終活と言うと、「人生の終わり向けた活動」というようなネガティブな印象を持たれる方が多いと思います。
しかし最近では、自分の人生をより良くするための活動というポジティブな意味に捉え直されています。
このように考えると、終活に取り組んでみようと思われる方もいるのではないでしょうか。

今回は人生を豊かにするための終活について、始めるポイントを解説していきます。

終活とは

高齢者と支える家族

終活とは、もともとは「自らの人生の終わりに向けた活動」の略語で、自分自身の葬儀・お墓・遺言書の準備や、相続・身の回りの生前整理などを行うことを指します。
しかし現在では、人生の終焉について考えることにより「今をより良く生きる為の活動」というポジティブな意味に変わってきています。

高齢化が進展する現代においては、終活を行う意味がますます大きくなってきています。

終活を行う理由

家族写真

家族への負担をなくす

終活には葬儀やお墓、生前整理など、多くの事柄が含まれています。
生前にこれらの準備がなれていなかったらどうなるでしょう。
多くの場合、家族(妻や夫、子供、兄弟姉妹など)が担う事になります。

しかし、家族にはそれぞれの生活があり、日々の生活で精一杯であるかもしれません。
また、長年連絡を取っていない親族しかいない場合、自分の死後の手続きを全て任せてしまうことに抵抗がある方もいると思います。

終活をすることで、家族へ迷惑をかけてしまうことを回避できます。

不安をなくし人生をより良く生きられる

終活が終わる頃には、老後への漠然とした不安が無くなり、今後の人生を楽しむ事に集中できるようになります。
終活では、モノ・情報・人間関係の整理を行い、今後のライフプランを立てることもあります。
身の回りの様々なことを整理することで、今の課題が明確になり、対策を立てることが出来ます。

このように、終活は人生全体の整理ができるため、今後の人生の過ごし方を決める上でも大変意味があります。

具体的に何をするのか

TODOリスト

生前整理

遺族が処分に困らないように、ご自身が元気なうちに財産や持ち物を整理することをいいます。
生前整理は、自分が亡くなった後のためにするものと思われがちですが、それだけではありません。
例えば、ご自身が介護状態になり介護を受ける場合、自宅の中が整理されていないと支障が出てきてしまいます。

生前整理をする際には、自分なりの判断基準を作って分けていくことが大切です。
整理されたものは、 「財産目録(所有する財産の一覧表)」 を作成して記載しておくことで、相続や遺言書作成の際に役立ちます。

生前整理についての詳しい記事はこちら
 → 遺族に迷惑をかけないための生前整理の重要性

葬儀・お墓の準備

葬儀の準備はお金も手間もかかり、遺族が時間がない中で対応しなければなりません。
時間がない中で、葬儀会社やプランの十分な比較検討が出来ず、費用が高額になってしまった、などというお声も聞かれます。

葬儀・お墓ともに、家族形態や価値観の変化を背景に、様々な選択肢が出てきています。
事前準備をしっかり行い、自分の人生の最後を自分自身で締めくくりましょう。

葬儀についての詳しい記事はこちら
 ・費用を知りたい 
   → 葬儀費用の内訳について 
 ・自分で予約する方法が知りたい 
   → 葬儀のセルフプロデュース!生前予約をする時に気をつけたいこと

お墓についての詳しい記事はこちら 
 ・お墓の管理を知りたい
   → 亡くなった後のお墓の管理をどうするか決めていますか?
 ・「樹木葬」について知りたい
   → お墓の継承者がいない場合の新しい形「樹木葬」
 ・「海洋散骨」について知りたい
   → 自分らしい埋葬のかたちとは?自然に遺骨を還す「海洋散骨」

財産整理

財産には、預貯金・不動産・有価証券・保険・年金などが含まれます。
これら情報がまとまっていないと、家族が探すときにとても大変になります。
銀行口座に明細を確認していく、金融機関に問い合わせるなど、非常に労力が掛かります。
情報を整理し必要書類を一カ所にまとめておく、エンディングノートに記載しておくなど、必ず対策をして下さい。

財産の調べ方についての詳しい記事はこちら
 → 知らぬ間に借金まで相続することに!?「相続財産調査」の必要性と具体的方法について

医療・介護の希望

自分が大病を患ったとき、または介護状態になった場合などにどのような希望があるかを決めておきましょう。
大病を患った場合の希望としては、次のような項目があります。

  • 余命をきちんと教えて欲しい
  • 病名をしっかり教えて欲しい
  • どちらも知りたくない
  • 延命治療をしたい(したくない)
  • 家族に判断を任せる

また、介護が必要になった時の希望項目としては次のようなものがあります。

  • 介護を受ける場所(自宅・介護施設)
  • 誰に面倒を見て欲しいか(妻・夫・子供・家族以外・介護ヘルパー)
  • 認知症が進行した場合の財産管理を誰に任せるか

病気に伏せたり介護状態になると、ご自身の意思を伝えられなくなる恐れがあります。
ご自身が元気なうちに、意思を伝えられるようにしておきましょう。

遺言書作成

自分が亡くなった後の財産の分け方について指示する役割を果たすのが遺言書です。
遺言書を作成することで、相続人同士の争いを防ぐことが期待できます。

遺言書は3種類あり、それぞれ書き方が決まっています。
ただし、書き方を間違えると無効となりますので注意が必要です。
作成の際には行政書士などの専門家に相談することをオススメします。

遺言書についての詳しい記事はこちら
 ・「自筆証書遺言」について知りたい 
   → 書いた遺言書が無効に!?必ず守るべき自筆証書遺言作成ルールがあります! 
 ・「公正証書遺言」について知りたい 
   → 無効の心配が無い!トラブル防止にも役立つ「公正証書遺言」の作成流れについて
 ・「秘密証書遺言 」について知りたい
   → 遺言書の中身を秘密にしたい!秘密証書遺言のメリット・デメリットと作成流れについて

不要なサービスの解約

利用していないが何となく続けてしまっているサービスがあれば解約しておきましょう。
クレジットカードや銀行引き落としになっている場合には、本人が気づかずに続けている可能性もあります。
また、若いうちに入った生命保険も、子供の独立などで不要になったにも関わらず見直しがされていないケースも良く見られます。
早めに確認して、不要な物から解約していきましょう。

デジタル終活

スマホやパソコンで情報を管理することが多くなってきています。
写真などの画像データ・連絡先・SNSなどのアカウントといった情報は、亡くなった後に必要になったり、トラブルの原因になる可能性があります。
しかし、情報が多すぎると家族が探すときに大変になり、また、パスワードロックがかかっている場合解除する手間を要します。
予め整理しておくことで、家族に余計な負担をかけずに済みます。

デジタル終活についての詳しい記事
 → シニア世代だけじゃない「デジタル終活」

エンディングノートの作成

エンディングノートとは、もしもの場合に備えて、家族や周囲の人に伝えておきたいことを書き記しておくノートのことです。

エンディングノートは、何でも自由に書くことが出来ます。
この記事の中で見てきた内容をエンディングノートにまとめておくことで、自分が亡くなった後に家族が各種手続きで困ることを防ぐことが出来ます。
書き方の形式・ルールもありません。
使うノートも自分の好きなものを使うことが出来ます。
自分だけのオリジナルのエンディングノートを作ってみてください。

エンディングノートの書き方についての詳しい記事はこちら
 → エンディングノートの目的と内容について

すぐに始める際のポイント

POINTの文字と指のイラスト

終活は分野が幅広く、最初から完璧にしようとすると挫折する原因になります。
まずはご自身の興味のある分野から始めてみましょう。

もし迷われている方がいれば、「エンディングノート」作成がオススメです。
すぐに記入できる分野は記入しておき、分からない分野は現時点で情報が不明確になっている分野なので、早めに対策しておく必要があります。

人生、いつ何時、何が起こるか分かりません。
ご自身が健康なうちに終活に取り掛かることをオススメします。