これまでのお墓の管理

日本ではこれまで、先祖代々お墓が受け継がれていくのが当たり前と考えられていました。しかし、現代においてはその常識が通用しなくなってきており、お墓を誰が管理していくか、守っていくかについて不安を持たれる方が増えてきています。今回の記事では、自分亡き後のお墓の管理について考えています。この記事読んで頂き、自分が元気なうちにお墓の管理について方向性を決めておくことで、残された遺族に迷惑をかけることもなくなります。しっかりと準備をしていきましょう。

お墓の管理を考えなければならない背景

少子化

2021年2月22日に政府が発表した、2020年の出生数の速報値は87万人あまりで過去最少を更新しました。さらに、コロナの影響を強く受ける2021年は婚姻数の減少などで80万人を下回る見通しです。コロナ以外の要因として、不妊に悩み、産みたくても産めない女性や晩婚、未婚の増加など事情もある中、前向きに産まないという選択をする夫婦(DINKS)が増えていることもあり、出産数は減少傾向にあります。出産数が減れば、当然ながら、お墓の跡継ぎとなる子供が生まれないことにもなり、お墓を管理してくれる人が存在しないことになります。

核家族化

核家族とは、夫婦のみの世帯・夫婦と未婚の子のみの世帯・ひとり親と未婚の子のみの世帯(父子・母子家庭)のいずれかに該当する家族形態を言います。厚生労働省が発表した「平成30年 国民生活基礎調査の概況」によれば、2018年6月7日時点の日本の世帯総数は5099万1000世帯、そのうち核家族の世帯数は3080万4000世帯で、その割合は約60%となっています。

核家族が進んだことにより、高齢夫婦のみ、あるいは高齢者単身世帯が増加しています。子供世帯が離れて暮らしていることから、墓を管理できずに管理に困る事態も生じてきています。

お墓を管理する人がいないとどうなるか

お墓を引き継ぎ管理する人がいなくなった場合には、例え先祖代々引き継がれたものであっても、永代使用権が取り消され、無縁仏とみなされるのが一般的です。永代使用権が取り消されるまでの期間や条件は墓地によって異なります。例えば、「管理費を3年以上滞納している」といったお墓の管理費用の滞納年数を基準としているケースなどがあります。無縁仏になると遺骨は墓地の管理者によって合祀され、暮石も全て撤去されてしまいます。そうなると、お墓自体が無くなってしまうことになります。数年ぶりにお墓参りに行ったら既にお墓が撤去され、更地になっていたという悲しい状況にもなりかねません。

お墓が無くなってしまうことで、撤去費用や遺骨の取り出しに関して親族間で争いに発展するケースもあります。自分亡き後、親族間でそのような争いになることは誰しも望んでいないことだと思います。そのような自体になる前に、早めに対策しておくことがとても大切になります。

現在継承者がいない場合の具体的な対策

お墓の跡継ぎがいない場合の対策として、次の2つをご紹介致します。

永代供養

永代供養とは、お墓参りをしてくれる人がいない、またはお墓参りに行けない方に代わり、寺院や霊園が管理や供養をしてくれる埋葬方法のことです。ただし、「永代」といっても、永遠に、という意味ではなく、遺骨の安置期間には期限が設けられています。一般的には、33回忌までを期限とするところが多いようです。ただし、期限は寺院・霊園によって異なるため、事前にしっかり確認するようにしましょう。

安置期間が過ぎた遺骨は、多くの場合、合祀されて、他の遺骨と共に永代供養墓などで供養が行われます。ただし、この方法も特に決まりはないため、遺骨を土に埋葬するなど、様々な方法が考えられます。こちらも事前に確認するようにしましょう。

永代供養墓の種類

1.単独墓

通常のお墓と同じく、一人に対して一つの墓石を建て、納骨するタイプのお墓です。

2.集合墓

一つのお墓に遺骨がまとめられるが、納骨スペースは個々に分かれており、それぞれに石碑や石塔などを建てるタイプのお墓。安置期間を過ぎると、共同の納骨室に移動します。

3.合祀墓

骨壺から遺骨を出し、一ヵ所にまとめて埋葬・納骨するタイプのお墓です。単独墓・集合墓と異なり、最初から他の人の遺骨と一緒になる(合祀)ことになります。

永代供養の費用

永代供養にかかる費用は大きく以下の3つに分かれます。

1.永代供養料

寺院・霊園に遺骨を供養・管理してもらう費用。

こちらは、永代供養墓の種類によって異なってきており、目安は以下の通りです。

単独墓:約40万円

集合墓:約20万円

合祀墓:約10万円

上記はあくまで目安であり、納骨するお墓の施設の環境などによって異なってきます。

2.お布施

納骨時の法要で必要な費用。永代供養料に含まれている場合もありますので確認が必要です。もし別途お支払いをするのであれば、約3~5万円が一般的です。

3.刻字料

墓誌(お墓の横に建てられる石版のようなもの)に氏名を彫ってもらう費用。

費用目安は約3万円になります。

永代供養の手続き

既にお墓を持っている方であれば、以下の手順で進めていきます。

1.永代供養墓を決める

ご遺骨の永代供養先を決定します。永代供養を受け入れてくれるかどうかはお寺や例によって違いますのできちんと事前に確認するようにしましょう

2.墓じまい

墓じまいとは、今のお墓を解体し、別の形で供養をすることを言います。墓じまいをする際はあらかじめ親族に墓じまいの意向を伝えておきましょう後々トラブルに発展する可能性があります。 

墓じまいをする場合、ご遺骨を別の場所に移すことになるので、改葬手続きをしなければいけません。改葬するためには、管轄の役所から改葬許可を得る必要があります。 必要書類や手続きに関しては役所にきちんと確認を取るようにしましょう。

また、墓じまいによる墓石の撤去作業の前には、閉眼供養を行うことが一般的です。これは、 お墓からご遺骨を取り出す際に、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式のことをいいます。

3.新しい寺院・霊園の永代供養墓へ埋葬

墓じまいをして取り出したご遺骨は、新しい永代供養墓へ持って行きます。

継承者を指名しておく

生前にお墓の管理起こしてくれる人が見つかれば非常に安心です。お墓の継承者には実は誰でもなることができます。お墓の継承に関しては民法第897条に規定がありますが、この内容を端的に言うと、お墓の継承者は、持ち主である故人が指定することができます。 そして、指定がなければ慣習に従い、慣習も分からなければ家庭裁判所が承継者を決めることになります。ただし実際には、故人の指定がない限り、お墓の承継者は遺族の話し合いで決まります。

まとめ

・少子化・核家族化の影響により、お墓を管理を引き継ぐ人が減少傾向にある。

・引き継ぐ人がいない場合には無縁仏となり、お墓が撤去されてしまうことになる。

・無縁仏を避けるための対策としては、永代供養か、お墓を管理する継承者を決めることが挙げられる。

お墓の管理方法については、親族間のトラブルに発展する可能性もあります。ご自身が生前元気なうちにしっかりと家族で話し合い、方向性を決めておくことは非常に大切です。もしお墓に関してお困りのことがあれば、名古屋市熱田区の合同会社SBNに一度ご相談ください。親切丁寧に対応させていただきます。

参考:公益社団法人 全日本墓園協会 http://www.zenbokyo.or.jp/

ハカシル https://eitaikuyo.jp/

一般社団法人 全国優良石材店 https://www.zenyuseki.or.jp/