高齢者の単身世帯増加に伴い、高齢者宅のゴミ屋敷問題が表面化してきました。
住宅をゴミ屋敷にしたまま他界された場合、遺された家族には大きな負担がのしかかります。
家族は親を失った悲しみに暮れる余裕もないままに、葬儀の準備に追われ、お墓の準備や各種手続きをしなければなりません。
そしてゴミ屋敷の清掃に遺品整理と、何重もの負担がのしかかります。

しかし、このようなゴミ屋敷は片付けが簡単ではなく、そこに住んでいる人が清掃に同意せずに進まないケースもあります。
今回は、終活におけるゴミ屋敷の整理について解説していきます。

ゴミ屋敷になる理由

体力・気力の低下

年齢を重ねると誰しもが足腰が弱り、体力が低下してしまいます。
そうなれば日常生活を維持するだけでも困難なので、掃除や片付けをする気力も低下してしまうでしょう。
思うように体を動かせないのは想像以上に辛く、徐々に掃除や片付けなど身の回りの世話に対する意欲がなくなってしまいます。

セルフネグレクト

セルフネグレクト(自己放任)とは、一人で生活する上で必要な作業を放棄してしまうことです。
高齢者の方に多く見られる心の病で、お風呂に入る・散歩する・自炊などをして毎日食事を摂るといった基本的な生活が出来なくなってしまいます。
当然ゴミ出しもしなくなってしまうので、ゴミ屋敷化も加速してしまいます。

また、セルフネグレクトは生活を維持するための努力を放棄してしまうので、孤独死を招く可能性が高いのです。
身近にそういった傾向が見られる高齢者がいる方は、くれぐれも注意しましょう。

★セルフネグレクトについての詳しい記事はこちら
  → 将来のセルフネグレクトのリスクを減らすために!終活のすすめ

もったいない精神

多くの高齢者の方は戦争を体験しているので、ものを捨てるという行為に対して「もったいない」という価値観を持っている方が多く見受けられます。
もったいないからといって不要なものまで溜め込んでしまえばゴミ屋敷化してしまいます。
若い世代の方からすれば「不要なものは捨てる」という価値観が当たり前です。
このような価値観の違いが、ゴミ屋敷の原因になってしまいます。

認知症

今までゴミの分別を問題なくできていた方でも、認知症が原因でゴミの分別が困難になり、自宅にゴミを溜め込んでしまうことがあります。
また、認知症になった場合、日時・曜日の認識ができなくなります。
ゴミの収集日が分からず、溜め込んでしまうことになるのです。

ゴミ屋敷が招く被害

近隣トラブルで言い争う女性

近隣への被害

近隣住民からクレームが入り、行政指導が入る可能性があります。
特に梅雨時期はカビや雑菌が繁殖しやすく、悪臭の原因になります。
また、冬場は火災のリスクが高まり、これらが原因で近隣住民に被害を発生させる可能性があるので大変危険です。

孤独死

ゴミ屋敷の場合、住民の安否が分かりにくく、何かあっても発見されづらくなります。
ゴミ屋敷化している家に住んでいる高齢者は、近隣との付き合いがないケースが多いです。
発見されずに孤独死を迎える可能性があります。

病気やケガ

ゴミ屋敷は不衛生で障害物の多い環境なので、病気だけでなく、ケガのリスクにも注意が必要です。
足腰の弱い高齢者はつまずいてしまうことがあります。
そのまま起き上がれず、助けも呼べず、孤独死してしまうケースも考えられます。

終活で清掃や整理が必要な理由

清掃作業員

他人に迷惑をかけない

家族が亡くなると、遺された家族が葬儀やお墓の手配、様々な手続きを行う必要が出てきます。
これらは非常に時間もお金も掛かり、多大な労力が必要となります。
中でも故人の住んでいた自宅の清掃は大変で、特にゴミ屋敷ともなるとさらに負担は大きくなります。
捨てて良いもの捨ててはいけないものを選別しながら進める必要があるため、故人が生前に整理しておくことで、この負担を減らすことが出来ます。

相続トラブル防止

予め自宅内を清掃・整理をしておき、ご自身の資産を整理、遺言書の作成をするなどの対策を打つことで、相続人同士のトラブルを回避できます。
相続後に自宅を整理し、新たな財産が見つかった場合には、再度遺産分割協議をしなければならないなど、手間になります。

ゴミ屋敷の片付けの進め方

片付けをする夫婦

本人にゴミ屋敷の危険を理解して貰う

前述したように、ゴミ屋敷は近隣への被害、病気やケガのリスク、孤独死のリスクなどの様々な危険があります。
住んでいる本人に、このような危険を具体的に話すことで、改善の糸口になることが期待できます。

まずは一カ所片付ける

1か所綺麗にするだけならそこまで労力は必要ないため、快適に過ごせることが分かれば高齢者自身が他も綺麗にしようと動き出してくれるかもしれません。
最終的には高齢者自身が自発的に掃除や片付けをできるようになるのが目的なので、いきなり全て片付けてしまう逆効果です。
掃除や片付けをする習慣を取り戻してもらうためのキッカケ作りが重要だと言えるでしょう。

業者に依頼する

ご自身で行うことが難しい場合には、業者に依頼しましょう。
費用は掛かりますが、確実に綺麗にすることが出来ます。
その際には必ず本人の許可を取るようにしましょう。

Good Endingでは清掃の専門家のご紹介を行っております。
お困りの際はお気軽にご連絡ください。