日本全国で空き家が増加していることをご存じでしょうか。
不動産という言葉があるように、住人がいなくなった住宅は維持管理に手間や費用がかかり、毎年の固定資産税も負担になります。
相続の際にも、相続人が複数いる場合、誰が管理するかでトラブルの原因にもなります。
家族間での争いを避けるために、事前に対策を取っておくことが大切です。

空き家の現状

全国の空き家の数は、総務省の調査では、2018年の空き家の数は全国で約846万戸となりました(出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」)。
全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%となり、長年増加傾向にあります。
民間予測では、2033年の全国空き家数は1955万戸、空き家率は27.3%になると予想されており、今後も増加の一途を辿る見込です。

空き家増加の背景


これほどまでに空き家が増加してきた背景としては、以下の理由が考えられる。

少子高齢化

少子高齢化により、2011年以降一貫して人口数は減少傾向にあります。
人口が減れば、当然住む人の数も減少するため、平行して空き家の数も増加していきます。
また近年では介護施設への入所と同時に自宅が不要となる方もいらっしゃいます。
化が進み、高齢者のみの世帯の場合には、こういったケースでその後に住む人がいなくなり、空き家になるということが考えられます。
すぐに売却が出来れば良いのですが、買い手が見つからない場合には放置されてしまう可能性もあります。 

固定資産税対策

不動産に対しては固定資産税がかかってきます。
この固定資産税ですが、土地に建物が建っている場合と立っていない場合とで税額が異なります。
具体的には、建物が建っている土地の場合、固定資産税は1/6に減額されます。
しかし、建物を取り壊した場合、その優遇が適用されなくなります。
税金を抑えるために建物をそのままにしておくことで空き家の数が減っていかないという状態となります。
 なおこの点に関しては2015年5月26日に施行された空家等対策特別措置法にて対策がとられました。
具体的には、この法律によって「特定空き家」に指定されてしまうと、先ほど述べた固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。どのような空き家が特定空き家に該当するかと言うと、次のいずれかに該当するものとされています。

1.倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態(例 建物が傾いているなど)

2.著しく衛生上、有害となる恐れがある状態(例 ゴミが放置されて悪臭が漂っている)

3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

(例 建物に汚物や落書きがなされている)

4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

(例 野犬や野良猫などが集まり鳴き声がうるさい、不審者が侵入している)

特定空き家に指定された後、自治体からの命令に応じず違反した場合最大50万円以下の過料が科されてしまいます。そのため、早急に対策を講じる必要があります。

 相続の問題

 

以前であれば、親亡き後の実家は長男が継ぐという考え方がありました。
しかし今では親が亡くなる頃には、すでに子供が自分で家を購入しているケースが多く、相続した実家に住む人が存在したい可能性があります。

また、不動産を相続した場合、親族間でトラブルになるケースもあります。
相続人が複数いる場合は特にトラブルに気をつけなければなりません。
不動産を相続人全員で共有した場合その後不動産を売却する時には共有者全員の同意が必要となります。
相続人の間で話し合いがスムーズに進めば問題ないのですが、考え方の違いがある場合、売却手続きに移ることができません。その場合には手続きが円滑に進まず、そのまま放置されてしまうということが考えられます。 

空き家を放置した場合の問題点

①空き家倒壊の危険性

日本の家住宅は主に木で作られています。
このような住宅は定期的に換気や清掃を行うなど適切に管理をしていかないと老朽化の原因になります。
一般的に空き家は古いものが多く、特に旧耐震基準である昭和56年以前に建てられた建物に関しては耐震性が不足している可能性があります。
特に近年、大雨や台風などの自然災害での被害が発生しています。
耐震性の不足した住宅では、このような際に被害を受けるだけでなく、周囲の住宅や車などに被害を与えてしまう可能性もあります。

②火災保険の適用対象外

空き家の老朽化や倒壊により近隣住民に怪我をさせてしまった、あるいは車に傷つけてしまったなどの場合、火災保険で保障を考える方もいると思います。
ただし、ここで注意が必要です。空き家の場合、保険に加入できないあるいは加入していても保険金が支払われない可能性があります。
この点は保険会社に確認が必要となりますが、損害発生時に人が住んでいることが条件となっているケースもあります。
そのため、空き家となり住んでいる人がいない場合、現金が支給されない場合があります。この場合にはすべて所有者の負担となります。

③ 資産価値の低下

人が長年住まないことで、適切な管理が行われず、雨漏りやカビの発生など、老朽化が進行してしまいます。これを売却する際、多額の修繕費用がかかり、最悪の場合、買い手が見つからない危険もあります。
そうなると一向に空き家が片付かず、最悪解体をしなければなりません。その場合にも解体費用がかかってしまい、所有者にとっては大きな金銭的負担になってしまいます。

今から取れる対策

上記のような問題を防ぐため、今から取れる対策についてご紹介していきます。

売却

先ほど述べたように、長い間放置されることによって、適切な管理がなされず、老朽化が進んでいってしまいます。
そうなると、売却をする際修繕やリフォームなどの負担をしなければならず、金銭的にも時間的にも大きな負担となります。
そのため、今後活用する可能性がない場合には、早急に売却を検討することも必要です。
早急に買い手が見つかることでより高値で売れ、また、固定資産税のなどの税金を支払う必要がなくなり、金銭的にはかなり負担が軽減されます。

賃貸

家を手放したくない方は、賃貸をするという方法もあります。
賃貸をすることで家賃収入も見込めるためプラスの収入源にもなりえます。

ただし、賃貸する場合には当然リスクが存在します。
貸主としての責任もありますので、しっかり検討してから実行するようにしましょう。

寄付

売却や活用が難しい場合には、空き家を必要としている自治体へ寄付できるケースがあります。
寄付することにより、固定資産税の支払いや維持管理をする必要がなくなり、所有者の負担が軽減されます。

まずは空き家が存在するエリアの自治体に、空き家の寄付が可能かどうかを確認してみましょう 。

まとめ

①空き家は増加傾向。少子高齢化で今後もこの傾向は続く見込み。

②空き家を放置することで、倒壊の危険、資産価値の低下が生じる。

③空き家は火災保険の対象外になり、保険金が出ないことも。

④対策は、売却・賃貸・寄付。

空き家など、不動産のお悩みをお持ちの方は、名古屋市熱田区の合同会社SBNへ是非一度ご相談下さい。

参考:NPO法人空家・空地管理センター https://www.akiya-akichi.or.jp/

   国土交通省 https://www.mlit.go.jp/index.html

   金融広報中央委員会「知るぽると」 https://www.shiruporuto.jp/public/