今後の人生をより良く生きるために、終活を始める人が増えてきています。
終活を行う中で、これまでの人生を振り返り、人間関係を整理する人もいます。
その一つとして、これまで人生を連れ添ったパートナーとの別れを選択することもあります。
これが「終活離婚」といわれるものです。
離婚をすると、経済的・精神的にも多くのものを手放すことになります。
一時的な感情で決断して、後に後悔することのないよう、しっかりと計画をして、決めていくようにしましょう。
今回は、終活離婚について、具体的内容や方法を解説していきます。
終活離婚とは
終活離婚とは、終活を行う中で、離婚を選択することを言います。
終活離婚は、生前に行う熟年離婚と、死別後の選択による死後離婚の2つがあります。
熟年離婚
長年連れ添った夫婦が離婚することをいいます。
明確な定義はありませんが、一般的には結婚して20年以上経過した夫婦の離婚を指します。
この熟年離婚の件数は増加傾向にあり、厚生労働省の「令和元年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同居期間が20年以上になる夫婦の離婚率が全体の20.8%を占めています。
増加の背景としては、子供の独立や夫の定年退職で夫婦のみの時間が増加したことによるストレス増加や、年金分割制度により離婚後も妻の年金が確保されることがあげられます。
あるいは、女性の社会進出により、離婚をしても一人で生きていける時代になったことも大きな要因と考えられています。
死後離婚
死後離婚とは、夫婦どちらかが亡くなった後に、配偶者の親族との縁を切るために、「姻族関係終了届」を提出して離婚することをいいます。
死後離婚は、通常の離婚とは違い、配偶者との婚姻関係を切るものではありません。
そのため、死後離婚をしても遺族年金の受け取りや、遺産を相続する事が出来ます。
死後離婚も熟年離婚同様に増加傾向にあり、2009年には1823件でしたが、2018年には4124件にまで増えました(戸籍統計 種類別 届出事件数(平成21年度~30年度)e-Stat 統計で見る日本)。
増加した背景は、核家族化の進行により配偶者の親族との関係が希薄であることが挙げられます。そのため、配偶者亡き後まで付き合いたくない、介護したくないなどの感情になり、このような選択をする人が増えてきています。
終活離婚のメリット・デメリット
メリット
自分の時間が増える
夫婦生活から解放されることで、自分の時間を増やすことが出来ます。
旅行に行ったり好きな趣味を心ゆくまで楽しむ事が出来ます。
夫婦生活での気遣いや金銭面での我慢がなくなり、ストレスなく過ごすことができます。
配偶者に浮気やモラハラ、DVなどの問題があった場合は、精神的苦痛からも解放されます。
配偶者・配偶者の親族との関係を断ち切れる
配偶者やその親族と不仲である場合、関係を絶つことができます。
同じ墓に入る必要も無ければ、配偶者や親族の介護もしなくてもよくなり、精神的・体力的にも楽になります。
死後離婚の場合は、遺族年金や遺産相続の権利がなくならないので金銭面の心配もありません。(ただし再婚した場合、遺族年金はもらえなくなります)
新たな出会いに恵まれる
離婚後は新たな恋愛や再婚ができるようになります。
終活を考えたときに、もう一度恋愛を楽しみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
最近では、婚活パーティーやマッチングアプリなどが普及しており、新しい出会いに恵まれる機会は増えてきています。
デメリット
単身での孤独な生活
熟年離婚の場合、子どもが成人していることが多く、その場合には配偶者と別居することで、一人で生活することになります。
仕事を持っている方であれば、職場の人間関係があるため孤独感を感じにくいですが、定年退職後や専業主婦の方が熟年離婚すると、一人での生活となり、孤独を感じることが多くなります。
若いうちであれば友人も多いと思いますが、熟年離婚の場合、友人は家庭を持っている場合が多いです。
そのため、友人と一緒に出掛けたりすることが難しくなってきます。
特に、趣味がない方や、もともと友人が少ないという方は、熟年離婚後に孤独感を感じることが多くなりがちです。
子供への影響
熟年離婚の場合、夫婦間に子どもがいても成人している場合が多いため、親権や養育費が問題になることはほとんどありません。
しかし、離婚によって両親いずれかの生活が立ち行かなくなると、子どもが負担する事になるでしょう。
また、両親に介護が必要になった場合、両親が同居していれば、もう一方の親が介護をすることが多いと思いますが、両親が離婚している場合には、子どもが金銭的・肉体的な負担を強いられる可能性があります。
財産分与での争い
財産分与は離婚後の生活に大きくかかわる問題で、財産をすべて取られたり、不動産を勝手に処分されるなどのトラブルが発生する可能性があります。
当事者間の話し合いでは訴訟にまで発展する可能性もあります。
財産分与についてはご自身だけで判断せず、弁護士に依頼するのが良いでしょう。
終活離婚の進め方
熟年離婚の進め方
熟年離婚も通常の離婚と同様、まずは相手方と協議の上、協議離婚という形をとるのが一般的です。
しかし、熟年離婚の場合、夫婦のどちらかが一方的に切り出すことが多いため、相手方が協議に応じてくれないという場合もあります。
夫婦間で協議が整わない場合は、家庭裁判所における調停、または、裁判によって離婚するかどうかを決めることになります。
熟年離婚においては、子どもが成人していることが多く、子どもの親権や養育費が問題とならないかわりに、財産分与が問題となることが多いです。
ただ、離婚において、財産分与の合意は必須条件ではなく、離婚成立後に財産分与の請求をすることも可能です(ただし、離婚後2年以内に限られます)。
死後離婚の進め方
必要書類を用意しましょう。
主な書類は以下の通りです。
下記書類以外でも必要なものがないか、申請する市町村役場に確認するようにしましょう。
- 姻族関係終了届→市町村に備え付けてあります
- 戸籍謄本→本籍地以外の市区町村役場で手続きするときに必要です。
- 本人確認書類
- 印鑑
上記の書類を市区町村役場へ提出するだけで死後離婚が成立します。
手続きに期限はないので、死別後何年経過していても申請可能です。
まとめ
自分らしい生き方を実現するため、終活離婚を選択する人が増えてきています。
しかし、財産分与など、トラブルの可能性もあり、急いで行うと後悔することになります。
終活離婚をきちんと成立させるためにも、しっかりと夫婦間で話し合う時間を取ると良いでしょう。
Good Endingでは、終活の専門家がチームでご相談者様の悩みを解決に導きます。
まずはお気軽にご相談ください。