終活の取組みの中でも、取り入れる方が多いものが葬儀についてです。最近は無宗教の方が増えたり、ライフスタイルの多様化により、さまざまな葬儀の形式の選択肢があります。そのひとつに自然葬と呼ばれるものがあり、樹木葬や海への散骨などがそこに分類されます。
その自然葬の中に「宇宙葬」というものがあります。現代だからこそ実現可能な葬儀・埋葬方法のひとつとですが、まだあまり馴染みがないと言えるのではないでしょうか?今回の記事では、宇宙葬の基本的な情報や注意したいポイントをご紹介していきたい思います。
宇宙葬ってどんなもの?
以前は、火葬を行った後は墓石への埋葬するのが一般的な埋葬方法でした。しかし最近は、高額な費用がかかることや核家族化などが進み家族にお墓のお世話の負担を残したくないという方も多く、お墓を持たないという選択をする方も増えています。そこで注目されている埋葬方法のひとつが、自然葬です。
墓標となる樹木を1本植えて、その周囲にご遺骨を埋葬するスタイルの樹木葬や、故郷や思い出のある海に粉末状にした遺骨の一部を散骨する海洋散骨などが人気となっています。
それぞれ一定の制限などはありますが、宗派や墓地にとらわれず、自然に還ることができるという点などから人気が高まっています。費用も墓石を購入するより比較的安く、後に残るお墓を持たないため家族への負担も減らせるという特徴もあります。
そしてこの自然葬の一つが、宇宙葬です。故人の遺骨や遺灰を専用のカプセルに納めて宇宙空間へ打ち上げ、散骨をします。宇宙葬の発祥は1997年のアメリカです。以前は海外の業者へ依頼するしか方法がありませんでしたが、現在では日本でも代理店として宇宙葬を扱う業者が増えています。
生前、宇宙への憧れを抱いていた方、宇宙への散骨にロマンを感じる方、宇宙旅行をするのが夢だった方などが宇宙葬を選択されることが多いようです。
宇宙葬にはどんな種類がある?
人類が宇宙に進出する以前は不可能だったこの埋葬方法ですが、ニーズが増えつつある現在では、宇宙葬の形式やプランにもさまざまな選択肢が用意されるようになりました。宇宙葬にはどのような種類があるのかご紹介していきます。
◉ロケットで打ち上げる
遺灰を収めたカプセルをロケットに搭載し、宇宙空間へと打ち上げます。宇宙空間に散骨する場合や、月面まで運ぶプランなどがあります。
◉人工衛星に搭載する
遺灰を収めたカプセルを人工衛星に搭載し、宇宙空間へと打ち上げます。人工衛星として打ち上げた場合は、短くて数日、長い場合は百年以上に渡って地球の軌道上を周回します。その後は大気圏に突入して燃え尽き灰となります。
◉バルーン葬
バルーン葬は、遺骨や遺灰を巨大なバルーンに入れて空へ向けて飛ばします。バルーンが成層圏に到達するとバルーンが割れ、遺灰が空中に散骨されます。
しかしバルーンは成層圏までしか上昇しないので、明確にいうと宇宙葬という事にはなりませんが、大空に向かってバルーンを放ち自然に還る供養をすることで、宇宙葬のひとつとされることもあります。日本国内で供養ができるので、ロケットや人工衛星に搭載する宇宙葬に比べ、格段に手配の手間や金額が抑えられ親族が立ち会いやすいこともあり近年人気が高まっています。
ロケットや人工衛星に搭載する宇宙葬の場合、打ち上げを実施しているのはアメリカで、日本で受付をしている会社はその代理店となります。
宇宙葬のメリットとデメリットとは?
宇宙葬を行う上でのメリットやデメリットは何でしょうか?いくつかご紹介していきます。
メリット
◆宗派や墓地にとらわれず供養ができ、お墓を用意する必要がない。また、お墓を持たないたことで、残された家族へ
の負担を軽減することができる。
◆生前、宇宙が好きだった、宇宙飛行士になるのが夢だったなど宇宙にロマンを感じる方の夢を最期に叶えてあげる事
ができる。
◆本人の意思による生前予約も可能
デメリット
◆宇宙葬の歴史はまだ浅く、実際に日本国内で宇宙葬を供養方法として選んだ方は少ないのが現状です。ロケットや
人工衛星に搭載する場合、国内で依頼できるのは代理店のみのため、手配をされた事のある経験者や遺族などから
情報を得られる機会は多くありません。
詐欺などのトラブルがある可能性もあるため、その会社が信頼に値する会社かどうか慎重に検討する必要があり
ます。
また国内で行うバルーン葬の場合も、日本では散骨という方法はまだ法整備が遅れている分野であり、マナーや節度
を守って行う必要があります。
実績があるしっかりした会社を選ぶ、決める前に葬儀のプロに相談するなどの対策をして、トラブルに巻き込まれる
ことのないようにしましょう。
◆ロケットや人工衛星に搭載する宇宙葬の場合、費用を抑えるため、希望者を募り一定の人数が集まってからまとめて
打ち上げられます。そのため、希望通りの日程では行なえない、待機期間が長い、ロケットなどの不具合により打ち
上げが延期されるなど、計画したスケジュール通りにはなかなか進まない可能性もあります。その流れも含め宇宙葬
を検討する必要があります。
◆埋葬方法が散骨の場合、当然遺骨は手元には戻りません。そして宇宙に散骨できる量は非常に少量で、1グラムから多くても7グラム程度です。一般の散骨と比較しても、宇宙葬で使われるのは遺骨の量は全体のごく一部となりますので、残りの遺骨の供養方法も検討しておく必要があります。
宇宙葬の費用はどのくらい?
これまでご紹介してきた通り、宇宙葬はロケットに搭載する方法と人工衛星に搭載するものがあります。
プランにより数十万から数百万円まで価格はさまざまです。
宇宙空間に散骨をするプランは比較的価格が低めですが、月にまで運んだり、人工衛星に搭載し長期間宇宙空間を周遊するプランは費用も高額になります。
バルーン葬の場合も、さまざまなプランが用意されておりプランにより価格は数万円〜30万円ほどの場合が多いようです。
専門業者に完全に委託をして散骨まで行う場合や、遺族が立ち会う場合、希望する場所での供養など、ロケットや人工衛星に搭載する場合と比較すると、選択肢は多く、希望通りの日程や場所での散骨が叶う事が多いでしょう。
宇宙葬に向いているのはどんな人?
宇宙葬はなかなか自分では予定を組む事が難しく、また自然葬と言ってもある程度はまとまった金額が必要です。
そしてもちろん、生前に宇宙旅行を体験できることはなく、言わば、死後の体験に対して料金を支払う事になります。
供養される方ご自身が宇宙にかなりのロマンを感じる方が大前提と言えるでしょう。
また、宇宙葬で打ち上げられる遺骨は数グラムです。残りの遺骨の供養方法も検討しておく必要があります。
墓守の心配もなく、お墓が準備できるという方は安心ですが、そうではない場合さらに供養の手配や費用などの負担が考えられます。
さらに、宇宙葬はロケットや人工衛星の打ち上げに合わせて計画されます。天候や機材トラブルなど、日程が延期されることも多く、供養が終わるまでに長ければ数年の時間を要することになります。供養が終わるまでは遺族が寄り添うこととなりますので、生前からご家族や親族への相談や同意が不可欠と言えるでしょう。
まとめ
・宇宙葬には、プランにより価格や必要な期間も変動するため生前からの計画が大切
・まだまだ供養の方法としては歴史が浅く専門業者も多くはないため、信頼できる業者に相談・依頼する
・宇宙葬は供養を終えるまでに長い期間がかかる事も想定されるため、生前から家族や親族に相談をした上で
検討を進めておくことがおすすめ
宇宙葬というとスケールが大きく故人を近くに感じにくいこともあるかもしれませんが、よく亡くなった人を星になったと例えるように、空を見上げると故人を偲ぶことができる宇宙葬は、遺族にもロマンがあると言えるのではないでしょうか。
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