをどのような配分で相続するのかを決めておけると良いでしょう。死後、被相続人の意思がはっきりしない中で相続を進めると、金額の大小に関わらず、どうしてもその取り分を巡りトラブルに発展することも考えられます。

そこで、是非準備をしておきたのが遺言書です。
遺言書は残された家族の負担を減らし、家族や親族間での不要な争いを防ぐために非常に効果的なものと言えます。私には大きな財産はないから遺言書は必要ない、とは思わずに、誰しもが遺言書の準備はしておけると非常に安心です。

遺言書作成のルールとは?

遺言書には大きく分けて3つの種類があります。

遺言書の種類                     遺言書の特徴   保管場所
自筆証書遺言自筆証書遺言はその名のとおり、自身で作成する遺言書のことです。
書き方や用紙も自由に作成することができるので、思いついたらすぐに作成することも可能です。
ただし、規定の条件を満たしていない場合、内容が無効となり法的な効力を持たない可能性もあります。
手軽さと共にデメリットも大きいので、確実な相続のためにはリスクがあると言えます。
法務局または自宅など
公正証書遺言公正証書遺言は公証役場で公証人立ち合いのもと作成されます。
費用が発生しますが、自筆証書遺言とは異なり、条件を満たさず無効となる可能性は低く、
確実な相続を行うためにはとても有効な遺言書と言えます。また、遺言書の保管場所も公証役場となるので、
紛失や改ざんの心配もありません。
   公証役場
秘密証書遺言秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言を混ぜ合わせたような特徴を持ちます。
遺言書の存在を公にしたくない、誰にも内容を知られたくないという場合には、有効な方法です。
作成した本人が遺言書を公証役場にもっていくことで、『自身で作成した遺言書である』ということを
証明することができます。
しかし公証役場に預けたとしても、その内容を公証人がチェックすることはありません。
そのため内容の不備で無効になる可能性もありリスクが高い方法でもあります。
   公証役場

自筆証書遺言を選択する場合は、2020年7月10日より法務局で遺言書の保管してもらうことが可能になりました。この制度を利用すると、
①遺言書の形式的なチェックが受けられる
②データ保管してくれるため遺族は全国どこの法務局からも閲覧できる
③家庭裁判所の検認が不要になる
④相続人に遺言を保管されている旨が通知される
などの特徴があります。自宅保管よりも、手間と費用がかかりますが、相続人にとってもメリットがある制度になっています。しかし、秘密証書遺言と同じく、遺言書の内容については審査をしてくれるわけではないので、注意が必要です。

自身で遺言書を作成することに不安がある場合や、確実に法的な効力を持つ遺言書を作成したい場合には、公証人立ち合いのもと、公正証書遺言で遺言書を作成しましょう。不備のない遺言書を公証役場で保管してもらうことで、安心して自身で思い描いた相続を行ってもらうことが期待できるでしょう。

遺言書トラブルの中には、死後遺言書を見つけてもらえない、というものもあります。
それではせっかく遺言書を作成し準備をしておいても、何の意味もなくなってしまいます。遺言書を作成する際には、できるだけ家族や親族にその内容を相談すると共に、遺言書の保管場所についても伝えておけると安心です。

まとめ

遺言書というのは、作成したあともできる事ならば、定期的に内容の確認や修正を行うことがおすすめです。
人の死のタイミングというのは誰にも分かりません。そのため遺言書を作成してから、実際にそれが必要となるまでには、長いと何十年という時間がかかる可能性もあるでしょう。遺言書には有効期限というものはないので、遺言書自体が無効になることはありませんが、遺言書の内容と実際の財産や相続人の状況が変化している可能性は十分にありうる事です。

また遺言書の内容を知った家族の中にはショックを受けたり、またトラブルを招く内容である可能性もあります。
できることならば、遺言書を作成する前に財産分与や遺言書の保管場所について家族に相談をしておけると、死後の遺言書トラブルというのは大きく減らすことに繋がりそうです。

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