コロナウイルスによる外出自粛の影響により、新規でペットを飼い始める人が増えてきています。
ペットフード協会によると、2020年の新規の飼育頭数は犬が46.2万頭(前年比14%増)、猫が48.3万頭(同16%増)と増加傾向にあります 。
今やペットも家族同然で、子供がいない家庭や独身の方にとっては、自身の子供やパートナーのような、大切な存在です。

一方で、ご自身が亡くなった場合、誰がお世話をしてくれるのかという問題が残ります。
今回は、ペットの終活というテーマで、メリットや具体的な内容についてお伝えしていきます。

ペットの終活とは

飼い主と犬

ペット終活とは、ペットのために生活環境を整え、飼い主も別れの瞬間に向けて心の準備をして、限りある時間を平穏に過ごせるようにと考えられた活動です。
人間の終活を、ペットに応用したもので、ペットを失った心の喪失感(ペットロス)を軽減するための方法として有効な者ものです。

ペット終活は現在、動物病院でも実践されており、多くの人の心を救う活動として注目されています。

ペット終活をするメリット

MERITの文字

ペットとの時間が有意義なものになる

ペットの寿命は人間よりも短いです。
ペットとの最期をどのように過ごすか考えることで、今この瞬間を大切にしようという気持ちになります。
散歩やおいしい食事など、ペットが喜ぶ時間を一緒に過ごしましょう。

金銭面での不安軽減

人間と同じく、ペットも年を取ることで、病気や怪我のリスクが高まります。
病院にかかる治療費や、亡くなった後の供養にかかる費用など、特に終末期は多くの費用がかかる可能性があります。

事前に費用を知っておき、備えておくことで、急な出費に対応できるようになります。

ペットロスの軽減

ペットロスが長引く原因の多くは「何であの時、これをしなかったんだろう…」という後悔です。
ペットとの別れの際は、飼い主が決断しなくてはいけないことも多くあります。
急に決断を迫られると、冷静になってから思い返して、自身の決断に後悔してしまうこともあります。
ペット終活をしておくことで、このような後悔によるペットロスを防ぐことができるでしょう。

ペット終活でやるべきこととは

TODOリスト

ペットの寿命を知る

ペットの種類によって寿命が異なります。
一般社団法人ペットフード協会の調べでは、犬全体の平均寿命は14.48歳、猫全体の平均寿命は15.45歳となっています(一般社団法人 ペットフード協会「2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果」)。

あくまで平均値ですが、寿命から逆算することで、ペットといられる時間が有限であることを意識でき、この瞬間を大切にしようと考えられます。

連絡先を把握する

かかりつけの動物病院、ペット保険会社、葬儀会社など、連絡先を一覧にしておきましょう。
飼い主に何かあった場合でも、まとめた情報があれば、家族や友人などがその情報を元に、対応できるようになります。

ペットにかかる費用の算出と備えをする

ペットには人間のように、公的保険が無いため、全額飼い主の自己負担になります。
2015年の日本獣医師会の調査によると、飼い主が1ヶ月に動物病院にかける費用の平均はおよそ7,408円となっています。
治療内容によっては更に高額になる可能性もあるため、このような費用目安を知っておくと共に、それに対する備えも大切になります。

備えとしては、貯金の他、ペットの治療費を保障する民間の保険(ペット保険)があります。
しかし、ペットが健康な時でないと加入が難しく、年齢制限を設けている保険会社も多くあります。
保険を検討している場合は、早めに加入しておくことをおすすめします。

介護状態になった場合のお世話を決める

ペットの長寿命化により、ペット介護も増えてきています。
飼い主の仕事や年齢によっては、ご自身での介護が難しい場合があります。ペット向けの介護ホームを利用する、家族で協力するなど、方向性を決めておくと安心です

最後に看取る場所を決める

ペットが安心して過ごせる場所、家族が最後に立ち会える場所、ペットが万全のケアを受けられる場所など、家庭の状況や家族の気持ちに合った選択をすることが大切です。

葬儀・供養方法を決める

ペットも人間と同じく、葬儀や供養をしてあげましょう。

ペットの埋葬方法には、土葬や火葬などがあります。
人間と同じように火葬に立ち合いができたり、骨壺に遺骨を残せるなど、様々な種類があります。
また、他の動物と一緒に火葬され、霊園の合同墓地に埋葬される「合同火葬」では、お骨を引き取ることができません。
返骨を希望する場合は注意が必要です。

また、ペットの場合、返骨後の供養方法は自由に選択できます。
ペット霊園へ納骨する、自宅に仏壇を作って供養する、飼い主と同じお墓に納めるなど、その方法は様々です。
葬儀を決める際には、併せて供養の方法についても考えましょう。

思い出を記録する

食事しているとき、遊んでいるとき、寝ているときなど、ペットとの思い出になるような写真や動画などを記録しておきましょう。
元気なうちに記録を残しておかないと、後になって後悔することもあります。
スマートフォンなどでも良いので、気軽に、沢山の思い出の瞬間を撮りためておきましょう。

いつから始めれば良いのか

スケジュール帳

ペットの終活は、ペットが元気なうちに始めるのが理想的です。

ペットが病気や怪我をした後では、どうしても冷静な判断ができない可能性があります。
また、事故や災害など、急なお別れがくることもあるでしょう。
あるいは、飼い主が病気や怪我になり、何もできなくなる可能性もあります。

気持ちに余裕があるうちに、少しずつ始めていきましょう。

ペット終活を詳しく学びたい方に

資格勉強をする女性

一般財団法人日本能力開発推進協会が認定する民間の資格として「ペット終活アドバイザー」があります。
この法人は、終活ライフケアプランナーという、終活に関する民間資格の認定も行っています(「 終活ライフケアプランナー 」についての詳しい記事→終活ライフケアプランナーとはどのような資格?)。

目標があると、勉強の際にモチベーションなります。
ペットの終活を詳しく学びたい方は、こちらの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

画像出典 株式会社キャリアカレッジジャパン

まとめ

人間同様、ペットも大切な存在であり、いつ、どのような形で別れが来るか分かりません。
後悔の無い時間を過ごすためにも、飼い主もペットも元気なうちに、少しずつでも終活を始めて行きましょう。