年々、高齢者のひとり暮らしの割合は増えており、現在では65歳以上男性の8人に1人、65歳以上女性の5人に1人がひとり暮らしです。
昔は世代を渡って家族で一緒に暮らすのが普通でしたが、今ではどの世代においても、ひとり暮らしが特別ではなくなってきました。
配偶者との離婚や死別を経て、老後おひとりさまだという方もいるでしょう。誰しもおひとりさまになる可能性もあると思い、終活を経て老後の準備をすすめることで老後の不安を少しでも取り除いておきましょう。
今日は老後のリスクや不安を解消するための、おひとりさまのするべき終活についてお伝えしていきます。
おひとりさまとは?
おひとりさまの定義は色々ありますが、ここでは、一緒に暮らす配偶者やパートナー、子やきょうだいなどがいない人とします。また、こうした人がいたとしても、高齢や認知症、障がい、海外在住、交流がないなどのために頼れる人がいないという人も当てはまります。
若いときには気軽な一人暮らしを楽しむことができたとしても、老後は心身の衰えにより、多くの困りごとが起こります。高齢になると病気やけがのリスクも高まります。自分に何かあったときに誰かに気づいてもらえないということは、生前死後を含めて大きなリスクと言えます。
おひとりさまの老後のリスクとは?
おひとりさまの老後のリスクについていくつか考えてみましょう。
生前のリスク
・入院や介護施設などへの入所の手続き
(入院や手術をするときには、身元保証人や手術の同意をする人が必要です。身元保証人に求められる役割は、
治療費などの支払いの保障と、転院が必要になったときや死亡したときのサポートや引き取りです。)
・認知症などを発症した場合、十分な食事ができないことによって健康状態が悪化したり、洗濯や掃除などの家事が
できずに不衛生な環境になることがある
・詐欺や犯罪に巻き込まれやすい
死後のリスク
・葬儀や埋葬、墓の手配
・死亡届や社会保険関係(公的年金、公的医療保険、公的介護保険など)の届出
・賃貸契約や公共料金、電話等の解約手続き
・財産管理や相続手続き(意図しない人に遺産が継承される)
・家財道具などの遺品の処分
などがあります。これらを誰がやるのか、誰に頼むのか考えてみましょう。相続人となる人がいるのであれば、その人が手続きを行うことになりますが、何年も連絡を取っていない親族に頼めるでしょうか。
おひとりさまが意識的に終活をすすめるべき背景とは?
おひとりさまが一番心配なのが、「孤立死」です。高齢でひとり暮らしをしている人の数は増え、それに伴って孤独死の件数も年々増加しています。例えばひとり暮らしだと、家の中で転んでしまい、その場から動けなくなっても誰にも発見されない。ということも起こり得ます。
「終活」は死んだ後のためだけに行うことではありません。「葬儀の手配は誰がしてくれるのだろう?」「遺産は誰にの手に渡るのだろう?」などのと焦燥感や不安に駆られていては心配が尽きません。これらを問題を明確にし解決しておくことで、これからの先の自分を安心させることにも繋がります。
終活を行うことでセカンドライフをより充実させ、これからの人生について考えることができるのです。
おひとりさまの終活でやるべきこと
1. 生前整理(身辺整理)・断捨離
生前整理は終活の中でもメインとも言える作業です。終活における片付けは「整理整頓」とは違い、必要なものとそうでないものを分けていく断捨離の意味合いが強くなります。物を減らして家の中を整理することで、物につまづいたりケガのリスクも抑えられます。また、掃除や整頓の手間を省くことでおひとりさまでも家事の負担を減らし、ストレスを軽減させることに繋がります。生前整理によって不必要なものを思い切って処分することで、身も心もスッキリするのではないでしょうか。
2. 葬儀・お墓を決めておく
終活の一環として取り組む人が増えているのが、葬儀やお墓の生前予約です。ライフスタイルも多様化し、お葬式や埋葬方法にも自分らしさを求める人が増えています。葬儀の生前予約は、いわばお葬式のセルフプロデュースです。人生のしめくくりに備え、葬儀場の相談をしておくと安心して最期を迎えることができるのではないでしょうか。葬儀だけはなく、永代供養、自然葬など供養の仕方にもさまざまな選択肢が増えていますので、自分にとってふさわしいものを検討しておくと良いでしょう。
3. 趣味や習い事などを通じて社会との繋がりを作っておく
家で一人で気軽にできる趣味もいいですが、外に出かけるだけで体力維持にもなりますし、人との繋がりを作っておくことは、おひとりさまにとって非常に重要です。コミュニティや地域の集まりなどでも顔を出しておくと、いざという時に安否確認に繋がります。
遠くの身内より、近くの他人。家族や身内が近くにいなくとも、有事の際に友人がいるというのはとても心強いことです。また、役所や福祉施設の担当者に自分がひとり暮らしであることを伝えておくと、より安心です。
4.死後事務委託契約を利用する
入院費の精算、葬儀の手配、クレジットカードの解約など、臨終時にはさまざまな手続きが必要です。そういった事務手続きを任せられる身内がいない場合に、生前から第三者に頼んでおく契約が「死後事務委託契約」です。信頼できる友人・知人のほか、弁護士や司法書士・行政書士などの法律の専門家にも依頼することができます。
死後の事務手続きは基本的に親族が行うことを前提に法律も作られています。おひとりさまで親族がいない場合にスムーズに手続きを行うためにも、死後事務委託契約を積極的に利用するのがおすすめです。
5. 任意後見人制度を利用する
任意後見人制度は、認知症などで自己判断ができなくなった時、代理人として財産管理や介護・福祉サービスの手配、税金の納付手続きなどを行ってもらう制度です。「後見人」は、自分に判断能力があるうちに決めておきます。死後事務委託契約と同じく、親しい友人・司法書士・法人など信頼できる人に指名しておきましょう。認知症だけでなく、事故などで突然判断能力がなくなってしまうことも想定し、おひとりさまの場合は、後見人制度を利用しておくと安心です。
6. エンディングノートを書く
エンディングノートとは、自分の死後の要望など家族や友人に向けて残しておくものです。遺言書と異なり法的効力はありませんので、伝えたいことや思いを自由に書きましょう。自分が亡くなった時だけでなく、意思疎通が取れなくなってしまった時のためにも、介護や医療についての希望も書き記しておくと良いでしょう。
おひとりさまの場合は、簡易的なエンディングメモを作って常に持ち歩いている人もいます。自分の意思で決められることは元気なうちに決断しておくと安心です。
終活はだれのため?メリットもたくさんあります
終活を行うことは年齢にかかわらず、とても大切なことです。終活を行うメリットはたくさんありますが、デメリットはほとんどありません。終活は高齢者や余命宣告を受けた人が身辺整理を行うことと捉えられがちですが、実際は『自分らしい人生のしめくくり』向けての準備です。決して後ろ向きな活動ではなく、やり残したことや死後の希望などを整理し、残りの人生を充実させるために大きな役割を果たします。
終活を行うメリットは、
・自分の想いを家族や友人など残された人に伝える
・今までの人生を振り返る
・これからの生活をより充実させ、前向きに捉える
などです。おひとりさまだからこそ、日ごろから接している友人や知人に自分の想いを伝えることで、もしもの時トラブルなく物事を進めることができます。終活は自分だけでなく、自分に関わる人たちのためにもやっておく必要があります。
まとめ
・おひとりさま終活は、自分自身での準備が大切
・おひとりさまの場合、孤立死にならないための対策をしておく
・病気や事故などで判断ができない場合や、動けない時などに様々な手続きや手配をしてもらえる人を見つけておく
おひとりさま終活は、通常の終活とは心がけるポイントが違います。体調の変化はいつ訪れるか分かりません。残りの人生を安心して過ごすためにも、終活をしっかりと理解して準備しておきましょう。
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