終活という言葉には、より素晴らしい未来を迎えるための活動という意味があります。でも一言でそう言われても、目的や必要性がわからない、本当に自分にも取り入れるべきものなのか、と疑問に思うこともあるかもしれませんね。
終活の活動の内容は多岐に渡ります。自分には何が必要なのかを知り選択していくことで、不要なものが削ぎ落とされ、終活をより実りあるものにしていってくれるのではないでしょうか。

終活は、自身の葬儀やお墓について、終末医療や介護の希望、遺産相続などについてあらかじめ準備をしておくことで、その先の人生がより豊かになることを目標としています。
たとえば、遺産相続などは何の準備もしないままだと、自分の財産が意思とは反した配分で相続されてしまう可能性も十分ありうるのです。生前の元気なうちに、できれば遺言書を作成し準備しておけると、万が一相続をさせたくない人がいる時などには非常に有効な手段となってくれるでしょう。

今回の記事では、終活や遺言書の役割とともに相続について希望がある場合の遺言書の必要性などを考えていきたいと思います。

終活の活動のひとつ、遺言書について

終活を始めると言うと、何かきっかけなどがないと始めにくいと思われるかもしれませんが、思いついたことから少しずつ始めていくのがおすすめです。
すべての項目を完璧に成し遂げることが終活の目的ではありません。どうすれば自身にとって幸せな最期を迎えられるのか、そしてこれからも続く人生を生きる中で、不安をより無くし楽しく生きて行けるのかに焦点を当て、自身の意思や希望を尊重していくのが終活の最大の目的です。
ひとりひとり、自身にあった方法やスタイルを選びながら、終活自体も楽しみながら進めていけると、するべきことや必要なことが明確になり優先順位も自然に決まってくるのではないでしょうか?
終活の目的や理由は、ひとりひとりの人生観やライフスタイルなどによってもさまざまな形が存在すると言えるでしょう。

終活の具体的な取り組みとは?

終活の取り組みをいくつか紹介します。
エンディングノートなどを使いながら進めていくと、自身にとって必要なものが分かりやすいかもしれません。エンディングノートは、遺言書を補う役割も果たします。遺言書に記載した内容の説明や心情を記すことで、遺族間のしこりやトラブルを無くすこともできるかもしれません。
また単純に、死後発生するさまざまな手続き関連の作業を効率よく進め、遺族の手間を省く役割も多いにあります。

◉財産や資産などについてまとめておく
 ・預貯金や現金
 ・不動産
 ・有価証券
 ・貴金属
 ・骨董品 など
葬儀やお墓の要望
ライフスタイルの多様化により、葬儀や埋葬方法にもさまざまな選択肢のある時代になりました。葬儀についてセルフプロデュースをするのも珍しいことではありません。
 ・宗派
 ・葬儀の希望や要望(家族葬や密葬など)
 ・納骨の方法
 ・お墓の有無 など
終末医療や介護について
急に寝たきりの状態になったり、認知症などに陥る可能性は誰にでもあります。いざと言う時、決断に迫られた家族ができるだけ本人の意思に添いたいと思った時、判断材料となる情報は非常に助けになるでしょう。
 ・延命治療や介護の希望
 ・費用について
 ・主治医について
 ・持病やアレルギー、内服薬の有無 など
◉ペットについて
ひとり暮らしをされている場合、残されるペットについてもその後の対応について記載をしておきましょう。ペットを引き取り、きちんと世話をしてくれる人を決めておく必要があります。

このように、エンディングノートにはさまざまな項目について自由に記載することができます。お気に入りのエンディングノートをみつけ手書きで残してもいいですし、手軽にパソコンやスマホを使いデータとして保存しておいても良いでしょう。
しかしここで気を付けてほしいのは、エンディングノートには法的な効力はないと言うことです。そのため、あくまで故人の意思を尊重するという意味合いになってきます。
そのため、遺産相続については遺言書に記載するのが適切と言えるでしょう。エンディングノートは、自身で財産の詳細について洗い出しを行ったり、漏れがないようにする備忘録としての役割として使用すると良いかもしれません。

遺言書の必要性とは?

エンディングノートには法的効力がないので、基本的に全てが自由です。
反対に、遺言書は法的効力を持たせるために、決められた形式を守り作成する必要があります。ルールにのっとり作成されていない遺言書は無効となり、作成をしておく意味がありません。
遺言書には大きく分けて下記の3種類があります。

◆自筆証書遺言
 遺言者自身が遺言書の内容、日付、氏名を自筆し・押印し、自身や法務局で保管する形式。
◆公正証書遺言
 遺言内容を公証人が筆記・押印して遺言書を作成する形式。作成時に、証人の立会いが必要で作成した遺言書は公証役場で保管。
◆秘密証書遺言
本文は代筆可能で、署名・押印は自身で行い作成をしたものを、公証役場で自身の遺言であることを保証してもらう形式で、保管は自身で行う。

遺産相続はどうしても揉め事が起こりやすい側面を持っています。自分の死後も家族や親族が揉めることないよう、相続についてしっかりと考えておくことが大切です。
エンディングノートに財産分与や相続について記載しておくと法的効力を持たないため、家族や親族間でのトラブルに発展する可能性があります。
そのため、相続についてはきちんと遺言書を作成し、そのほかの希望や伝えたい気持ちなどをエンディングノートに記載して、役割によって遺言書とエンディングノートの使い分けをすることをおすすめします。

遺産を相続させたくない人がいる場合

特に下記のようなことがある場合には、特に遺言書の作成を強くお勧めします。

・相続させたくない人や財産がある
・遺産の配分を決めたい
・相続人以外に遺産相続させたいひとがいる
・相続人がだれもいない

今回は、相続をさせたくない、させない法定相続人がいるケースについて考えてみましょう。
例えば、生前に縁を切るほどの不仲になった家族や親戚、離婚してからほとんど会ったことがない前妻との子供などがおり、相続をさせたくないと感じる場合には、遺言書できちんと対処しておく必要があるでしょう。
ただし、相続をさせたくない相手が第一順位の子供であったり、第二順位の両親である場合、は法律で認められた「遺留分」という権利があるため遺言書だけの対策では不十分なことがあります。
遺留分とは、被相続人の近しい関係にある法定相続人に最低限保障される遺産取得分です。子どもや配偶者などの近親者は、被相続人が亡くなったときに財産を相続する権利が法律で認められており、この権利は遺言書をもっても奪うことはできません。どうしても遺留分の可能性すら残したくない場合には、生前贈与や生前排除などの対応を取っておく必要があるでしょう。

さらに気を付けておきたいのが、相続の対象となるのは現金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も対象となることです。法定相続人がマイナスの財産の存在を知らない場合、遺言書を残しておかないとマイナスの財産まで相続してしまう可能性があります。マイナスの財産がある場合は、遺言書を遺してその旨を記載しておきましょう。

まとめ

今回は特定の相手に財産を相続させない際の遺言書の重要性についてご紹介してきました。
特定の相手に相続をさせたくないと考えている場合、将来の相続争いの予兆が感じられるケースも多く見られます。しかし、そうでなくても遺産相続というのはお金が絡むことから、トラブルに発展しやすいと言えます。
遺言書の作成には、財産の洗い出しなども必要で、思っている以上に体力と時間を要することもよくあります。できるだけ心身ともに元気なうちに取り掛かることができると安心ですね。

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