亡くなった後、ご遺骨をどのように供養するかについて、様々な供養方法が考え出されています。
その一つが、今回ご紹介する「散骨」です。
終活をするうえでも、ご自身の供養方法を事前に考えておくことは非常に大切です。
今回の記事をきっかけに、終活に少しずつでも取り組んで頂けたら幸いです。

散骨とは

海洋散骨

散骨とは、火葬後のご遺骨を粉末状にし、海や山などに撒く埋葬方法のことです。
一般的な埋葬方法であるお墓や納骨堂に比べると、定期的な管理などが必要ないため、家族がいない人やお墓参りを必要としない方などに選ばれやすい埋葬方法です。
また、海や山などの自然が好きだった人にとって、死後に自然に還りたいという想いで散骨を選ばれる人もいらっしゃいます。

散骨のメリット

MERIT

お墓の継承者が不要

代々続いているお墓がある場合、誰かが後継者としてお墓を管理しなければなりません。
管理する人がお墓の近くに住んでいない場合、時間的・費用的に非常に管理が難しくなります。

散骨の場合にはお墓を作る必要が無く、こういった問題から解放されます。
散骨を検討する場合、遺族でしっかり話し合って決めるようにしましょう。

金銭的負担が少なくて済む

散骨の場合、お墓を建てる必要が無いため、金銭的な負担が少ないというメリットがあります。
特に粉骨(遺骨を粉末状にすること)から散骨まで遺族が自分たちで行った場合、費用はほとんどかかりません。

業者に依頼する場合には費用がかかりますが、船を借りての海洋散骨でも20万円程度で行うことができます。
お墓の購入費用平均は169万円かかるため、お墓の購入が不要というだけで金銭的な負担が極めて軽くなります(株式会社鎌倉新書調べ「第12回 お墓の消費者全国実態調査(2021年)」)。
また、年間管理費などお墓を維持するための費用も掛かりません。

故人の希望が叶う

散骨が容認されるようになったのは1990年代初めからで、それ以前は、海や山への散骨を希望していても認められませんでした。
自然が大好きで、死んだら自然の一部になりたい、自分らしく見送ってもらいたいという故人の意思を実現できる点も大きなメリットです。

散骨の方法

樹木葬

海洋散骨

海洋散骨は、粉末状にしたご遺骨を海に撒く方法で、専門業者に依頼して行います。
個別に行うか、複数のご遺骨を合同で行うか、業者が代理で行うかで費用面が変わります。
費用の相場は、5万~30万円ほどです。

詳しくはこちらの記事をご覧下さい → 自分らしい埋葬のかたちとは?自然に遺骨を還す「海洋散骨」

樹木葬

樹木葬は、霊園の敷地や自然の山へ、木や草花の下にご遺骨を埋葬する方法です。
費用総額は、地域や内容によって異なりますが、50~80万円程です。

詳しくはこちらの記事をご覧下さい →  お墓の継承者がいない場合の新しい形「樹木葬」

宇宙葬

宇宙葬とは、専用のカプセルに遺灰を入れロケットに載せて、宇宙へ打ち上げるというものです。
ロケットは大気圏で消滅するため、手元に遺灰は戻りません。

費用は、最近では20万円台から利用できるサービスもあります。
スマホアプリでロケットの軌跡を追跡することもできるようになり、安心です。

散骨するうえでの注意点

注意点

業者に依頼せず、個人で散骨する場合の注意点です。

遺骨は2ミリ以下に砕く

散骨を実施する場合、遺骨であることがわからないように1~2ミリ以下の粉末状に砕かなければいけません。
遺骨とわかる状態で海に投げ入れた場合、法律に抵触し、遺骨遺棄罪に問われる可能性があります。

他人の敷地には撒かない

他人の土地に撒けば迷惑行為になりクレームやトラブルになります。
海でも漁場などに撒けば、漁業関係者からクレームを受ける可能性があります。
また、海水浴場の近くである場合には、人目のつかない場所で行うようにしましょう。

親族の理解を得る

親族の理解を得ずに独断で進めてしまうと、後々親族間でトラブルになる可能性があります。
必ず他の親族の同意を得てから行いましょう。