そもそも終活って何のこと?

悩む高齢者


終活とは「自らの人生の終わりに向けた活動」の略語で、自分自身の葬儀・お墓・遺言書の準備や、相続・身の回りの生前整理などを行うことを指します。

終活と言う言葉が初めて使われたのは、2009年(平成21年)のことです。

週刊朝日の中で使われた言葉で、この雑誌の中では、葬式などの人生の最後に向けた準備のことを意味していました。

おそらく、今でも多くの方はこのように、「人生の終わり」を意識するような言葉として捉えているのではないでしょうか。

そのため、終活に関する事柄はこれまで、死後の話は縁起がないからと敬遠されてきました。

しかし、死というものは誰しもが必ず迎えるものです。

現在では、人生の終焉について考えることにより「今をより良く生きる為の活動」というポジティブな意味に変わってきています。

この考えが広がり、今では終活について考える方が増えてきました。

人生100年時代を迎えて

先日厚生労働省の発表により、2020年の日本人の平均寿命が女性が87・74歳、男性が81・64歳となり、過去最高を更新したことが伝えられました。

過去最高を更新するのは女性が8年連続、男性が9年連続となり、医療技術の発達や健康意識の高まりにより今後も上昇を続けることが予想されます。

また、国内の100歳以上の高齢者は「老人の日」の2020年9月15日時点で8万450人と、

初めて8万人を超えました。

これは前年同時期から9176人増え、1971年(339人)以来、50年連続で過去最多を更新となります。

これらの数字を見ても、私たちが100歳を超えて長生きすることは十分に考えられます。この現状を踏まえ、自分がもし100歳まで生きるとしたら、どのような人生を送りたいでしょうか。

仮に年金支給年齢の65歳まで働いたとして、その後の人生は35年間も続くのです。この時間を充実したものにするためにも、終活はとても役に立つのです。

終活を行うメリット

終活のメリットを考える


では次に、終活を行うことで、実際にどのようなメリットがあるか、お話ししたいと思います。

家族への負担をなくす

終活とは?でも述べたように、終活には葬儀やお墓、生前整理など、多くの事柄が含まれてい
ます。
もし、生前にこれらに対する準備がなれていなかったらどうなるでしょう。
多くの場合、遺された家族が担う事になります。

しかし、家族は家族の生活があり、特に子育てや介護を担っている家族にとっては毎日が大変忙しく、新しい事に時間を割くことは難しいでしょう。
また、遺産相続の手続きや協議など、やるべきことが次々出てきます。
そのため、家族にとって、亡くなった方の死後の各種手続きは経済的、精神的、肉体的に大きな負担となります。
大切な家族が困らないためにも、事前の準備はとても重要になっています。

人生をより良く生きる

終活が終わり、自分が亡くなった後の事について不安がなくなれば、今後の人生を楽しむ事に集
中できるようになります。
終活を行う中では、これまでの人生の振り返りを行う時間を作ることもお勧めしています。
若い時は仕事に家事・育児と忙しく、ゆっくりと自分と向き合うことができない人が多いと思います。
様々なことから解放され、自由な時間ができたタイミングで自分の人生を振り返ることで、今までやりたかったのにやれなかったことが出てくるかもしれません。
また、新たな一面が見え、新たな目標に向けて第二の人生を歩み出す方もいます。
人生を最後まで安心して、生き生きと前向きに過ごすために、終活は非常に意味のある活動であると感じています。

具体的に何をするの?

終活を始める

終活に含まれるものとしては、次のようなものがあります。

① 遺言書作成
② 相続対策
③ 不動産売却
④ 葬儀の手配
⑤ お墓の手配
⑥ 保険見直し
⑦ 不用品整理(生前整理)
⑧ 成年後見人
⑨ エンディングノート(終活ノート)作成

一つずつ見ていきましょう。

① 遺言書作成
遺言書とは、自分の死後、自分の持つ財産を誰にどのように分けるかを指定する書面
のことです。
遺言書を作成するメリットには次のようなものがあります。

・相続人同士での争いを防ぐ
・相続人の遺産分割協議書作成の必要がなくなる
・相続人以外にも財産を分けることができる

自分の死後、家族同士での争いをなくすためにも、予め遺言書を作成することをお勧めします。
遺言書作成方法としては、財産を渡す方ご自身で全て作成する「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言の場合、御自身で作成できる手軽さはありますが、内容に不備がある場合、遺言書が無効になる可能性があります。
一方、公正証書遺言の場合、作成のために公証役場に訪問する必要があり(自宅等への
出張も可能ですが、費用が余分に必要です)手間がかかりますが、不備で遺言書が無効
になる心配がないため、確実に遺言書を残したい場合は、公正証書遺言をお勧めします。


② 相続対策
財産を持つ場合、相続により相続税が発生する可能性があり、予め備えておく必要があ
ります。具体的な進め方は以下の通りです。

・相続財産の把握
・相続人の特定
・相続財産の分け方を決める
・相続税の計算
・相続税納税資金の確保

特に、相続財産の把握や相続人の特定は非常に時間がかかる場合があり、早めに取り掛かることで、実際の相続の場面で相続人が慌てる心配がなくなります。


③ 不動産売却
介護施設への入所で自宅が不要になったなど、不要になった不動産がある場合、今後
活用する予定がない場合は、早めの売却を検討しましょう。
不動産は所有するだけで固定資産税がかかり余計な出費が増えるだけでなく、人が住まなくなったことで換気や掃除が行われず、建物が傷むことで不動産としての価値が下がる事にもなります。
今後少子高齢化による人口減が進む事で空き家の増加が予想されます。
そうなることで不動産も買い手が見つからず、売るに売れない状態が生じることも考えられます。


④ 葬儀の手配
葬儀は時間的・精神的に余裕がない中で急いで決めなければならず、家族にとって非常に負担になります。予め手配しておくことで、家族は自分の気持ちを整理する時間ができます。


⑤ お墓の手配
最近では樹木葬や海洋散骨など、お墓の種類は多岐にわたります。亡くなった方の意思が大切なお墓については、しっかりと生前にご自身の考えを伝えておくことは大切です。


⑥ 保険見直し
今までに保険を使ったない方にとっては、若い時になんとなく加入してそのままになっている方もいるのではないでしょうか。
いざと言う時しっかり役に立つ保険に入っておくことで、経済的に困ることがなくなります。
また、子供がいる方であれば、子供が自立したのちは不要になる保険もあるはずです。
保険は家の次に高価な買い物と言われるほど、一生涯で考えた時に多くの出費が必要なものです。
これを機会に不要なものを見直し、不足しているものがあるのであれば入り直すことも検討してみてはいかがでしょうか。
自分は健康ではないからと諦めていた方も、今では健康に不安な方でも入れる保険も登場しています。


⑦ 不用品整理
不要なものを予め整理しておくことで、家族の負担を減らすことができます。
スッキリすることで気持ちも新たに、第二の人生を楽しむ事につながるのではないでしょうか。


⑧ 成年後見人
聞き慣れない言葉かもしれませんが、成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した人の財産を保護するために設けられた制度のことです。
自分でお金の管理ができなくなってきた、詐欺にあって高額な商品を購入してしまったなどが発生した場合には、成年後見人の利用を考えて見ましょう。
予め成年後見人を決めておく事で、このような場合にも対応することができます。
例えば、ご自身に変わって財産管理をしたり、不当な契約の取り消しを行うことができます。
この制度を利用するためには、家庭裁判所に「後見人等開始手続きの申立て」を行う必要がありますので、まずは身近な専門機関(ご本人の居住地域の地域包括支援センターや相談支援事業所など)相談して見てください。


⑨ エンディングノート(終活ノート)作成
エンディングノート(終活ノート)には、ご自身の個人情報のほか、1〜8に関する内容や、家族・友人知人の連絡先、医療(延命治療など)についての希望など、あらゆることを書いて頂くことができます。
遺言書と違い法的効力はありませんが、家族にご自身の意思を伝える一つの手段として非常に意味があります。
書き方・形式に決まりは無く、自由に書くことが出来ます。
写真などを貼っても構いません。
興味がある項目から一つずつでも進めることをオススメします。
書店等で市販されているものの他、インターネットからも無料で使えるものもあります。
ぜひ一度、まずはどんなものか、見てみてはいかがですか。

終活はいつから始めれば良いか

終活を始めるタイミング

始めるタイミングはいつでも良い

終活は思い立ったときに、始めることをおすすめします。
まずは一つでも、興味のある事柄からでも始めてみましょう。

20代・30代などの若い世代も始めるメリット有り

終活というと、仕事を定年退職した方など、高齢の人が行うイメージを持たれる場合が多いです。
しかし、20代・30代などの若い方でも行うメリットがあります。
考えられるメリットとしては次のようなものがあります。

・人生の終わりを意識することで、今を大切に生きることが出来る
・万が一の時に家族に迷惑をかけることを防げる
・ライフプランを立てることで、将来の家計の動き(いつ、どのタイミング、どれだけのお金が必要か)が分かり、資金計画を立てることが出来ます。

このように、若者であっても、早い段階で将来を考えることで、今をより良く生きることに繋がるのです。

終活を学びたい方へ

終活の資格取得

2009年に終活という言葉が出てきて以降、終活に関する様々な資格が出てきています。
前述したように、終活は様々な分野に関連し、幅広い知識が必要になります。
書籍やインターネットを利用して独学で学ぶことも出来ますが、効率的に学ぶためには、資格の取得を目指すことも一つです。
主な資格をご紹介します。
なお、終活に関する資格は国家資格が無く、いずれも民間資格になります。

終活ガイド

「終活ガイド」は、一般社団法人終活協議会が主催する資格のことです。
終活協議会のホームページによると、終活ガイドになることで、次の3つが出来るようになると書かれています。

① 終活に関するサポート・アドバイス
② 専門家への橋渡し
③ 認定講師やエリアマネージャーとして活躍

資格獲得後はセミナー資料を使用できたり、「心託サービス」による専門家の紹介を受けられるなど、終活を仕事として取組んでいきたい方向けの資格となっています。

終活カウンセラー

「終活カウンセラー」は、一般社団法人終活カウンセラー協会が主催する資格のことです。
終活カウンセラー1級では、コミュニケーションスキル(聴く・伝える)やプレゼンスキルなども身につきます。
終活知識だけで無く、カウンセリングなどのスキルも学びたい方にオススメです。

終活アドバイザー

「終活アドバイザー」は、ユーキャンが主催する資格のことです。
資格取得まで、動画とテキストを使って自宅学習ができます。
自分のペースで終活の知識を学びたい方や、本業に終活の知識を加えてスキルアップしたい方にオススメです。

本日の記事のまとめ

元気な高齢者

・終活はネガティブなものではなく、「今をより良く生きる為の活動」というポジティブな意味に変わっています。
・年々高齢化が進む中、終活の意味合いは増してきています。
・終活はいつ始めても良く、20代などの若い世代にも始めるメリットがあります。
・体系的に終活の知識を学びたい方は、資格取得もオススメです。

終活を行うことで、自分の残された人生を全うし、充実した最後を迎えることが出来たら素晴らしいことです。
家族にとっても、大切な人がそのような人生を送ってくれたとしたら、嬉しいものであると思います。
終活をご自身が行う中で、また、他者の終活に関するお悩みを解決したい場合、専門家の知識は欠かせません。
それぞれの専門家をご自身で見つけることは手間と時間がかかります。
もし、専門家による解決をご希望の場合には、名古屋市熱田区の合同会社に一度ご連絡下さい。
提携している各分野の専門家をご紹介致します。

参考
一般社団法人終活協議会 https://kamurogi.net/
一般社団法人終活カウンセラー協会 https://www.shukatsu-csl.jp/
NPO法人ら・し・さ https://www.ra-shi-sa.jp/