終活を通してセカンドライフを充実させたいと考える人が増えてきていますが、老後を安心して暮らすためには、財産を整理し相続対策をしっかり行うことも大切な項目の一つです。財産とひとことで言っても、すぐに現金化できるものやそうでないもの様々な種類があるでしょう。なかでも不動産は、ご自身の意向だけでなく相続する側の都合や希望もあるので、整理に手間がかかるものの一つと言えるかもしれません。

今回の記事では、不動産の中でもマンションの終活のあり方についてご紹介していきます。

自宅の終活の必要性とは?

自分の最期と向き合い、より充実した人生を送るための準備をすすめる終活ですが、終活のなかでも資産の整理は残される家族にとっても関係が深く、重要度が高いと言えるのではないでしょうか。
一般的に財産のなかでも割合が大きいと言えるのが自宅をはじめとした不動産です。
賃貸にお住まいではない限り、終活を進める上で避けては通れない項目として出てくることでしょう。しかし、重要性は理解していても手続きの煩わしさや、相続の問題など面倒な作業と思われがちでなかなか一歩を踏み出せない方も多いようです。特に、今もそこにお住まいであればなおさらでしょう。

日本は現在深刻な空き家問題を抱えおり、総務省統計局の発表によると日本の住宅の1割以上は空き家の状態だといいます。こんなにも空き家が増加している要因のひとつとして、不動産所有者が自宅の終活をせずに亡くなっていることもあるのです。
残された家族への負担を減らし、気持ちに余裕を持って老後を過ごすための終活ですが、長い人生を歩んできた中での生前整理です。やるべきことは多く、体力も落ちてくるとなかなか手をつけられない場合もあるかもしれません。
では、マンションなどの自宅を終活する必要性は何かを考えていきましょう。

・老後の資金の補填、調達
老後の必要資金について多くの報道がされる中で、ご自身についても心配な方も少なくないでしょう。自宅は大きな資産のひとつですので、終活を行うことで資金調達としての効果も期待できます。自宅を売却した場合はまとまったお金を手にすることができますので、老後資金に充てることも可能でしょう。また、終の住処として高齢者施設などを検討されている場合も住み替えに必要な資金とすることもできます。
・家族への相続対策
相続税対策ができるのも終活を行うメリットです。相続税対策相続財産が基礎控除額を超える人は、相続時に相続税が課税されますが、毎年110万円までは贈与税が課税されないません。生前贈与を行うと、毎年財産を少しずつ減らしながら、親族に移していくことができます。また不動産は分割が難しいので、相続人同士で揉めごとに発展しやすい性質もあります。そのため生前のうちに、自宅を引き継いでもらいたい人に贈与しておくのも対策のひとつです。
・節税
財産の一部を不動産に変えたり、所有不動産を活用したりすることで、節税効果を得ることもできます。現金と不動産では相続税の評価方法が異なるため、資産を不動産に置き換えると、多くのケースで相続税を抑えることもできます。

老朽化が進むマンションが増加している現状

日本に分譲マンションが増加し始めたのは1970年台以降で、現在では国民の約1割がマンションに居住していると言われています。マンションはきちんと施工され、管理も適切にされていれば100年はもつはずですが、実際には築年数50年を超えるマンションの解体や建て替えなどが行われているケースがあると言います。
その背景にはどのような問題があるのでしょうか?

一つはマンションの老朽化です。建設をした時点では想定できなかった環境の変化や道路事情などにより、外壁の塗装などが劣化したり建物自体にひび割れが入る、配管の老朽化などがあります。

二つ目は、建物の耐震性能の問題です。現在の建築基準法の耐震基準は、1981年に改正されたものです。そのため、それ以前に建てられたマンションは、震度5弱までの地震にしか耐えられない「旧耐震基準」で設計されています。
そのようなマンションでは震度6〜7の地震が起きた場合に、耐えられる設計がそもそもされていないので、もしもの場合には安全性を確保することができません。

そのほかにも老朽化が進んでいるマンションの中には様々な問題を抱えているケースがあります。
・管理費や修繕費は数年おきに上昇するため居住者の負担が増える
・空室率が高いと、修繕費や管理費が不足して管理組合が機能しなくなり、マンションの老朽化が一層進んでしまう
・マンションの資産価値は築10年前後を境に落ち込んでしまうことが多い

 マンションの資産価値がゼロになってしまうことは、不動産である以上ありえません。しかし、よっぽど丁寧に
 老朽化への対応をしていない限りは、マンションの価値を保つことは非常に困難です。

マンションの老朽化で再生が必要な場合、建て替えか敷地売却のどちらかの選択がありますが、様々な法律も絡んできます。マンション区分所有法、耐震改修法などのハードルがあるほか、組合員の5分の4以上の決議が必要になるなどの問題もあります。

マンションの終活

ここまで自宅の終活の必要性や、マンションが抱える問題などについて紹介してきましたが、ご自身に必要な終活とは具体的に何なのか考えてみましょう。
実際に、何から始めるべきが戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。マンションなど自宅の終活を行うための手順を見ていきましょう。

終の住処についてイメージをしてみる

マンションの終活をするためには、まずは自分の希望や思いをじっくり考えてみましょう。自分がなぜこのマンションを購入したのか、動機や目的を振り返り、死後はそのマンションをどうしたいのかを考えます。
家族に引き継いでもらいたいという人や、現金化して早いうちに相続を済ませたいなどその思いは様々だと思います。まずは具体的にご自身の思考を整理してみましょう。

所有しているマンションや不動産の情報を整理する

自宅以外にも不動産やマンションを所有している人は、所有している不動産の情報を明確化しましょう。そして、それぞれの不動産についての必要書類を整理します。不動産の売却ではさまざまな種類の書類が必要となるので、あらかじめ準備しておくと安心です。

市場価値を見極める

不動産はその立地によって市場価値や流動性が異なります。売却や賃貸住宅化を検討しても、需要がない立地だと希望どおりの終活ができない可能性があります。とくに道路条件や市街化調整区域内の物件など、基本的に再建築することができない物件は、市場価値が低くなる可能性があります。所有不動産の資産価値は早い段階でリサーチしておくことがおすすめです。

終活としての選択と相談先を検討する

マンションの終活方法には複数の選択肢があります。
メンテナンスを加えながら住み続ける場合も売却する場合でも、専門的な知識が必要になってきます。売却や土地活用、または節税対策でも専門知識は必須なので、不動産業者や税理士など、自分の選択肢に適した専門家にあらかじめ相談しておくことがベストです。

まとめ

・自宅は最も大きな資産となることが多いため、死後どのように引き継ぐのか自身の意思を明確にしておくことが大切
・マンションは老朽化が進むと資産価値が落ちる可能性が高いため、終活を通してこれから先の道筋を立てるのが良い

マンションの終活をする際は、自宅の資産価値を客観的に把握しましょう。相続が発生した際には、相続人同士が財産の取り分でもめないよう配慮しておくことも大切です。老後の生活を安心してより充実した暮らしとするため、そしてスムーズに財産を相続してもらうためにも、終活をきっかけにマンションなどの不動産の今後についても真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

Good Endingでは、終活のご相談を初め、終活分野での専門家紹介を行っております。
税理士を初めとした専門家チームが、ご相談者様のお悩みを全力でサポートいたします。
終活でお困りの方は、お気軽にご連絡ください。