(本記事作成日:2021年11月30日)

人にはそれぞれ思い描く理想の逝き方というものがあるのではないでしょうか?病気になっても、出来るだけ手段を尽くし生きたいと思う方の意思も尊重されるべきである一方、チューブや機械につながれ辛い闘病を強いられ回復の見込みがないのなら、最期は自宅で安らかにその時を迎えたいと思う方もいらっしゃるでしょう。

尊厳死とは、人としての尊厳を保ったまま迎える死のことを言います。延命治療をしない、自然な人の死を指す言葉でもあります。

本日の記事では、尊厳死について考え、尊厳死を望むときにするべきことについてお伝えしていきます。

★本日の記事がおすすめな方
・尊厳死について知りたい方
・尊厳死を希望しており、そのために必要な準備をされたい方

尊厳死とは?

尊厳死という言葉を聞く機会も増えてきましたが、尊厳死とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
また、尊厳死と似た意味で使われることが多いのが安楽死という言葉ですが、この二つは違うものです。
それぞれの言葉の違いは何でしょうか?

尊厳死は、言い換えると自然死や平穏死になります。つまり人生の最終段階において過剰な延命治療をしない、もしくは自然な経過に任せた先にある死のことを指します。何もしないことが尊厳死なのではなく、十分な緩和ケアを行うことも前提です。人生を終える選択をしてから、その後の人生を自分らしく生きていくという過程も含みます。

それに対し安楽死とは、回復の見込みが望めない怪我や病気の苦痛から解放されるため、時に薬物を用いて死を選ぶことを指します。人為的に死を招くことになるので、今の日本では犯罪とされる点を理解しておく必要があります。

尊厳死と安楽死の二つは、いずれも寿命をのばすための延命治療を放棄するという点では同じですが、尊厳死はあくまで自然に、尽きる寿命を受け入れ残りの人生を自分らしく生きる選択です。それに対し安楽死は、残りの寿命を直接縮めるという選択になります。

尊厳死の意思を示しておく「リビングウィル」

例えば今後あなたがもし闘病を強いられ、回復の見込みが無く寿命がつきようとしているときでも、現代の医療は限界まであなたを生かし続けることが可能です。人工呼吸器をつけ、胃に穴をあける胃ろうを装着して栄養を摂取することができます。一度これらの延命措置を始めたら、生命維持装置をはずせば死に至ることから途中でやめることは非常に困難です。
また、延命治療の中止を求めても、医師は人の命を助けることが使命ですから、人工呼吸器を装着しないことやそれをはずしてしまうことに抵抗がある場合も多くあるでしょう。

リビングウィルとは、平穏で自然な死である「尊厳死」を望む方が、自分の意思を元気なうちに記しておくことです。人生の最終段階を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておくことで、家族や医師に伝わり、自分らしく最期を迎えることにつながります。

自分の意思を公的な書類に残す「尊厳死宣言公正証書」

尊厳死宣言公正証書は、尊厳死を希望する旨の宣言をした公正証書を公証人が作成する公的な書類です。
本人が公証人に対して尊厳死を希望している旨を伝え、公証人が書類作成の嘱託を受けるという形で、尊厳死を希望していることを外部に示す書類として作成するものです。 

尊厳死は自己の尊厳を保つことを目的としていますが、延命治療が自己の尊厳を保つことを否定しているかどうかは、本人でないとわからないといえます。 尊厳死を希望していても、終末期には意思表示ができなくなっている可能性もありますので、元気なうちに自分の意思を残しておくことが大切です。突然選択を迫られるような状況では、家族にとっても延命治療をするかしないかの判断は難しいものです。あらかじめ自分の意思を明確にしておけば、いざというときに役立てることができます。

また、安楽死は犯罪ですが、尊厳死もまた日本では法的には認められていません。欧米の一部の地域などでは、法律で尊厳死を認める傾向にありますが、日本ではまだ議論の途上であり法的な整備が整っていないことから、尊厳死は本人の意志があったとしても医療関係者が遺族から訴えられるという可能性がゼロではありません。
そのため、公証人が本人からきちんと嘱託を受けて作成する尊厳死宣言公正証書は、より強い意思表示にも繋がります。

尊厳死宣言公正証書を作成した場合でも、医師が必ず延命治療を中止しなければならない、というものではありませんが、本人や家族の希望をもとに医師が延命治療を中止することを期待できると考えられます。

尊厳死宣言公正証書に記載する内容とは?

尊厳死宣言公正証書は、尊厳死宣言書を公正証書として作成し公証役場に保管されます。記載しておく内容には例えば下記のようなものがあります。

①尊厳死の意思表明
 延命治療はせず苦痛を和らげるなどの最小限の治療を中心とし、穏やかに最期を迎えたいという意思を示す。
②家族の同意
 尊厳死を希望することに家族が同意していることを明確にしておく。
③医療関係者に対する免責
 家族や医療関係者らが法的責任を問われることのないよう、配慮を求める。
④宣言の有効性
 宣言書の作成時、心身ともに健全であったこと、および、自分で破棄・撤回しない限り効力を持ち続けることを
 明記しておく。

尊厳死宣言書を準備しても、家族が延命治療を希望した場合、医師はそれを無視して尊厳死を選択することは非常に
困難になります。尊厳死について検討する際は出来る限り家族と話し合い、家族への介護や経済的な負担を減らしたい、自分らしく最期を迎えたいなどの自分の気持ちを伝え、同意を得ておくことが大切です。

尊厳死を選択する上で注意したいこととは?

尊厳死を選択する際の注意点とは何でしょうか?

 ・周到な手続きを踏んで準備をしておいても、遺族から医師が訴えられる可能性をゼロにすることができない
尊厳死を認める法律が整備がされていないため、故人が意思を明確にしていても遺族は命を絶たれたと思ってしまうリスクがあります。
 ・残された遺族の心情
故人と遺族が相談をした上での決断であったとしても、いざ最期を迎えるとなると「続けられる命を絶つことは正しい選択だったのか」という思いから、家族を悩ませる可能性もあります。

まとめ

・尊厳死とは過剰な延命治療をしない、もしくは自然な経過に任せた先にある死のことを指す
・尊厳死を希望する時には、尊厳死宣言公正証書を作成しておくと良い
・尊厳死の意思を家族と共有し明確にしておくこと

現代では人々の生き方が多様化しており、終末期医療に対するとらえ方も人それぞれです。本人が望む最期を迎えるためには、事前に十分に家族と話し合いをしておくことが非常に大切になります。

また、尊厳死宣言公正証書の他に、公益財団法人 日本尊厳死協会に入会の上「終末期医療における事前指示書」を作成し、協会に保管をしてもらう意思表示の方法もあります。

終末期に対する考え方は時間とともに変化する可能性もありますので、健康なうちは定期的に見直しをすることがおすすめです。治療中の場合は、医師や家族と相談しながら方針を決めておくと最期まで自分らしい生き方を選択できるのではないでしょうか。

終活の一つとして、ぜひ尊厳死宣言公正証書についてもご検討ください。

尊厳死宣言公正証書など、終活全般に関して疑問・お悩みのある方は、名古屋市熱田区にある合同会社SBNに一度ご相談下さい。
初回無料でご利用いただけます。
親切丁寧に対応させて頂きます。

参考
公益財団法人 日本尊厳死協会 https://songenshi-kyokai.or.jp
日本公証人連合会 https://www.koshonin.gr.jp