終活の中の取り組みのひとつとして、身じたくを整えるというのがあります。これまでの人生を振り返ると共に、今後の人生に必要なものは何かを考え、できるだけ物を減らしておくことで残された家族の負担を減らすことができます。
また自身も身の回りを整えることによって、家事の負担を減らしたり、生活がしやすくなることなどが期待できます。
今回の記事では、そんな身の回りのものを取捨選択をする中で自動車の終活について考えていきたいと思います。

車の必要性を考えてみる

現代の日本は超高齢化社会となり、高齢者の人口が増加しており、それに伴い高齢者による自動車の交通事故が増えています。高齢者の運転免許の自主返納を勧める動きなどが活発になっていますが、その一方で生活をしていく上で自動車の運転を続けなければいけない高齢者の方も多くいらっしゃるでしょう。
それではまず、ご自身の今後の生活の中で自動車が必要かどうかを考えていきましょう。

自動車が必要な暮らし

・生活必需品の買い出しや通院などに、車がないと行くことができない
・公共交通機関が発達していない
・農家などで車が仕事に必ず必要
・体力に自信がなく、自動車での移動が欠かせない
・家族の送迎を担っている

自動車が不要な暮らし

・公共交通機関が発達しており、車が無くても気軽に買い物や通院に出かけられる
・ネットスーパーなど、宅配サービスが利用できる地域に住んでいる
・近くに家族や親族が住んでおり、いざという時に頼りにできる
・車の運転に自身が持てなくなった、運転中ひやりとすることがあった

車を手離す場合どんな手続きが必要?

・車の売却や車の名義変更をする
売却をする場合複数の業者に見積もりを出してもらうと、その車の適正な市場価値が見えてくるでしょう。車は基本的には、時間が経つにつれ価値が下がることが避けられません。書類の準備に手間取って売り時を逃してしまい、査定額が下がってしまうことなどがないように、準備をして進めていきましょう。

また万が一、名義が自身のままになった車を残して最期を迎えた場合、残された家族は手続きに非常に手間を取られることになります。
車の名義を相続人名義に変更しておかないと、車を売却したり車をリサイクル事業者に引渡す際などの手続きができなくなるなどの不都合が起きます。また故人名義のまま事故を起こした場合、自賠責保険を超える金額については補償されないといった事態を招く可能性もあります。このような事態を防ぐために、相続時には自動車の名義変更をしておきましょう。

・免許返納をする
加齢に伴う身体機能や認知機能の低下により運転に不安を感じている高齢者の方で、今後運転をする意思のない場合、運転免許証の有効期間内であれば自主的に返納することができます。返納手続きは、警察署や各運転免許センターに申し出ることで行えますが、必ず本人が申し出る必要がありますので注意しましょう。
また免許証を返納し希望をすると、運転経歴証明書を受け取ることができます。運転免許証を返納した日からさかのぼって5年間の運転に関する経歴を証明するもので、これまで安全運転に努めてきた証明や記念の品となるものです。 もちろん、運転経歴証明書で運転をすることはできませんが、運転免許証と同じく公的な身分証明書として使用することができます。また運転経歴証明書を提示することで、タクシーやバスの運賃割引、美術館、飲食店の料金割引などさまざまな特典を受けることができます。(特典の内容は自治体により異なります)

車の運転を続ける場合、気をつけたいこと

生活の中での車の必要性という視点から考えてみましたが、人によっては車というのは、単なる移動手段だけではない方もいらっしゃるでしょう。
今の高齢世代が若い頃、マイカーは憧れの存在としてお金をためて手に入れるものの象徴でした。今でも車は自分の経済力や社会的地位、あるいは自身の趣味やパーソナリティーを表現してくれる存在を担っていることもあるでしょう。車を運転をすることに生きがいを感じているような方は、免許返納をすることで単に移動手段を失うというよりも、自分の存在価値を失うような感覚になる方もいらっしゃるかもしれまんせん。
そういった場合、無理に運転をやめるのではなく自身の運転能力や体力と相談し、上手に付き合っていく方法を選択するのが良いでしょう。

運転を続ける人は下記のようなことに気をつけてみると良いでしょう。
・運転前にストレッチなどをして体や脳を活性化しておく
・目的地までの道順を調べておいたり、混雑する時間や場所をできるだけ避ける
・天候の悪い日や夜間などの運転はできるだけしない
・高齢運転者標識をつける
・体調が悪い時は運転を控える

少しでも運転を続けることに不安を感じたり、ヒヤッとすることがあった場合は運転をやめる選択をする勇気を持ちましょう。
また、最近はドライバーをサポートする機能を搭載した車も多く販売されています。自身の年齢や体力を考慮して車を選ぶことも安全に運転を続けるためには大切なことです。下記のようなことを車選びの参考にしてみてください。

・小回りのきくコンパクトカー
小回りが利く車であれば街中での運転操作もしやすく、ボディサイズが小さくなるので、周辺の人や障害物に接触しにくくなります。
・安全機能が充実している
車線はみ出しアラートや、ハンドル操作をサポートしてくれる機能などがあります。
・セーフティサポートカーである
セーフティ・サポートカーというのは、高齢者による交通事故防止対策として経済産業省によって推奨されており、「事故のリスクを低減できる安全性能の高い車」のことです。具体的には、自動ブレーキシステムやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの装備を搭載しています。高齢者の方が安心して運転を続けることの手助けとなるでしょう。
・乗り降りのしやすい車
気持ちはいつまでも若いつもりでも、どうしても体の衰えは避けられません。体力や筋力の低下を考え、乗り降りしやすい車を選ぶことも快適なカーライフを送るための近道です。
・ボディカラーも工夫してみる
赤やピンク、オレンジ系の暖色系のボディカラーは膨張色でボディが大きく見えるという視覚効果があります。周囲からは車がより接近しているように見える役割を果たし、歩行者や他の車から危険を感じやすいため事故防止につながることもあるのです。運転者だけではなく、周囲からも事故のリスクを減らすことに繋がります。
・維持費の安い車
運転とは直接関係はありませんが、排気量が小さく燃費の良い車を選ぶことで維持費の金額は大きく変わってきます。自動車税の金額やガソリン消費量なども考慮しながら車選びをすることで、老後の生活費を圧迫しない工夫が必要です。

高齢になると脳の処理能力が低下し、運転中、信号確認や歩行車の確認など複数のことを瞬時に判断しなければならない状況で、正しい判断ができなくなる危険性があります。また、アクセル、ブレーキの踏み間違いに気づいても、体がすぐに反応できないこともあるのです。
そしてもうひとつ挙げられる要因としては、運転に対する慢心です。
毎日通っている道で運転し慣れているからから大丈夫、対向車や横断者が止まってくれるはずなどといった、『だろう運転』による事故が多くなってくるのも高齢者の事故の特徴です。このような事故は、事前の準備や常に丁寧な運転を心がければ防げる場合があります。
過信し過ぎずに、心に余裕を持ち安全運転を心がけましょう。

まとめ

・ここからの自身のライフスタイルや生活環境などを考慮し、この先車の運転を続けるかどうかを検討すると良い
・運転をやめる場合、車の名義変更や運転免許証の返納などできることは早めに進めておくと、万が一の際にも
 家族の負担を軽減することにつながる
・運転を続ける場合、車選びを工夫をしたり、安全に運転を続けるための心がけを忘れないこと

加齢が進めばいつかは誰しもが運転から卒業しなくてはならないタイミング来ることでしょう。なかなか決心がつきそうにない時には、あらかじめ運転を続ける年齢を決めておき、それに向けて準備をしていくという方法もあるでしょう。自身で運転する以外の移動手段を検討しておき、少しずつ車のない生活を始めてみることもおすすめです。

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