2009年に生まれてから、すっかり社会に定着した「終活」という言葉ですが、日本は本格的に高齢化社会を迎え、終活を必要な活動として取り入れたいと思われる方が多くなってきたようです。
言葉の認知度は今では9割ほどと言われていますが、ある60代以上に行われたアンケート調査では、実際に終活を行なっていると答えた方は2割ほどだったそうです。
メリットばかりが取り上げられがちですが、終活を行う上での問題点やデメリットは何なのでしょうか?
今回の記事では、終活を進める上での問題点や注意点などをご紹介していきたいと思います。
終活を知るきっかけはどこから?
終活という取組みをどこで知りましたか?という調査では、8割近くの方がテレビや雑誌からという結果が出ています。終活を取り上げるメディアが多くなってきたということは、それだけ世間の終活への関心が高まっていると言えるでしょう。特にこれまで終活を意識していなかった人が、テレビでの特集をきっかけにして終活に興味を持つようになるケースも少なくないのかもしれません。
最近は、ビジネスとしてさまざまな企業が終活関連の取組みをおこなったり、終活を積極的に薦める自治体も増えています。10年ほどの間に急速にここまで人々に受け入れられ広がりを見せたのは、人々が終活を必要なものだと認識したからだと言えます。
では、終活が必要だとされる背景は何でしょうか?
まず終活というのは、誰しもが避けては通れない自分の最期に向けて、身じたくを整え、葬儀やお墓、遺産についてなどの取り決めをご自身で決めて準備を済まされておく活動です。
これまでの人生を振り返るきっかけにもなり、同時にそこから先の残りの人生をより楽しく充実したものにするための目標づくりにもつながります。
それをしておくことで、残される家族への負担が減り、不必要な揉め事を避けられるというメリットがあります。
昔は葬儀の手配や故人の遺品整理などは家族や親族が協力して行うことがごく自然でしたが、今や社会問題となっている少子化のほか、核家族化といった家族の多様化という現実から、生前に準備をと考える方が増えているのです。
しかし本来前向きでポジティブな活動であるはずの終活ですが、なかなか取り組むきっかけが見つけられない方が多いという理由はどこにあるのでしょうか?
終活という活動に消極的になる理由はなに?
では終活を進める上での問題点とは何なのでしょう?
終活を始めたいけどなかなか腰が上がらないという方はどこに引っかかりを感じているのでしょうか?
①気持ちが暗くなる、気分が乗らない
誰しもご自身の「最期」というのは、あまり考えたくない受け入れがたいものでしょう。まだ生きているうちに人生の締めくくりについて考えるのは、やはり不安も大きく縁起が悪いと思われる方もいらっしゃるでしょう。
そのため暗い気持ちになってしまい、終活に対して臆病になってしまう方も多かったり、終活をはじめたとしても、考えることも多く心配から気がめいってしまい、終活自体を負担に感じることもあるようです。
死を意識するというのは、どんな方であれ不安になるのは当然のことです。
だからこそ、未来を自分で作り上げ、不安や悩みを解消することのできる終活が大切になります。
終活をすることで、不安に感じていたことが少しずつ安心に変わり、より今を豊かに過ごしていくことができます。
終活を自己流でご自身だけでやり遂げようとすると、不安な気持ちに陥りやすくなることもあります。
そして全てのことを完璧に済ませておかなければならないというプレッシャーは、持たないようにしましょう。
終活を行うことで生じる、終活自体の負担や不安などを避けるためにには、自分だけで進めるのではなく専門家に相談してアドバイスを受けたり、ご家族や友人などの周りの方とコミュニケーションをはかりながら、終活をスタートさせることが大切になります。
②家族と気持ちがすれ違ってしまう
終活を始めるきっかけとして、ご家族にすすめられて、という方もいらっしゃるでしょう。
ご家族が両親のことを思いやりかけた言葉でも、状況によっては後ろ向きに捉えてしまうこともあるかもしれません。
また、親子と言えど文化や価値観の違いによる食い違いは、少なからず必ず発生します。
しかし、親世代が終活を子ども達からすすめられることに違和感を感じてしまうのは、「死ぬ準備」と言う感覚があるからかもしれません。けれども実際は、不安を解消し、毎日を安心して楽しく生きるための準備でもあります。
実際終活の中身というのは、身の回りの持ち物の整理や事務的な手続きなど骨の折れる作業も多く発生します。
そのため心も身体も元気なうちに始めるというのがベストですが、ご家族のサポートや手助けがあると非常に心強いものです。
気持ちを正直には伝えられなかったり、その真意が歪んで捉えられたりと、すれ違いを生んでしまうこともあります。しかし終活が生死を扱うものだからこそ、お互いの絆を確認できるとも言えます。親子で終活を実りあるものにするには、コミュニケーションが何より大切です。
③法律関連の手続きの煩わしさ
終活の中の取組みとして避けては通れないのが、財産の管理です。プラスの財産だけではなく、マイナスの財産のことも考慮をして事前に親族と相談をしておく必要があります。
相続をきっかけとして、仲の良かった家族親族の仲が悪くなってしまうことは、残念ながら少なくありません。
財産が少ないから大丈夫と思っていても、お金が絡むと揉め事はおきやすくなります。
財産を洗い出し、資産状況を把握し、相続について決めておくという作業は確かに骨が折れるものです。しかし、その作業を確実に済ませておくことが残された家族の幸せにつながります。
また最近は認知症を発症する方の割合も増加している他、今は元気でもいつ急に寝たきりの状態になるかも分かりません。
面倒だからと先延ばしにするのではなくご自身の意思を残すことで、相続させたい人に大事な資産を託すことができます。
財産管理については、負担が大きいと感じる方は躊躇せずに専門家や法律家の方に相談をするのがおすすめです。
財産やお金の支出の流れが見えてくると、その先にやるべき終活についても必然的に見えてくることが多くなります。ご自身にとって一番合った方法をみつけ、終活を前向きに捉え進めていきましょう。
④詐欺などの犯罪被害の心配
終活という活動が社会に定着し、広がりを見せたのは残念ながら良いことばかりではありません。前向きに取り組んだつもりの終活の中で、詐欺被害に遭われる方の数も増加しています。
・高額なお墓の購入
高齢者にお墓の購入を持ちかけ、契約後に会社が破綻したと主張をして返金にも応じなかったり、遺族に高額なお墓の管理費を請求したりします。
・高額な葬儀費用請求
格安で葬儀ができると誘い本人と契約をさせ、亡くなったあとに遺族に高額な葬儀費用を請求するものです。本人が希望して契約した葬儀だと主張をするのが特徴です。
・財産情報を盗む
特に狙われやすいのは認知症を患った高齢の方で、財産管理の代行を申し出てきた相手に被害に遭うことがあります。また高齢者施設や介護施設などで個人情報が漏洩するケースも増えています。
・リバースモーゲージの詐欺被害
リバースモーゲージとは自宅を担保に生活資金を借入れし、自身の持ち家に継続して住むことができ、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分し、借入金を返済する仕組みです。高齢者向けの貸付制度といえます。
老後の生活は、年金収入で日々の生活費をやりくりする方が多いと思いますが、定年退職後に住宅ローンの支払いが残っている場合、住宅ローンの返済が困難になるという場合があります。そこで、住宅ローンからリバースモーゲージへの借りかえを行うケースもあります。
この制度を悪用した悪徳業者がリバースモーゲージを持ち掛け、「自宅を担保にして年金がもらえます」などと誘います。当初は高齢者にお金を支払いますが、徐々に支払いが行われなくなります。
このような犯罪被害に遭わないためには、業者や契約内容をよく精査する必要があります。そのためには、信頼できる家族や友人などに相談をするのが1番の近道です。最近の詐欺手口は巧妙になっていますので、少しでも怪しいと思ったら関わらないことが一番です。ひとりで判断をせずに、せっかくの終活がつらいものとなってしまわないよう心がけましょう。
まとめ
・終活は自己流で自己完結を目指すのではなく、家族や友人に相談しながら進めると前向きになれることが多い
・手続きなどが億劫に感じる法律関係の手続きなどは、無理をせず専門家に相談をするのがおすすめ
・終活の中で契約や支払いが発生する場合は、ひとりで判断しないことを心がける
終活はポジティブな活動であり、決して暗いものではありません。自分を見つめ、これからの人生をより豊かにすることができます。
終活を始めるのに、この年齢までにということはありませんが、心身ともに元気なうちから始めた方が得られるメリットは大きいと言えます。終活にはメリットだけではなくデメリットと言えるポイントもありますが、それをしっかりと理解した上で取り組めば、この先の人生をより充実していくきっかけとなるでしょう。
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