終活を進めていくと必ず突き当たるのが、財産の整理についてです。自身が現在所有している現金や投資信託、土地や車、宝石など財産の種類はそれぞれ多岐に渡るでしょう。それを生前にきちんと洗い出しをし、死後はどうするのか明確にしておくことが非常に望ましいと言えます。
遺産相続をする場合、誰に何を相続させるのかが重要になりますが、この時相続人にあたる全ての人と確実に連絡が取れる状態であれば問題ありませんが、時には親交がなく所在不明、生死すら不明といういことも少なく無いようです。
相続人が行方不明な場合、手続き等に準備が必要となります。

今回の記事では、いざという時に相続人の中に行方不明な方がいる場合、どのようなことが想定されるのか考えていきたいと思います。

相続人の中に行方不明者がいると困ることとは?

相続人に中に行方不明者や音信不通の人がいると、遺産相続の手続きを進めることはできません。遺産分割協議には、相続人全員が必ず話し合いに参加する必要があるのです。
行方不明で連絡が取れないからとその人を抜きで相続についての話し合いを行ったとしても、その内容は無効とされてしまいます。しかし、いつまで経っても遺産分割ができないのは問題です。
では、行方不明者がいる場合はどのような対応をするべきなのでしょうか。

1.まず遺産相続人を明確にする

相続人が正確に把握できない場合は、戸籍を調べることで明確になります。
法定相続人については、戸籍謄本や除籍謄本などを取得することで調べられます。戸籍には結婚・離婚、子どもの誕生、養子縁組や認知などの情報が記載されているため、家族に関する情報を把握することができます。
前妻・前夫との間の子どもや、他に子どもを認知していた場合も戸籍に記録されています。
戸籍は本籍地のある役所に戸籍謄本の発行を申請することで取得できます。

配偶者は、相続順位には含まれず、必ず相続人となります。ただし、内縁の妻・夫には相続権はないので注意が必要です。また離婚している場合も、相続権はありません。
配偶者に続いて、

  1. 子供
  2. 両親(両親がいないが祖父母が存命の場合は祖父母)
  3. 兄弟姉妹

の順番で相続人が決定します。
配偶者がいる場合は、配偶者+最も順位の高い相続人が権利があります。配偶者がいない場合、第一順位と第二順位の両者が相続人になることはありません。

2.相続人の行方がわからない時

相続人が判明したけれど、行方が分からない、連絡先が不明など接触が取れないこともあるでしょう。しかし、遺産分割協議は相続人全員に参加してもらう必要があり、このような場合も何とか連絡を取らなければなりません。

・相続人の住所がわからない場合
疎遠になっている身内や戸籍を調べて分かった相続人などで住所が分からない場合は、戸籍の附票を調べることで確認できます。戸籍の附票は住所が不明な方の本籍地にある役所で発行してもらうことができます。
住所が判明した場合は、手紙を出したり現地を訪ねてみましょう。
・SNSで検索してみる
世代にもよりますが、最近は実名でSNSを利用している人も多くいます。行方が分からない場合は検索をしてみるのも方法のひとつでしょう。同姓同名の場合もありますので、連絡を取る際には十分に注意しましょう。
・探偵など専門業者に依頼する
どうしても自分で探すには限界な時は、人探しを専門にしている業者などに依頼をしてみましょう。
料金は高額になることもありますので、比較検討をしてみると良いでしょう。

3.相続人の行方は分かっても応答に応じない時

何らかの理由で協議に参加したくないなどの理由があり応答に応じない場合は、遺産分割調停を検討する必要があります。遺産分割調停は、調停委員会が中立な立場から、平等に双方の意見を聞き調整をし、解決策を提案などを通じて
話し合いで遺産分割が解決できるようすすめるためのものです。
遺産分割調停をするには、相続人のうちの1人もしくは何人かが申立人となり、他の相続人相手方として家庭裁判所に申し立てをすることになります。
そのため遺産分割調停では、相続人全員が申立人か相手方として関わる必要があります。
一般的には、対立していない相続人が一緒に申立人となり、対立している相続人を相手方として調停を申し立てることが多くなるでしょう。

4.相続人が生死不明な場合

所在不明の相続人がいて、どのような手段をとっても連絡を取れない場合、遺産分割協議や相続手続きができません。

相続人がいなくなって7年以内なら、以下のような手順を進めてみてください。
・警察に捜索願を出す
・家庭裁判所で不在者財産管理人の選任を申し立てる
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人のことで、行方不明者に財産がある場合や遺産分割協議を行う必要のある場合などに選任します。不在者財産管理人が選任されることで、相続人がいなくても不在者財産管理人が協議に参加して遺産相続の方法を決めることできるようになります。

音信不通で生死不明となってから7年以上が経過していたら、失踪宣告を申し立てることができます。
失踪宣告とは、生死が不明の者に対して法律上死亡したものとみなす制度です。
失踪宣告があると、生死不明者は死亡したものとみなされ、死亡保険金の受取りなどで死亡した場合と同じ取扱いを受けることになります。
失踪宣告には2種類あり、生死が7年間不明なときの普通失踪と、戦争や船舶の沈没、震災などに巻き込まれ生死が1年間明らかでないときの特別失踪あります。
事件、事故などで生死不明であったり、長年行方不明な人がずっと生きている前提だと、財産の行き場が無く他の相続人は非常に対応に苦慮することになります。
そのような場合失踪宣告を受けることで、医学的には死亡を確認できなくても死亡したとみなす失踪宣告が認められています。

行方不明であっても生存していることが明らかな場合や、失踪宣告の条件を満たしていない場合は失踪宣告制度を利用することができないため、不在者財産管理人の申立てをする必用があります。

生前に準備をしておけることは?

死後、遺産相続人の中に行方不明者や音信不通の人がいる場合、困るのは残された家族です。
何も対策しないまま最期を迎えてしまうと、まずは相続人の調査から始め、不在者財産管理人や失踪宣告の申立などが必要となり、非常に膨大な手間と時間がかかることになります。
生前に準備をしておけることは何か考えていきましょう。

・遺言書を作成しておく
生前に、相続人の中に行方が分からない、音信不通の人がいると分かっている場合は遺言書を作成しておくと良いでしょう。遺言書があれば、記載された内容に沿って遺産相続を進められるので相続人たちが遺産分割協議をする必要がありません。
たとえ相続人に行方が分からない人がいても、その人と必ず連絡を取り協議をする必要がないので、大変な思いをして住所を調べたり、不在者財産管理人を選任するなどの手続きは不要となります。
・専門家に相談しておく
行方が分からない人にも相続をさせたい場合は、本人が手続きをできないことも想定し、遺言執行者を選任しておくのが良いでしょう。
遺言執行者とは資産の名義変更などの相続手続きを行う人で、相続人が不在の場合には必要となります。
遺産相続は手続きも複雑な上、お金のことはトラブルも招きやすいものです。
できるだけ残された家族の負担を軽減するためにも、生前から専門家に相談しておくのがおすすめです。

まとめ

・遺産相続をする場合は、全ての相続人を明らかにすること
・相続人が行方不明であったり音信不通の場合は、失踪宣告や不在者財産管理人の申し立てなどを検討する
・死後のトラブルを想定し、生前から専門家を交え遺産相続について相談しておけると安心

遺産分割協議や遺産分割調停、失踪宣告や不在者財産管理人の申し立てなど、遺産相続にはさまざまな複雑な手続きがあり、専門的な知識が必要になってきます。
生前から相続税などについても含め、ご自身の財産について専門家に相談しておけるのが理想的な終活のかたちのひとつと言えるかもしれません。

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