終活という言葉が世に出てから10年以上が経過し、言葉としても活動としても、随分と私たちの生活に浸透してきました。
終活で取り組むべき内容としては、葬儀やお墓の準備、自宅の生前整理、エンディングノートの作成などがあります。
それらに加えて、ご自身の人生の締めくくりの時を誰と、どこで、どのように過ごしたいかということを考える時間も加えてみてください。
このことは、万が一ご自身が病気になり、残りの人生がわずかであることを知らされた場合、どのようなケアを受けたいかという「終末期医療」に対する希望を考えるきっかけにもなります。
今回は、この「終末期医療」に関して解説していきます。
終末期医療とは
老衰や病気、障害などによって、医療行為に効果がなく、余命が数ヶ月以内と判断された後の時期を終末期と言い、この時期に行われる医療行為を終末期医療と言います。
終末期医療では、基本的に延命を目的とした治療は実施されません。
身体的・精神苦痛を除去し、生活の質(QOL)の維持・向上を目指した処置がなされます。
終末期医療の具体的内容
身体的ケア
終末期医療における身体的ケアでは、主にその痛みを取り除く、もしくは和らげるための投薬などが行われます。
モルヒネなどの医療用麻薬や鎮痛剤を使い、患者から痛覚を取り除きます。
食事や水分の摂取が難しい場合には、食べやすいように料理を細かく刻んだりすりつぶしたりする工夫がなされます。
また、体に通したチューブから食べ物を送る「経管栄養」や、胃に開けた小さな穴から食べ物を注入する「胃ろう」などの処置が施される場合もあります。
精神的ケア
終末期の方は、死に対する不安や恐怖、遺される家族への心配などから精神的に不安定になる場合があります。
このような場合、ネガティブな感情に寄り添い、心穏やかに過ごせるようにサポートする精神的ケアが大切です。
具体的には、ベッド周囲の環境を、本人がリラックスできるような雰囲気にコーディネートすることなどが挙げられます。
また好きな音楽をかけたり、思い出の品や大切にしている物を側に置くことで、本人にとって満足度の高い空間づくりを心がけることも大切です
このような精神的ケアは、家族が行うことができるほか、ボランティアの方がサポートしてくれる場合もあります。
社会的ケア
終末期医療を受ける場合に心配されることとして多いのが、お金の問題です。
お金の問題で不安にならないよう、「医療ソーシャルワーカー」や家族によって行われる心理的・社会的援助のことを社会的ケアと言います。
この社会的ケアには、相続や遺品整理の支援も含まれます。
終末期医療を受けられる場所
終末期医療は、一般病院内にある緩和ケア病棟や療養型病院、老人介護施設、障害者介護施設、ホスピスなどで受けられます。
終末期医療を行うか否かの判断には、患者様本人の意思が最優先され、本人の意思表示が難しい場合には、ご家族の意思が尊重されることになっています。
また患者様本人やご家族が自宅での最期を希望する場合は、訪問医療や訪問看護などによって在宅での緩和ケアが実施されることもあります。
終末期医療にかかる費用
終末期医療も基本的には医療保険制度で対応します。
医療保険制度には「高額療養費制度」があり、1ヶ月ごとの医療費の自己負担額(病院の窓口で支払う額)には上限が決まっております。
年齢や収入によって変わりますが、過度に不安になる心配はありません。
加入している医療保険(国民健康保険、協会けんぽなど)に内容を確認してみると良いでしょう。
★高額療養費制度について
→ 生命保険文化センター「病気やケガをしたときの自己負担は?」
エンディングノートの作成
終末期医療についてのご自身の考えがまとまったら、それを書き残しておきましょう。
書き残す場合には、エンディングノートがオススメです。
エンディングノートとは、もしもの場合に備えて、家族や周囲の人に伝えておきたいことを書き記しておくノートのことです。
記載する項目は、生年月日や出生地などの個人情報から、銀行口座などの資産情報、大切なペットのこと、家族へのメッセージなど、あらゆる情報を書くことが出来ます。
このなかに、終末期医療の希望も書いておくと、家族としても情報がまとまっているので非常に分かりやすくなります。
★エンディングノートについての詳しい記事はこちら
→ エンディングノートの目的と内容について
まとめ
- 終末期医療とは、病気などで、医療行為に効果がなく、余命が数ヶ月以内と判断された後の時期に行われる医療行為を言う。
- 終末期医療では、身体的・精神的・社会的ケアが行われる。
- 終末期医療は病院の緩和ケア病棟や療養型病院、老人介護施設、障害者介護施設、ホスピスなどで受けられる。
- 終末期医療にかかる費用は健康保険の高額寮費制度で対応できる。
- エンディングノートに終末期医療に対する希望を書き残そう。
終末期医療に対する希望を考えておくことも大切な終活の一環です。
元気なうちにしっかりと考えておきましょう。
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