(本記事作成日:2021年10月18日)

空き家の活用方法に関して、売却編リノベーション編賃貸編として3シリーズを公開致しました。

その中でもお話ししたように、空き家は放置してしまうことで、固定資産税の増額・建物倒壊の恐れなど、様々なデメリットが生じてきます。

また、今後少子化に伴い、買い手がますます減少することが予想されるため、早急に対策を打つことで、空き家の有効活用が可能になります。

今回の記事では、空き家対策に使える補助制度に関してお伝えしていきます。

空き家に対する国と自治体の動き

初めに、空き家に対しての国・自治体がどのように対策をしているかに関してお伝えします。

まず、国としては、2015年に「空き家対策特別措置法」を施行しました。

これは、適切に管理されていない物件に関しては「特定空き家」に指定することができる法律です。

この「特定空き家」に指定された場合、自治体は特定空き家の所有者に対して、対策を取るように指導・命令することができます。

命令後も対策が取られない場合には、過料が科されたり、行政代執行によって建物の撤去などが行われることになります。

国土交通省の調べでは、2019年10月1日までの4年半の累計で、助言・指導が17,026件、勧告が1,050件、命令が131件、代執行(行政代執行と略式代執行)が196件となっています。

また、同時点で存在して「特定空き家」として自治体が把握しているものは16,333件となっています(出典:国土交通省 2020年4月8日発表「(別紙)空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」)。

このように、国・自治体は、空き家対策として積極的に取組み始めていることが分かります。

空き家対策に利用できる税制優遇措置

譲渡所得の特別控除

相続した空き家を売却して利益が残った場合、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課されます。

譲渡所得は、以下の計算式で求めることができます。

譲渡所得(売却益)=売却価格 ー(取得費 + 譲渡費用)

*取得費 → その不動産を購入したときの金額

 譲渡費用 → 仲介手数料や印紙税など、売却時にかかった費用

しかし、2016年4月1日から2023年12月31日までの間に、一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができます。

これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

どのような要件の時にその制度が適用されるかというと、以下に当てはまる場合です。

適用条件

以下の条件①を全て満たし、かつ、条件②のいずれかを満たす必要があります。

条件①

1.2016年4月1日から2023年12月31日までに売却した空き家であること

2.相続のあったときから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること

3.1981年5月31日以前に建築された(旧耐震基準)戸建てであること(マンションなど区分所有建物ではない)

4.相続開始まで、亡くなった方が居住していた家であること

5.相続開始後に空き家以外になっていないこと(賃貸に出す、相続人が住むなどの履歴がない)

6.売却額が1億円を超えないこと

7.行政から要件を満たす証明書等が発行されていること

8.建物だけでなく、土地も相続していること

9.同じ被相続人(亡くなった方)の相続で既にこの特例が利用されていないこと

10.空き家の買主は第三者であること(配偶者や一定の親族、同族会社など特別の関係にある人や会社への売却は適用外)

条件②

1.耐震リフォームをして一定の耐震性を備えている

2.建物を取り壊して更地にする

各自治体の取組み

ここでは、愛知県内の自治体で行われている補助制度についてお伝えします。

ここに掲載された自治体以外でも実施しているところはあります。

ご自身の物件所在地の自治体に活用できる制度があるかはしっかりと確認するようにしましょう。

名古屋市

1.名古屋市老朽危険空家等除却費補助金

空家等対策を推進するため、老朽化等により著しい保安上の危険を及ぼしている空家等の除却に要する工事費の一部を補助するものです。

補助金額

「老朽危険空家等の評価」による点数によって、補助金額の上限が変わります。

・75点以上→工事費の1/3(最大40万円)

・25点以上→工事費の2/3(最大80万円)

2.名古屋市空き家活用支援事業費補助金

名古屋市内の空き家の所有者又はその賃借人が、空き家を活用して地域の活性化を図る用途に使用する場合、その改修工事に係る費用の一部を助成するものです。

補助金額

改修工事費の2/3(最大100万円)

豊田市

1.豊田市空家解体促進費補助金

豊田市内の補助の対象となる空家の解体工事を行う方に対し、その費用の一部を補助します。

補助金額

空家の解体工事に要した費用の1/2(最大20万円)

蒲郡市

1.蒲郡市空家等解体費補助金

蒲郡市内にある危険な空家等の解体工事に要する費用の一部を補助する制度を実施しています。

補助金額

補助対象者が解体業者に支払った補助対象経費の1/2(最大20万円)

犬山市

1.犬山市空き店舗活用事業費補助金制度

犬山市の指定地域内にある空き店舗・空き家を利用して事業を営む人に対して補助する制度になります。

補助金額

賃借料の1/2(最大36万円/年度)

改装費の1/2(最大50万円)

2.犬山市空き家利活用改修費補助金

半年以上空き家バンクに登録されている物件のリフォーム工事費の一部を補助するものです。

補助金額

工事費の1/2(最大40万円、公共的利用の場合は最大80万円)

3.犬山市危険空き家解体工事費補助金

1年以上空き家の状態が続いている危険空き家を解体する場合に補助が受けられます。

解体工事は犬山市内の工事業者によるものである必要があります。

補助金額

解体工事費の4/5、最大20万円(工作物にかかる工事費は対象外)

まとめ

・国・自治体ともに空き家対策に力を入れ、法整備や補助金制度を整備している。

・愛知県にも多くの自治体で補助金制度について整備しており、所有する物件所在地の自治体に使える制度がないか確認するようにしましょう。

空き家に対する対策が国を挙げて動き始めています。

今後の少子高齢化を考えても、早急に対策して活用をしていかないと、買い手・借り手が見つからず、ただ維持費が発生するだけの「負」動産になってしまいます。

そうなる前に、空き家の活用方法を考え、対策するようにしましょう。

その際に利用できるのが各自治体が行う補助金です。

補助金を活用することで、余分な費用を抑えることができます。

そのため、今までお金が掛かるからと空き家の活用に一歩踏み出せなかった方でも、これを機会に一歩踏み出してはいかがでしょうか。

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参考

国土交通省 https://www.mlit.go.jp/index.html

国税庁 https://www.nta.go.jp/index.htm

名古屋市 https://www.city.nagoya.jp/index.html